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Regional Scrum Gathering Tokyo 2026参加レポート

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Last updated at Posted at 2026-02-09

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はじめに

みなさん、こんにちはBIPROGY アジャイル推進室の本多です。スクラムに関する国内最大のカンファレンスRegional Scrum Gathering Tokyo 2026に参加してきました。得られた知見の一部をご紹介します。スクラムマスターやアジャイルコーチ、組織変革に悩んでいる人にとっては、有益な情報を見つけられるかもしれません。
ワークショップを除き、セッションの動画は、数か月経つとYoutubeで公開されるかと思いますので、気になるセッションがありましたら後日視聴いただけます。(公開時期は未定です)
※登壇資料については執筆時点で探して見つけられたもののみリンクを貼っています。

RSGTとは

Regional Scrum Gatheringは、Scrum Allianceが公認しているScrum(スクラム)を実践している人たちが集まって学び・共有・交流するイベントです。近頃は海外の方の参加も増えており、海外の方々の知見も取り入れることができる貴重な場になっています。
それでは、参加したセッションの学びと感じた点や所感を紹介していきます。
毎年RSGTで感じることは違っていますが、今年のRSGTは、フレームワークや手法よりも、「人・組織・複雑性」とどう向き合うかを強く問われる場だったように感じました。

【Keynote】Bjarte Bogsnes - An introduction to Beyond Budgeting – Business agility in practice

脱予算経営という書籍を執筆したビャルテ・ボグネスさんの講演。

  • コントロールという言葉はよく出てくるが、「何をコントロールするのか?」という問いに、みんな沈黙する
  • コントロールとは、行動の出来事、推移に影響を与えること
  • 人は管理(コントロール)されなければならない、という考えは、未来は計画できるという前提に立っているが、それは間違いである
  • 予算を無くすのは馬鹿げていると考えている
  • 予算(コスト)の問題点
    • 策定に時間がかかる
    • 前提が陳腐化する
    • 予算を過剰に取ったり、少ない売上予算を作ったりする
    • 時期尚早な意思決定になる
    • 予算を使い切る駆け引きが生まれる
    • 組織間の目的の違いによりコンフリクトを起こす
  • 予算を作ったのは100年前のコンサルタント。時代は変わっている
  • X理論(信頼できない。管理されなければならない)とY理論(大人として扱う。成果を上げることができる)
  • 予算はなくすが目標はある
  • なぜ、予算を立てるのかに立ち戻る
    • 財務目標
    • 見通し、予測
    • キャッシュの割り当て
  • 予算に透明性を持ち、自分たちで判断できるようにすること
  • 会社全体で合意を取ることが必要

【所感】
予算計画における、ネガティブな事象は身近でも多々感じるところです。脱予算を実践されている大企業も多く希望が持て、経営の決意というところが期待されるところですが、そのためにスクラムマスターとして何ができるのか?という問いを投げかけてくるセッションでもありました。

※公開資料なし

Takehito Koizumi / Sosuke Koi - The Courage to Continue and Cultural Intelligence — Insights from Agile Practice in Japanese Enterprises

歴史ある企業でのアジャイルトランスフォーメーションに挑戦した話。

  • 日本生命の子会社
  • 大規模、階層、ウォーターフォール開発が中心
  • 2022年からAgile開発の支援や社外での登壇をしてきたが、何も変わらない
  • ホフステードモデルで整理をしてみた
  • 日本は不確実性の回避、達成思考が強い
  • 日本の会議などでよく見られる光景(大人数出るが、しゃべるひとは決まっている など)
  • アーリーアダプターにフォーカスして、キャズムを超えることが大事
  • 続けることが重要
  • 作ったガイドは当初使われなかったが、3年経って使われた
  • 経営には丁寧に意図を伝える

【所感】
会社に変化を起こせないという悩みは非常に共感するところであり、継続するというメッセージには勇気づけられました。

Peter Beck / Andreas Schliep - The Strategic Answer to GenAI: Empirical Enterprise Evolution

生成AIに対する戦略的な考え

  • 戦略を知るにはシステムの制約を知る
  • AIの制約
    • 計算能力は、エネルギー(電力)が制約
    • データは、規制、非公開データ、量、構造が制約
    • 手法は、アルゴリズムが制約
  • 制約が変わると飛躍が起きる
  • 70~95%のAIプロジェクトが失敗している
  • AI戦略が必要
  • AME3を使う
    • 経験主義を使うこと、戦略を策定する時に重要となる
    • 事業環境の調査をする。WardeyMapを使う
    • 進化を予測・想像する
    • ※進化、コモディティ化までの流れなどをWardeyMapに整理することで、自社がどう立ち回るのか、立ち位置などを戦略(何に投資するのか)を立てるというようなことをお話ししていた
  • 全体最適の観点で、戦略に繋げなければならない
  • どうみえても人の問題である(ワインバーグの言葉の引用)

【所感】
登壇されたPeter氏、Andreas氏は世界的に活躍するスクラムトレーナーでもあります。その両氏が推すAME3というフレームや、WardeyMapでの整理という手段について、正直理解が追い付いておらず、深堀したい領域です。

※公開資料なし

Chris Kruppa - Why Scrum Fails: It’s Not the Teams, It’s the System

スクラムは機能するが、何故たまに失敗するのか?

  • 組織構造と異なる、人と人との繋がりの構造がある。これは観察することでしか見えない
  • 信頼に基づく関係もあれば、損なわれた関係もある
  • 階層が組織における人の振る舞いを規定する
  • 開発者と責任を取る上司、これがプレッシャーを生む
  • システムの問題なのに、チームが責められる
  • チームに任せるのもNG。ガードレールや指針が必要
  • 1ページの修正で100ドルのボーナス→生産性は向上されたがバグがでる→手抜きをした
  • リーダーシップを人に求めるのが誤解
  • 押し付けても反発する Push → Resistance
  • こうなりたいかを聞く Listen&Understand → Share&Adapt
  • 人の話を聞くこと
  • 自分の判断、失敗しても成長する。日々の人とのかかわりで変わっていく
  • 自分の真正性(Authenticity)を保つ、これは心理学に基づいている
  • Three Dimensions of Authenticity(真正性の3つの側面)
    • Indevidual
      • 継続的に自分を発見する。変わりゆく中で適応していく
    • Organizational
      • システムや関係性を観察する。RoleやEventではない
    • Social
      • 公共空間は守るためではなく、学ぶための場所として活用する
  • 人の声を聴き、考え方を変えていく
  • 4つの柱
    • Vulnerability
      • 知らないことを認める
    • Empathy
      • 他の視点を認める
    • Integrity
      • 完全性、自分のバリューを持つ、正直でいること
    • Adaptability
      • 適応する。変えられる。新しいやり方で挑戦する
  • 人ではなく、環境を変える

【所感】
Authenticityを高め、保つため、システムに着目する。そのために人と対話をするという点は、スクラムマスターとしての基本姿勢かと思いますが、4つの柱という、さらに一歩踏み込まれた形で表現されまとめられており、非常に参考となるセッションでした。

※公開資料なし

Mori Yuya - 「私の要求最優先!あなた後回し」そんな対立を超えてビジネス、開発、顧客が本当に欲しかったものを全両立するプロダクト組織の作り方

妥協することは分かっているものの、いわれたらやるしかない。トレードオフ問題を解決し両立させる。

  • 問い合わせが沢山、仕事の催促、メンバからの相談→妥協→パフォーマンス停滞
  • 売り上げ向上とコスト削減のコンフリクト
  • 行動はよい結果とわるい結果をもたらす、これが他組織の目標を損ねる可能性がある
  • メンバーが集まり、因果関係を理解し、効果を向上できないか協力する
  • 制約
    • 有限性:物質、空間、認知容量、時間の有限性
      • 配分のトレードオフが生まれる
      • 対処:代替、別のリソースで代替することができる
    • 不可逆性
      • 時間は一方向に進む。 時間、因果、経験の累積
      • 名前 プロポーズ 経験(初心に戻れない)
      • 対処:リハ、シミュレーションなど
    • 複雑性
      • 相互に影響し、予想が困難にふるまう
      • 相互作用の距離と遅延
    • 多主体性:組織の壁 別の目標をもっていること
      • 統合のトレードオフを引き起こす 悩み
      • 対処:分解、統合 扱いやすくして、合意形成などをする

【所感】
トレードオフや、コンフリクト、因果関係などシステム思考に関連する概念が多分に含まれていると感じました。半面、システム思考という言葉を使わずに、説得力ある形にまとめ上げているという点に関心しました。

※公開資料なし

【Keynote】 Dave Snowden - From Frameworks to Substrate: Rewilding Agile to Work at Scale - フレームワークから土壌へ:アジャイルを野生に戻して大規模で機能させる

クネビンフレームワークを開発したDave Snowden氏の講演。複雑性科学を用いて現実的なアプローチを提案がなされました。

  • 再野生化(Rewilding)は、より良いバランスを自然に返してあげること
  • レシピないと作れないユーザではなく、シェフになれ
  • シェフはいろいろな文脈、状況から創り出す。アジャイルはシェフの動き
  • 認定は詐欺、研修受けただけでスクラムマスターにはなれない
  • 10年以上の見習い期間が必要、認知能力を高めるにはそれくらいは必要
  • 必ず機能するモデルは存在しない。実践では何の役にも立たない
  • 相関と因果を混同するのもNG
  • 均質化すると多様性が失われて進化が止まる
  • 過去の因果は理解することができる
  • 人間のストーリーを描けるか?ストーリーを互いに伝えあう
  • Complex(複雑)の語源は、もつれ
  • 複雑性の例
    • 粘菌
    • アンテロープ
  • マイクロナラティブ:アニメやマンガなどを作ることもできる
  • 増やしたいストーリーにみんなをエンゲージする
  • 人間のセンサーネットワーク 社員が連絡できるようにすれば、情報を収集できる
  • サイロを超えたインフォーマルネットワークを作る
  • 犬は秩序、猫は複雑性が好きな人のもの。猫は家畜化されない。猫のようにふるまってください

【所感】
本セッションは、内容の難易度や話すボリュームの多さから「難しい...」という声をよく聞きました。しかしながらスクラムガイドにも複雑な問題に対応するのがスクラムであると記述があるように、私たちが向き合うべきテーマであることも明白であります。私自身、複雑性科学については避けていたところもあり、本セッションは改めて理解を深めようと思えるきっかけとなりました。
余談ですが、ハーバードビジネスレビューのクネビンフレームワーク特集の冊子にDave Snowden氏のサインを頂戴させていただきました。

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※公開資料なし

Amir Peled - Mindset Mastery: Switching from Fixed Habits to Embracing Agile

アジャイルマインドセットとは?Agile Mindset Kataで成長させる。

  • Tool、書籍の紹介
  • Agile Mindset Kata
    • 円に5つの領域があり、次の5つの埋め実行する
      • Challenge 挑戦(変えたいこと、課題)
      • Assumption 前提(変えられない自分の中の前提、考え)
      • Trap 障壁(自分で作った壁、障壁となる行動・事実)
      • Shift 見直す(何を変えるかの検討)
      • Try 次にやること
  • 橋を渡ろう。一歩ずつ進もう

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【所感】
価値観、マインドを変えるというのはスクラムマスターの常々の課題。Agile Mindset Kataはひとつのソリューションとなりえそう。コーチングやレトロスペクティブなどでの利用など応用性は高い。

※公開資料なし

Quang Nguyen / Sylvia Ng - Effective Learning with Training From the Back of the Room (TBR) \ 「教えない教え方」による効果的な学習

書籍「教えない教え方」通称TBRに関するワークショップ。書籍に紹介されているSix Trumpsを実際に体験できる。

  • Six Trumps よりよい学習効果を生むために重視する6つの事柄
    • Movement
trumps
sitting
    • Talking
trumps
listening
    • Images
trump
words
    • Writing
trumps
reading
    • Shorter
trumps
longer
    • Different
trumps
same

【所感】
踊ったり、歩いたり、書いたり、絵を描いたり、実際にSix Trumpsを実施しながらのワークショップとなっていて、ワークショップ自体の構成自体が実例となり非常に参考となった。

Jules Yim / Chloe O'Neil - The Cynefin Co. x Scrum Inc. Presents: Future Backwards: The State of Agile Adoption in Japan クネビン・カンパニーxスクラムインクによる:フューチャー・バックワーズ:日本におけるアジャイル導入の現状

クネビン・カンパニーで用いられるワークショップ「フューチャー・バックワーズ」のワークショップ

  • ワークショップの狙い
    • ※(筆者の解釈)可能性や創造できるかを共創すること、未来に希望を持つことができ、似ている希望や共通点を見出し、一緒に頑張っていこうというマインドを醸成する
  • 事例
    • ウクライナでやった、ワークショップの目的は、レジリエンスを高めること
    • 政府 軍隊 学術 市民のそれぞれのセクションで実施。4つの観点が明らかになり知ることができた
    • ワークのあとはグループをミックスして、どうしたら、レジリエンスを高める、メンタルを高められるかのアイデア 実験を沢山だしてもらった
    • 生まれたアクションは、ウクライナの軍隊でマインドフルネスを取り入れること
    • 瞑想をウクライナの軍隊に導入することは革新的であったが、ワークをとおして様々な視点を理解したため可能となった
  • 進め方
    • 現状をディスカッションし付箋にまとめる
    • 現状からさかのぼってどんな出来事があったかを時系列にまとめる
    • 最高の未来(ユートピア)を付箋にまとめる
    • ユートピアからさかのぼってどんな出来事があったかを時系列にまとめる。さかのぼった先を現状の出来事のタイムラインにつなげる
    • ユートピアでやったことをのディストピアバージョンを行う
    • 各グループで作った図を見て回る
  • いろんな人の希望、考えられている未来を可視化することで、どんな希望や恐怖を持っているのかをディスカッションするために使う

【所感】
ルールも簡単でチームビルドにも使えそうなワークショップ。特に異なる文化をもったチームの協働が必要になった時など効果的に利用できそう。

まとめ

今年のRSGTは、スクラムをどうやるか”ではなく、私たちは世界をどう捉え、そのうえでどう組織に関わるのかを問う場だったように感じました。Dave Snowden氏は複雑性そのものをテーマにした基調講演でしたし、Mori Yuya氏組織間の関係性に対する考察、Chris Kruppa氏は人と人との繋がり構造についてでした。それぞれ異なるトピックですが、「人を変えようとするのではなく、関係性や環境、構造を見る」という共通した視点を持っているように感じ、刺激になりました。
Dave Snowden氏のセッションは見返して、整理したいと思います。機会があればどこかで発表出来ればとも思います。

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