●はじめに
前回のYAMAHA RTX1300のLAG検証 記事
の中で、 回線切り替え時のミリ秒単位の測定には専用の試験機が必要になると触れましたが、本件は塩漬けにしすぎましたね。
2026年は夏が過ぎた後、変な長雨が1か月も続く異常気象。除湿器や扇風機が活躍した秋となりました。
ようやく雲の切れ間から穏やかな晴れ間が数日続くようになった頃、役目を終えた扇風機をそっと倉庫の奥に仕舞い込もうと足を向けました。そこにひっそりと佇んでいたのは、埃をかぶった古い測定器でした。
大昔、某事業場でNW製品開発のQAをやっていた時代。
あの頃の職場には、大型のSmartBitsをはじめ、TestCenter、N2Xといった名機たちがフロアにゴロゴロしていたのですが、勉強がてら当時手に入れたSmartBits200。久しぶりに火を入れてみようかと思い立ったのでした。
●1.やはりね。
ACケーブルを挿してスイッチオン……………………無音。
……ポチ。ポチ。
……無。
(どこかの昼会のように反応が無い
haha)
骨董品を扱う際に宿命となるのは部品の劣化です。御多分にも漏れず、このSmartBitsなんてマニュアルの日付を見ても2002年!
何度電源スイッチをカチカチやろうが、何も応えてくれません。
そりゃそうですね。前回使ったのは……はて?十年はとうに越えていたような気もします。
●2.何とかするのです。技術屋さんならば。
まぁ、今回は勤め先のモノでもなく、私物なので何をやってもいいフリーダムな装置です。
封印シールを迷いなく剥がし、中身を開けてみます(何となく内部は気が引けたので写真はありません。ご了承を)。拡張カードを挿入する4スロット受け口。その他のマザーボードを見ても民生のPC基盤改造という類のものではなく、こちらは流石に専用基盤ですね。
この基盤が逝っていたら保守も切れているので何もできないのですが、電源回りであれば自分でもなんとかできるかな?とテスターで当たってみます。AC100V受けはコネクタ外れもなく、FUSEも切れていない(ガラス管FUSEでした。懐かしい)。

んじゃあ、DC周りでしょ?ということでアタリを付けていったら
……ハーネス型のコネクタ。

これか?抜き差しゴリゴリっと。
再度tryしてみましょうかね。スイッチオン。……ブォォー
お。FANも回って
電源LED等も復活。
何でしょうね。今回は特にこれといったことはしていないのですが、まぁ、完全にコンデンサの容量が抜けてて時間かかったとか、装置から試されたとか?そんな類でしょう。
素直にふたを閉めて続きをやっていくことにします。


→最後にやったIPとport情報をシールで貼ってある優しさ。
ありがとー。>多分10年前の自分。
●3.前回も確か・・・
物持ちが良いもので、マニュアルやROMの類は捨てないで持っておくことにしています。
懐かしい。SMB-2000とか横刺しのSMB-6000とかありましたね。
読み進めていくと……
On your PC, open an MS-DOS prompt ――!
Microsoft(R) Windows 95 ――!!
ああ、何となく思い出してきました。これ、測定器を動かすアプリケーションも32bitで、ものすごーく古い
ものでした。
十年前の時も確か、OSの互換モードとか使って強引に動かした・・ような?!記憶があります。確かAPRESIAのMMRP切替時間をちゃんと測ろうとかで触ったのでしたっけ。
さてと、どう攻めましょうか。
●4.新旧混合で。
うまくいくかは判りませんが、Windows XP 32bit 終わりに近いSP3辺りを、Windows Server 2025のHyper-V上で動かしたらどうだろか?とアイデア
が降ってきました。
……令和のこのご時世に、XPって。
当時開発・テスト・評価目的で個人MSDNライセンスを持っていたので、ISOやシリアルもあるのですが……どうでしょうね。こればっかりはやってみないと判らない。まさに評価です。
32bitアプリケーションが当時のDLLとかと組み合わさってサラッと動いたら御の字ですね。
●やってみましょう。淡々と。

→笑っちゃいますね。第一世代の仮想PC作成でほんとに出来そう。

→SMBをコントロールする当時の推奨PCスペックはこちら。
- IBMコンパチPC(DOS-V機)400MHz Pentium II推奨ってw
- メモリ128MByte〜256MB推奨ってw
- HDD 40Mbyte〜4Gbyteってw
- OSはWin98/2000 or Windows NTってw

→大人げなく30GByte注入ドーン!(過多すぎる。)
時間かかるとか言われましたが、速かったですよ?

→懐かしのXP。

→この頃のUIに戻してほしいですね。シンプル&判りやすくていいのです。XP。

→残念。令和の今となっては期待できず。閉域でお外とは通信させません。というか、証明書もセキュリティセットも古いし無理でしょう。

→ZIPに対応!(多分、現役世代の若い方が思い描いているそれとは異なります。)

ワンポイント(vmguest.isoの入手とインストール)
インストール中、キーボードは効きますがマウス操作はNGでした。
Windows Server 2025などの近年のWindows ServerのHyper-Vでは、古いOS(Windows XPなど)に対応する統合サービス(vmguest.iso)が初期状態では同梱されていないためとのことです。
Windows XP環境で統合サービス(マウスの統合や画面解像度の最適化など)を利用したい場合は、古いバージョンのWindows Server(Windows Server 2012や2016など)のインストールメディアや導入済み環境からvmguest.isoを別途調達し、仮想マシンのDVDドライブに手動でマウントしてインストールするとマウスも動くようになります。
●ハマり事項。IPv4 TCPとUDP通信。
ゲストOS(Windows XP)にIPv4アドレスを割り振った後、作業用外部PCからのping(ICMP)通信は問題なく実施できました。
しかし、ゲストOS(Windows XP)に対してインストール資材をネットワーク越しに送ろうとするも、ことごとくNG。
TCPであれば3way handshakeの最後のackが送出されない。
これについてはGeminiさんが教えてくれました。
近代的なHyper-V環境とWindows XPの組み合わせでは、オフロード機能が原因でパケットのチェックサムエラーや破棄が発生することがあります。
以下の手順でオフロード機能を無効化してください。
- ネットワークアダプターのプロパティを開く
- 「詳細設定」タブを開き、一覧から以下の項目を探してそれぞれ**「無効 (Disabled)」**に変更します。
Large Send Offload Version 1 (IPv4)TCP Checksum Offload (IPv4)UDP Checksum Offload (IPv4)




→上記設定を変更したら、問題なくIPv4 TCPとUDP通信が実行できるようになりました。
●SmartApplications
SmartBitsを簡易的に動かしたい時にはこちらを使います。
まぁ、10Gbps〜QSFP28な100G〜400Gなんて世代になってしまったので、Throughputをこの装置で、ってのはすでにないかとは思いますが…。
Latencyは若干使えるかな?とも思います。
●SmartWindow
簡易的な確認では、PCをDUT上段下段に挟んでpingを1秒毎に送信~回線切替~"2パケロスなので2秒~3秒程度で復旧しましたー"なんてことも良く聞きますが、100msec orderや10msec orderの精度が求められるようなケースは測定器の利用が効率的かと考えます。




→例えば、100byteのpacketを10msec毎に1つずつ送りましょう、というような指定。

→図は6秒程度送ったときの送受信カウンタ。
654個packetを送って、654個もれなく受領。
もしここで2パケロスだったら”20msec程度が切替に必要な時間でした”ということが判ります。
(細かく言うとまぁ色々計算はあるのですが、大よそこんなイメージということで。)
●おわりに
近代的なHyper-V環境とWindows XPの組み合わせ・・・。誰得?
こんなことやる人がいるかどうかはアレですが、向こう5年の中で2,3人くらいはそんなケースに困る方もいらっしゃるでしょう?
いつかの誰かの助けになれば幸いです。














