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ゼロからGraphQL (ゼロ知識からDBなし最小構成でサーバを動かしてみる)

Last updated at Posted at 2018-10-11

GraphQLとは=「データを柔軟に取り出せるAPI:bar_chart:

大崎です。今回はできるだけ簡単にGraphQLを説明して試します。触ってみたいだけという方はライブデモがあります。

GraphQLは、APIの形式です。Facebookが開発、Mercariがマイクロサービス化するためにバックエンドのAPIとして採用しているそうです1
image.png

でも現在のデファクトのAPI形式はRESTです。なので、よくRESTと比べられます。

ですから先に結論を言っておくと、できることはRESTと大きくは違いません:relaxed:
ただ、ちょっとデータ取得特化型の柔軟性(クエリが書けるという大きな特徴):thumbsup:を持っています。

APIってそもそも

APIができることは、データを取ってくるだけでなく、以下のようにいろんな仕事ができるのですが、、、

  • トランザクションを無事こなす:pencil2:
  • 非同期処理をスタートする:timer:

ですが、今回はデータ取得:bar_chart:に話を絞ります
(GraphQLはデータ更新のしかけMutationも持っていますがあまり大事ではないので省略します)

RESTの課題:デフォルトでは柔軟性がついてない

さて、ある目的のためにデータが欲しいとき、APIが提供してくれるデータでは過不足が生じます。

  • 目的例:triangular_flag_on_post:
    「近くのレストランの名前を評価順に5個取得する」

  • 提供されているREST API http://<URL>/restaurants/
    市内の全レストランの一覧:worried:
    それぞれに場所名前オーナー電話番号と・・・・・・と従業員を取得する:confounded:

5個だけ取るつもりが1000個くらいデータが取れるし、無駄な値がくっついてくる。
時間もかかる。
欲しいものだけを取り出す、ということで思い出すのは下記例文にもあるSQLのようなクエリ言語ですが、残念ながらSQLはAPIとして提供されません。

select restaurant_name from all order by grade limit 5;

ODataというSQL over HTTP API形式がありましたが、「危険」という声がありました:u7981:2
SOAPで書けるかもしれません。でもXML書くのめんどくさい:thermometer_face:

GraphQLの柔軟性=「欲しいデータだけを要求できる:tools:

GraphQLなら、柔軟性があるしデータ形式がRESTと同じJSONで使いやすいです。

RESTのPOSTでクエリを入力するやり方しかないかな、、、と思っていたところに出てきたGraphQL
完璧とはいえないかもしれません。だってクエリの書き方がちょっと見慣れないですし。

{
  restaurants(first: 5, sort: "grade") {
    name
  }
}

でも、このクエリをカスタマイズすると、データの要求を柔軟に変更し、JSONでデータが取れます
柔軟性の部分は、詳しくは試しながら説明します。

返り値がJSONなので、Nodeなどで充実したいろんなツールのパワーをフル活用できます。
RESTからデータを取ってくるのと同じようにアプリが書けます!

最小構成でいいからまずはGraphQLを使う

最小セットのGraphQLサーバ=「単なるWebサーバ(DBなし)」

今回はほぼ、素のGraphQLサーバです。

データは日本の市のリストを使います。といっても三鷹市と香取市の2つの市しか入っていません。

機能は一覧を取得する、という1個しかありません。
まだクエリらしいクエリは書けません。
でもまず動かします。

サーバの機能は下記3つです。

  • データを保持 (1)
  • クエリを受け付け (2)
  • クエリにあわせたデータを返す (3)

(1)は何もしなくていいです。いったん仮データをJSONで入れるだけ。
(2)は、apollo-servergraphql-yogaなどのGraphQLのありがたいサーバが全部やってくれます
(3)が大事で、「どんなクエリにどんな値を返す」という設定を書くのがresolverです。

準備

今回はTypescriptでアプリを作ります。

環境にnpmtscが入っていることを前提とします。

今回のGraphQLサーバアプリの名前を付けたフォルダを作ります。npm initでnode.jsの初期化をします。
graphql-yogaは今回使うGraphQLサーバライブラリです。
ほかにもapollo-serverなどがあります。
あとは3つくらい起動用のツールを入れます。

$ mkdir sample_app
$ cd sample_app
$ npm init
### 途中のmain指定では index.jsではなくてindex.tsを指定してください。
$ tsc --init
$ npm install graphql-yoga --save
$ npm install nodemon ts-node typescript --save-dev

package.jsonscriptsstartの行を追加します。package.jsonが以下のようになるといいです。

package.json

{
  "name": "simple_json_graphql",
  "version": "0.0.1",
  "description": "Simple GraphQL Server from JSON data",
  "main": "index.ts",
  "scripts": {
    "test": "echo \"Error: no test specified\" && exit 1",
    "start": "nodemon --ext ts,yaml --exec 'ts-node' index.ts"
  },
  "author": "Hiroyuki OSAKI (https://github.com/onelittlenightmusic)",
  "license": "ISC",
  "dependencies": {
    "graphql-yoga": "^1.16.2"
  },
  "devDependencies": {
    "nodemon": "^1.18.4",
    "ts-node": "^7.0.1",
    "typescript": "^3.1.1"
  }
}

index.tsを作ります

さきほど説明した(1)から(3)を一行ずつ書いてみます。

index.ts
import { GraphQLServer } from 'graphql-yoga'

// (1)データを保持
const locations = [
  {Japanese: "三鷹市",
  Prefecture: "Tokyo",
  Population: 180797},
  {Japanese: '香取市',
  Prefecture: 'Chiba',
  Population: 85193},
]

// (2)クエリを受け付け
const typeDefs = `
    type Location {
      Japanese: String
      Prefecture: String
      Population: Int
    }
    type Query {
      locations: [Location]
    }
`;

// (3)クエリにあわせたデータを返す
const resolvers = <any>{
  Query: {
    locations: () => locations,
  },
};

const server = new GraphQLServer({ typeDefs, resolvers })
server.start({port: 4040}, () =>
 console.log(`Your GraphQL server is running now ...`),
)

順に説明します

(1)は、べた書きでデータの配列を入れています。
だからDBは使っていません。
このデータはWikipedia3からとってきたもので、PythonでスクレイピングしてJSON化したものです。Pythonスクレイピングはこちらを参照


// (1)データを保持
const locations = [
  {Japanese: "三鷹市",
  Prefecture: "Tokyo",
  Population: 180797},
  {Japanese: '香取市',
  Prefecture: 'Chiba',
  Population: 85193},
]

(2)は、データの型Locationとクエリlocationsを作っています。locationsクエリがリクエストされると配列[Location]が返るということを意味しています。
GraphQLの型とスキーマの詳しい説明は本家ドキュメントがおすすめ。


// (2)クエリを受け付け
const typeDefs = `
    type Location {
      Japanese: String
      Prefecture: String
      Population: Int
    }
    type Query {
      locations: [Location]
    }
`;

(3)は、クエリで返す値は、locations、つまり(1)の値全部ですよ、と言っています。
このように、GraphQLサーバ実装のメインの仕事は、resolverに処理を書くことです。


// (3)クエリにあわせたデータを返す
const resolvers = {
  Query: {
    locations: () => locations,
  },
};

サーバを起動します


$ npm start

GraphQLサーバがlocalhost:4040で待機すると思うので、ブラウザでアクセスしてください。

graphql-yogaには、便利なクエリ実行GUIであるgraphql playgroundがついていて、デフォルトで起動することになっています。
その画面が見えるはずです。

image.png

クエリを実行してみます

GraphQLのクエリはこんな風に書きます。
graphql playgroundの左側のクエリ編集ペインに打ち込みます。


{
  locations {
    Japanese
    Prefecture
    Population
  }
}

打っていて気付いたと思いますが、超強力な補完機能がついています。構文ミスも型不整合もチェックしてくれます。

では、真ん中の:arrow_forward:ボタンを押してみます。

結果は出ましたか?

image.png

(1)で入れたデータがそのままJSONで出てきましたね!

柔軟性(欲しいデータだけ要求する)を確認する :wrench:

ではクエリを変えてみます。
人口データなんかいらない、市の名前と県名だけでいい、という場合を想定します。

#Populationの前にいれてコメントアウトしてみます。

{
  locations {
    Japanese
    Prefecture
    # Population
  }
}

実行してみます。

image.png

前のクエリでは人口データが入って返ってきていたのですが、今回は入っていません。
つまり、要求した2つのフィールドJapanese(市の名前)とPrefecture(県名)だけが返ってきている ことがわかると思います。

GUIからではなくそのままAPIとしても使えるので、このGUIで試しながら、APIを使うアプリを実装できます。

ちなみに、全部の日本の市が入ったGist上のデータ(自作)を参照するように改造するとGithubレポジトリのような形になります。
クエリも一部追加自作していますので良ければご覧ください。

ライブデモ

Herokuに公開し、GraphQLPlaygroundをgraphqlbin上で公開しました。

日本の市を一覧化し、人口、設立日など統計値も加えました。

image.png

実はtypeにコメントを書くと、自動補完のときや右のschemaペインを参照したときに型の情報も表示してくれるんですね!便利です。

image.png

総務省からは市区町村コードも公開されていますので、これも随時GraphQL化したいと思います。

総務省/全国地方公共団体コード

他の参考文献

https://qiita.com/hassaku_63/items/d12d36d17cce536ade66
Apollo-server版最小構成デモ

  1. Mercari: Web Application as a Microservice

  2. GraphQL is not OData

  3. List of cities in Japan/Wikipedia

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