「ちゃんと教えているのに、なぜか伝わらない」
そんな経験はないでしょうか。
はじめに
以前、チームリーダーとしてメンバーの育成や進行管理を担当していたことがあります。
当時の私は、とにかく熱意がありました。
「もっと成果が出せるチームにしたい」「みんなに成長してほしい」
そう思って、気づいたことは積極的に伝え、
改善点があればその都度フィードバックをしていました。
でもあるとき、ふと気づいたことがあります。
「こんなに一生懸命伝えているのに、なんか全然刺さっていない人がいるな?」 と。
そのとき、
初めて自分のマネジメントという名の 「押し付け」 を見直すことになりました。
“正しいことを言う”がマネジメントだと思っていた
当時の私は
- もっとこうした方がいい
- そこは考え方を変えた方がいい
- それは違うから直そう
というように、「間違いを正す」ことがマネジメントだと思っていました。
実際、言っている内容自体は間違っていなかったと思います。
こちらの言いたいことを理解して、実践し、成長してくれる人はいました。
一方で、そうではない人もいました。
イマイチ反応が薄く、改善してほしい点はなかなか変わらない。
「ちゃんと説明しているのに、なんで伝わらないんだろう」
と、本気で思っていました。
けれど、今振り返ると、
私はずっと “自分の考えを教える側” の立場に立っていて、
「相手が何を考えているのか」 に、ほとんど意識が向いていませんでした。
「この人は何を考えているんだろう」と思えた瞬間
あるとき、いつも反応が薄いメンバーと腰を据えて話す機会がありました。
そのときの私は、いつも通り話していました。
「ここはこうした方がいいと思うよ」
「こういう視点で考えてみたほうがいいかもね」
そんなふうに、良かれと思って言葉を重ねていました。
相手は「はい」と頷いてくれていましたが、
どこか腑に落ちていないような、少し距離を感じる反応でした。
そのとき、ふと
「この人は、本当に納得しているんだろうか」
という疑問が頭をよぎりました。
そして、話しているうちに、ある違和感が生まれました。
この人も、自分なりに考えて動いていたのではないか。
私はそれを、“改善” という名目で否定し続けていただけなのではないか。
そのとき気づいたんです。
自分は「教えている」つもりだったけれど、
相手からすると 「ずっとダメ出しをしてくる人」 だったのかもしれない、と。
それから意識するようになったこと
この経験をきっかけに、それまでのマネジメントのやり方を少し変えました。
1. まず「どう考えてる?」と聞く
何か気になることがあっても、いきなり指摘するのではなく
「このタスクってどういう意図で進めてた?」
と、まず相手の考えを聞くようにしました。
すると、単に考えが足りないだけだと思っていたものが、
実は 「時間の制約がある中で生み出した、その人なりの最適解だった」
なんてこともありました。
2. “直す”より“すり合わせる”
以前は「それは違うからこうしよう」と修正することが多かったですが、
「自分はこう考えたんだけど、どう思う?」
と、自分の意見も一つの案として出すように意識しました。
一方的な教育・指導ではなく、 考えのすり合わせ に近い感覚です。
その方が、相手も「言われたからやっている仕事」ではなく
「自分の仕事」として納得して動いてくれることが多くなった印象です。
3. マネジメントは“熱量”だけではうまくいかない
当時の私は、とにかく熱意がありました。
でも今思うのは、マネジメントに必要なのは熱量だけではなく
相手の立場に立って考える余白
なのだと思います。
「良かれと思って」は、簡単に押し付けになります。
特に、リーダーという立場には影響力があるからこそ、
その言葉は想像以上に重く伝わることがあります。
だからこそ、そのことを心に留めておく必要があります。
おわりに
マネジメントとは、相手の間違いを正すことではなく、
相手と一緒により良いやり方を探すことなのかもしれません。
自分の正しさを伝える前に、
まず相手の考えを知ろうとすること。
あのときの経験があったからこそ、
今ではそう意識できるようになりました。
もし今、
「ちゃんと教えているのに伝わらない」
と感じている方がいたら、
そのマネジメントは 「押し付け」 になっていないか?
と、一度立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。