この記事は、NetSuite 2026.2のRelease Preview環境で確認した内容を基にしています。正式リリースまでに仕様や画面表示が変更される可能性があります。
NetSuite 2026.2で追加された 支払実行(Payment Run) を実際に使ってみました。
本記事では、支払実行の概要、基本的な操作手順、実際に使って感じたメリットと注意点を紹介します。
支払実行の概要
新機能
支払実行は、複数の買掛金を対象に、支払の準備、レビュー、承認、処理を1件のPayment Run上で管理するための新機能です。
これまで個別に処理していた、複数の買掛金勘定に属するトランザクションを1件のPayment Runへ追加し、まとめて支払処理を実行できます。
Payment Runへ追加できるトランザクションとして、リリースノートには次のものが記載されています。
- 仕入先支払請求書
- 前払金/買掛金調整
- 仕訳入力
- 経費精算書
- 出金票
また、Payment Runは通常のNetSuiteトランザクションと同様に、権限、承認、カスタム・フィールド、カスタム・セグメント、採番、検索、REST、SuiteScript、CSV出力などをサポートしています。
処理の流れ
支払実行の基本的な流れは次のとおりです。
Payment Runを作成
↓
支払勘定、支払日、転記期間などを入力
↓
支払対象のトランザクションを追加
↓
保存して内容をレビュー
↓
Create Paymentsを実行
↓
出金票が作成される
支払対象を選択した時点では、まだ出金票は作成されません。Payment Runをいったん保存し、対象や金額を確認してからCreate Paymentsを実行します。
新機能を使ってみる
Payment Runを開く
Payment Runの一覧を開き、新しいPayment Runを作成します。
Payment Runは支払処理全体を管理する親トランザクションのような位置付けです。このレコードに支払情報と対象トランザクションを登録します。
支払勘定、支払日、転記期間などの支払情報を入力する
Payment Runを開いたら、支払処理に必要な基本情報を入力します。
主な入力項目は次のとおりです。
- 支払勘定
- 支払日
- 転記期間
- その他、Payment Runに必要な支払情報
選択した支払勘定を基に、対象となる子会社や通貨のコンテキストが決まります。
この後に追加できるトランザクションへ影響するため、支払勘定、支払日、転記期間に誤りがないことを確認してから次へ進みます。
トランザクションを追加する
支払情報を入力したら、Payment Runへ支払対象のトランザクションを追加します。
対象一覧から、今回支払う仕入先支払請求書などを選択します。複数の買掛金勘定に属するトランザクションを、同じPayment Runへ追加できます。
追加後は、次の内容を確認します。
- 支払対象に漏れがないか
- 支払対象ではないトランザクションが含まれていないか
- 支払金額が正しいか
- 支払合計額が想定どおりか
- 支払日と転記期間が正しいか
保存し、Create Paymentsを実行する
トランザクションを追加したら、Payment Runを保存します。
保存しただけでは支払処理は実行されないため、処理前の状態で対象トランザクションや合計額をレビューできます。内容に問題がなければ、Create Paymentsを実行します。
実務では、次のような運用が考えられます。
- 支払担当者がPayment Runを作成して保存する
- 経理責任者が支払対象と合計額を確認する
- 確認後に
Create Paymentsを実行する
出金票が作成される
Create Paymentsを実行すると、Payment Runへ追加したトランザクションを基に出金票が作成されます。
今回確認した環境では、複数の買掛金を1件のPayment Runで処理しても、すべてが1つの出金票へ集約されるわけではありませんでした。出金票は、これまでの支払処理と同様に買掛金別で作成されます。
新機能を使ってみた感想
複数の買掛金勘定を一括処理できるのは便利
今回の機能で最も便利だと感じたのは、複数の買掛金勘定に属するトランザクションを1件のPayment Runへ追加し、一括処理できることです。
買掛金勘定ごとに支払処理を準備する手間を減らせるため、複数の買掛金勘定を使用している環境では、支払業務を効率化できそうです。
支払前に保存・レビューできる
支払対象を「処理前の状態」で保存できる点も便利です。
支払担当者が候補を作成し、経理責任者が内容を確認してから実行する、といった運用が可能になります。
Payment Runの標準承認機能と組み合わせれば、支払対象一覧を表計算ファイルへ出力してメールで確認するのではなく、NetSuite内で支払準備から承認まで管理できる可能性があります。
支払処理の実行状況がすぐに分かる
Payment Runを見ることで、支払処理の実行状況を確認できます。
たとえば、次のような情報を追いやすくなります。
-
Create Paymentsが実行されたか - Payment Runにどのトランザクションが含まれているか
- どの出金票が作成されたか
- 処理中またはエラーになっている支払がないか
支払処理の単位と対象トランザクションの関係が分かりやすくなるため、処理後の確認や問い合わせ対応にも役立ちそうです。
出金票はこれまでどおり買掛金別で作成される
一方で、作成される出金票は1件に集約されず、これまでどおり買掛金別で作成されました。
以下は作成された出金票です。

複数の買掛金をまとめてPayment Runへ追加できるため、出金票も1件にまとまることを期待していましたが、今回確認した動作ではそのようにはなりませんでした。
Payment Runによって支払処理の開始と進捗確認は一元化できますが、出金票そのものの作成単位は従来と同じです。
まとめ
NetSuite 2026.2の支払実行を使うと、複数の買掛金勘定に属するトランザクションを1件のPayment Runへ追加し、まとめて支払処理を実行できます。
ただし、 出金票はこれまでどおり買掛金別で作成されます。 複数の買掛金を1件のPayment Runで処理しても、出金票が1件に統合されるわけではない点には注意が必要です。
とはいえ、支払の準備、確認、実行状況の把握を1件のPayment Run上で行えるため、これまでより支払業務を運用しやすくなりそうです。
是非、新機能を試してみてください。




