もう1月も半ばを過ぎましたが、2022アドベントカレンダーの枠が空いてるので、2023年正月のマッピング成果を紹介します。
発端は大みそかのMappy Hour
日本のOpenStreetMapコミュニティで運営しているOpenStreetMap Japan Slackでは、毎週土曜日の21時頃からMappy Hourと称して、みんなで集中的にマッピングしたり成果報告したりマッピングの疑問点を相談したりしようねという時間を設けています。
【1/21(土) 21:00~】みんなでチャットしつつ日本地図( #OpenStreetMap )を描くMappy Hour 146回目!初心者歓迎!ご参加をお待ちしています。 Slack > https://t.co/Ldg3tEkwOT#拡散希望 #osmjp pic.twitter.com/Wjq89iLaDt
— K.Sakanoshita (@K_Sakanoshita) January 20, 2023
2022年12月31日土曜日大みそかも、帰省とか関係ない私は紅白も見ずに安定のマッピング三昧で、Mappy Hourにこんな投稿をしました。
あまり活発な地元マッパーがいらっしゃらなかったようで、商店街のPOIなども10年ぐらい前の調査結果がずっとそのままになっているものが多かったそうです。
気がつけばマッピング祭り
この時点ではただの普段どおりのマッピング成果報告でしたが、ちょうど高松市へ帰省中のマッパーから反応をいただき、特に縁があるわけでもないマッパーも複数名参加。
気がついたら高松市内集中マッピング祭りになってました。
帰省マッパーが中心部のPOIをアップデートし、遠隔マッパーは地理院シームレス等の写真トレースで住宅地のマッピング未済道路を大量トレース。
ちょうど正月休みで時間が取れる方が多かったようで、ありがたいことです。
こんなことになるとは想定してなかったので、ろくにスクショも残してませんでしたが、着手時点ではhighway=residentialに該当するであろう道路がほとんど描かれてなくすっかすかだった高松市南部の住宅地、成人の日を迎える頃には8割方マッピングされて、普通にナビとして十分使える程度の道路網羅度になってました。
Overpass APIで振り返ってみる
JOSM(上級者モード)の「Overpass APIからダウンロード」機能で、道路データをダウンロードして比較してみました。
抽出条件
- 高松市内の道路
- highway=unclassified、residential、track、service
- ダウンロード時点(2023-01-22)のデータ
- その30日前のデータ
今回集中マッピングした道路の大半が住宅地内道路のresidentialなので、その前後のクラスの道路が比較できればいいかなと。
tertiaryより上位の道路は、さすがに新設道路以外はちゃんとマッピングされてたようです。
ダウンロード時点のデータ用クエリ
[out:xml][timeout:90];
{{geocodeArea:高松市}}->.searchArea;
(
way["highway"="unclassified"](area.searchArea);
way["highway"="residential"](area.searchArea);
way["highway"="track"](area.searchArea);
way["highway"="service"](area.searchArea);
);
(._;>;);
out meta;
30日前のデータ用クエリ
[out:xml][timeout:90];
{{geocodeArea:高松市}}->.searchArea;
(
way["highway"="unclassified"](newer:"{{date:30 days}}")(area.searchArea);
way["highway"="residential"](newer:"{{date:30 days}}")(area.searchArea);
way["highway"="track"](newer:"{{date:30 days}}")(area.searchArea);
way["highway"="service"](newer:"{{date:30 days}}")(area.searchArea);
);
(._;>;);
out meta;
OSM Wiki-JA:Overpass API/Overpass QLを読む限りでは、「12月22日現在のデータ」とか、「12月22日時点と1月22日時点の差分」という指定ができるはずですが、クエリのどこにdateやdiffの構文を突っ込めばいいのかよくわからなくて、試行錯誤したらn日前というのがなんとかダウンロードできたので。
この2つのダウンロードデータをそれぞれ.osm形式で保存してQGISに突っ込んで、OSM標準地図タイルを背景に表示してみました。
比較地図
水色が1月22日現在の高松市内のunclassified以下の道路、赤が過去30日以内に変更履歴のある道路。
水色で表示されている道路は過去30日に誰も変更を掛けていないということです。
南部に今回のマッピングが集中したことがはっきりわかります。
道路の線形を修正した箇所も多かったので、本当は12月22日時点のレイヤーの上に、30日差分を載せて比較できればよかったのですが、Overpass APIの使い方は今後の個人的課題です。
今後の高松マッピング
ポケモンGO等のOSMデータ使ってるゲームのプレイヤーは、地元の道路がまともに表示されず不満抱きながらプレイしてたことと思いますが、次の地図更新でいきなり家の近所の道路増えた!って喜んでくれるかなーとにまにましています。
Nianticさんいつ地図更新してくれるんでしょうね。
高松市内の道路がほぼ網羅されたので集中マッピングは流れ解散という感じで、今は黙々と森林リレーションや貯水池などを修正しています。自然系の地物マッピング割と好きなので。
学校・幼稚園・保育園も、2011年にKSJ2インポートされたときのままでノードになっている所が多いので、ちゃんとエリア化しておきたいです。
OSMの定石としては道路が網羅されたら次は建物ですが、建物トレースは好きじゃないので誰か他マッパーが描いてくれることを期待して、森林と池と学校の調整が終わったら離脱します。
マッピング未開地はまだまだたくさんある
今回の高松マッピングは人口40万超の県庁所在地の地図がこれかよ?というインパクトと、時間の取れる人が多い正月休みとのマリアージュでたくさんのマッパーにご協力いただきましたが、同様にマッピングの進んでいない場所は日本各地にたくさんあります。
こういうゼロからに近いかたちで道路マッピングするのは技術向上にもつながります。
気がついたらみんなでぽちぽちマッピングしましょう。