Keychron ( キークロン ) は薄型からハイエンドまで幅広いメカニカルキーボードを販売していますが、モデル数が多く、型番が非常に複雑なことで有名です。
この記事では K1 Max / K3 Pro / Q1 Max ... といった複雑なモデル名が何を意味するのかを解説します。
ご自身に合ったキーボード選択の一助になれば幸いです。
1. Keychron キーボード製品の命名規則
1-1. モデル名の分解
アルファベットと数字によって、機能とサイズが明確に分けられています。
| 要素 | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| アルファベット | シリーズ ( グレード / 素材 ) | e.g. Q : 最高峰モデル K : 多機能モデル V : 定番モデル |
| 数字 | レイアウト ( サイズ ) | e.g. 5 : 100% Full Size 1 : 80% Compact 3 : 75% Compact |
| 接尾辞 | 機能 ( 性能 ) | Max : フラッグシップ Pro : ハイエンド 無印 : スタンダード SE : 軽量・高コスパ HE : 磁気スイッチ搭載モデル |
1-2. モデル番号別 サイズ比較:配列と形の選び方
モデル名の数字は、キーボードの物理的なサイズ ( レイアウト ) を示します。
K / Q / V シリーズで数字の対応はほぼ共通です。
| モデル 番号 |
配列 サイズ |
特徴 | K シリーズの モデル例 |
|---|---|---|---|
| x1, x2, x3, x8 | 75% or 80% ( TKL ) |
テンキーなし K1 / K8 は 80% ( TKL ) K2 / K3 はコンパクトな 75% |
K1 ( 薄型 TKL ) K2 ( 厚型 75% ) K3 ( 薄型 75% ) K8 ( 厚型 TKL ) |
| x4, x5, x10 | Full Size or 96% |
テンキーが必要な人向け | K4 ( 厚型 96% ) K5 ( 薄型 100% ) K10 ( 厚型 100% ) |
| x6, x7 | 65% | 矢印キーは残し Fn キーや Home / End キーなど を削った最小限の構成 |
K6 ( 厚型 65% ) K7 ( 薄型 65% ) |
2. 重要なポイントは「Max」と「Pro」の違い
機能や素材は、主にこの接尾辞によって決定されます。Max と Pro の違いは、全シリーズ共通の指標となります。
| グレード | 最大の特徴 | QMK / VIA ( キー変更 ) |
接続方式 | 主な機能強化 |
|---|---|---|---|---|
| Max | RF 性能 ( Polling Rate ) |
対応 | 2.4GHz RF BT 有線 |
Polling Rate 1000Hz PBT キーキャップ 吸音フォーム強化 |
| Pro | カスタマイズ性 | 対応 | BT 有線 |
PBT キーキャップ 標準的な吸音構造 |
| 無印 / SE | コスト / 標準 | 非対応 | BT 有線 |
ABS キーキャップ |
3. 構造による打鍵感と価格の決定
ボディの材質は、打鍵感とコストに直結します。特に「アルミニウム筐体」と「フルアルミニウム」の違いは重要です。
| 材質の表現 | フルアルミニウム ( CNC ) |
アルミニウム筐体 | アルミニウム ( 上 ) + 樹脂 ( 下 ) |
|---|---|---|---|
| 構造の定義 | ボディ全体が アルミニウムの塊 |
上面や側面はアルミフレーム 底面は樹脂 |
上面のみアルミ 側面・底面は樹脂 |
| 主な採用 | Q シリーズ全般 K1 ( Version5 ) |
K シリーズ Max / Pro |
K シリーズ SE モデル |
| 重量 | 超重量級 | やや重い〜普通 | 最も軽量 |
| 打鍵感 | 最高品質 ( 振動・反響なし ) |
標準以上 ( 吸音材で改善 ) |
標準的 |
| 価格帯 | 最高級 | 中〜高価格帯 | 最も安価 |
4. モデル別 機能比較 ( K1 シリーズ )
ここでは、最も人気のある K1 ( 薄型 TKL ) シリーズのモデルを比較します。
| 機能 / モデル | K1 Max | K1 Pro | K1 | K1 SE |
|---|---|---|---|---|
| 接続方式 | 2.4GHz RF BT 有線 |
BT 有線 |
BT 有線 |
BT 有線 |
| QMK | 対応 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
| VIA | 対応 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
| Polling Rate | 1000Hz ( RF ) 1000Hz ( 有線 ) 90Hz ( BT ) |
1000Hz ( 有線 ) 90Hz ( BT ) |
1000Hz ( 有線 ) 90Hz ( BT ) |
1000Hz ( 有線 ) 90Hz ( BT ) |
| ボディ材質 | アルミニウム筐体 | アルミニウム筐体 | フルアルミニウム | アルミニウム ( 上 ) + 樹脂 ( 下 ) |
| Hotswap | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| キースイッチ | Gateron Low Profile 2.0 | Gateron Low Profile 2.0 | Gateron Low Profile | Gateron Low Profile |
| キーキャップ | PBT ( 高耐久 ) | PBT ( 高耐久 ) | ABS | ABS |
| 吸音フォーム | あり ( 静音性向上 ) |
なし | なし | なし |
| 重量 | 約 720g | 約 720g | 約 650g | 約 550g |
5. あなたが選ぶべき Keychron モデル早見表
用途別に、最適なシリーズとモデルを選定理由とともに整理します。
| 用途 | 最適なシリーズと モデル |
選定理由 |
|---|---|---|
| ゲーム・仕事の ハイブリッド |
K Max シリーズ ( K1 Max / K8 Max ) |
2.4GHz RF と QMK 対応。 K1 は薄さ、K8 は深い打鍵感で選ぶ。 |
| 最高の打鍵音と質感 | Q Max シリーズ ( Q1 Max / Q3 Max ) |
CNC フルアルミボディとガスケット マウントによる最高の打鍵体験。 |
| 仕事効率化 ( カスタム必須 ) |
K Pro シリーズ または V Max シリーズ |
QMK / VIA に対応しているため。 V シリーズは安価にカスタムが可能。 |
| 外出先での利用 | K3 Max / Pro ( 薄型 75% ) |
最もコンパクトで高性能。 薄型のため持ち運びの負担が少ない。 |
| テンキーが必要な人 | K5 Max ( 薄型 100% ) または Q6 Max ( 厚型 100% ) |
フルサイズ配列がある数少ないモデル。 |
6. ポチる前に要チェック!
6-1. バージョン違いに注意!
Keychron のキーボードには「バージョン」が存在します。
同じ製品モデルであっても、バージョンが異なると「BT のバージョン」や「ホットスワップの可否」が異なることもあります。
Keychron 公式ショップ では最新バージョンのみがラインナップされているので気にする必要はありませんが、Amazon や 楽天市場 など、公式ショップ以外で購入する場合は注意してください。
6-2. 日本語配列 vs 英語配列
通販サイトで「日本語配列だと思って注文したら英語配列のキーボードだった」というレビューを見かけることがあります。
後で後悔しないように、購入前には必ず「キー配列」を確認しましょう。
7. 用語集
ABS ( Acrylonitrile Butadiene Styrene )
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの略であり、一般的に広く使用されている熱可塑性プラスチックです。
柔軟性があり、成形しやすく、コスト効率に優れているため、多くの標準的なキーボードや RGB 透過性を必要とするキーキャップによく採用されます。
BT ( Bluetooth )
スマートフォン、タブレット、PC など、様々なデバイス間で広く使われている汎用性の高い近距離無線通信技術です。
利便性とマルチデバイス接続に優れ、特に Bluetooth Low Energy ( BT LE ) などのバージョンは省電力性能に優れています。
しかし、Bluetooth は複数のプロトコルレイヤーを介して汎用的な通信を行うため、通信のオーバーヘッドが大きく、高い Polling Rate を安定して維持することが難しいという制約があります。
このため、Bluetooth 接続は高い応答速度が求められるゲーミング用途よりも、一般のオフィス用途やモバイル用途に適しています。
CNC フルアルミボディ
CNC ( コンピューター数値制御 ) 技術を使って、金属であるアルミニウムを削り出して作られた、高い精度を持つ部品を指します。
コンピュータ制御された工作機械がプログラムに従って正確に加工するため、安定した高精度な製品が作られます。
PBT ( Polybutylene Terephthalate )
ポリブチレンテレフタレートの略で、高い剛性、耐熱性、そして優れた耐摩耗性を持つエンジニアリングプラスチックです。
キーボード愛好家の間で、PBT は ABS よりも優れた素材として評価されています。
PCB ( Printed Circuit Board )
プリント回路基板の略であり、キーボードの電子的な中枢です。
キースイッチからの入力を受け取り、ファームウェア ( QMK / VIA ) を実行し、その信号を USB コントローラなどを介して PC に送信する役割を担います。
現代のキーボードでは、PCB の柔軟性自体が打鍵感に影響を与える要素として設計されることもあり、単なる電子部品以上の役割を果たしています。
Polling Rate ( ポーリングレート )
キーボードがその入力状態 ( どのキーが押されているか ) を PC ( ホストデバイス ) に報告する頻度を示す指標であり、単位は Hz ( ヘルツ ) で表されます。
例えば、1000 Hz とは、キーボードが 1 秒間に 1000 回、つまり 1 ミリ秒ごとにデータを送信することを意味します。
QMK ( Quantum Mechanical Keyboard )
オープンソースのキーボードファームウェアであり、ユーザーにキーボードのカスタマイズを完全に制御する能力を提供します 。
多層的なレイヤー切り替え、複雑なマクロ設定、そして「Tap Dance」 ( シングルタップ、ダブルタップ、ホールドなど、押下の仕方によって異なる機能を割り当てる機能 ) といった機能を C 言語ベースで実装することができます。
RF ( Radio Frequency )
無線周波数の略であり、キーボードに付属する専用の USB レシーバー ( ドングル ) を介して行われる無線通信です。
この方式は Bluetooth とは異なり、キーボードからの入力信号伝送に特化したプロトコルを使用するため、通信のオーバーヘッドを最小限に抑えることができます。
TKL ( Tenkeyless )
テンキーレスの略で、フルサイズキーボードから右側のテンキーブロックを省略した配列です。
テンキーがない分、幅が狭くなり、デスク上のスペースを節約でき、マウス操作の邪魔になりにくいという利点があります。
VIA
QMK と互換性を持つファームウェアの設定ツールであり、その略語自体がツールを指すことが一般的になっています。
VIA の最大の特長は、GUI ( グラフィカルユーザーインターフェース ) ベースで動作し、キーボードのファームウェアを再コンパイルしてフラッシュ ( 書き込み ) し直すという複雑な作業なしに、キーマッピングの変更を即座に反映できる点です。
ガスケットマウント
キーボードの打鍵感を柔らかくし、打鍵音を滑らかにするための構造です。
キーボードの基板 ( PCB ) をケースに直接ネジ止めするのではなく、シリコンなどのガスケットで挟んで固定することで、打鍵時にプレートがわずかに沈み込み、金属感が減衰されます。