ラスベガスで開催中の UiPath FUSION 2026 に参加しているので、現地からレポを書いていきます。今回は初日(9月23日)朝の基調講演編、前半。その日のうちに 会場のホテルでまとめた即日版です。細かい表現は後で直すかもしれませんが、熱いうちに出します!!
登壇は2人。Decision Intelligence の提唱者 Cassie Kozyrkov(Kozyr CEO、元 Google Chief Decision Scientist)と、UiPath Founder & CEO の Daniel Dines。この記事では Dines の単独講演パートまでを扱います。講演後半に組み込まれていた SMBC 山本圭さんとの対談と、Mayo Clinic / Medline / USAA の顧客パネルは次回にまわします。
さて、この記事はちょっと変わった2部構成にしてみました。
- 前半: 2人が何を語ったか。聞いてない人が10分で追えるサマリー
- 後半: 2人の「気持ち」「意見」「価値判断」が出ている発言に、私の意見をぶつけて、共感度を 5段階 で測る。ただし採点は自分ではなく AI(Claude)にやらせました
なんでそんなことをするのかは後半の冒頭で書きます。まずは中身から!!
目次
- セッション概要
- Cassie Kozyrkov: Winning with AI
- Daniel Dines: The Work That Remains と Map of Work
- 共感度を測ってみた
- 差分の全体傾向
- おわりに
セッション概要
| 項目 | Cassie Kozyrkov | Daniel Dines |
|---|---|---|
| セッション名 | Winning with AI: Embrace Change and Leapfrog the Competition | Real-world Transformation and Impact(前半の単独パート) |
| 時間(PDT) | 09:00〜09:36 | 09:37〜10:13 |
| 肩書 | CEO, Kozyr。元 Google Chief Decision Scientist | Founder & CEO, UiPath |
| 一言で | AI は「たぶん」の技術。決定論的な安全網で包み、チーム単位で設計せよ | LLM の限界は耐久性がある。だから「Map of Work」で仕事の地図を作れ |
会場は Wynn Las Vegas の Lafite Ballroom。朝9時スタートです。
Cassie Kozyrkov: Winning with AI
登場後の第一声がこれ。
AI のこのフェーズで、本当に一歩前に出て違いを生まなければならないのはリーダーだ。
テーマは ROI、AI マインドセット、リーダーシップ の3つです。
会場全員で Cat / Not cat!!
最初のワークは、観客全員が AI の画像分類システムになるというもの。スクリーンに動物が出たら、猫なら「Cat」、猫でなければ「Not cat」と叫ぶ。それだけ。
数枚は全員一致でサクサク進むんですが、トラの写真が出た瞬間に会場の答えが割れました。Cat と叫ぶ人、Not cat と叫ぶ人、「大きな猫」とつぶやく人。
そこで Cassie の総括がこれ。
あなたたちのせいではなく、私のせい。
(It's not you, it's me.)
指示を出したリーダー側が、目的とコンテキストを定義していなかったから失敗した、ということです。「ペット分類システムで、Cat と言うならおおよそネコ科で、成体でも抱きしめて安全な動物」と再定義したら、会場の答えは一発で一致しました。
目的とコンテキストがシステムを有用にする。それがなければ、私たちは曖昧さをスケールさせているだけです。
(Without it, we're just going to be scaling ambiguity.)
「曖昧さをスケールさせる」って表現、刺さりますよね。さらに「このシステムが自分のために作られたあと、別のチームが拾って別の目的に使ったらどうなる?」という問いも投げていました。
なぜ指示ではなくデータで自動化するのか
続いて、なぜ従来のコード(手順を書く)ではなくデータ(例を見せる)で自動化するのかを、会場と対話しながら整理していきます。会場からは「決定論的」「予測可能性」という答えが出て、Cassie はそれを「コントロール」と言い換えました。
データや AI に頼るのは、人間の頭に「猫らしさ」のレシピが収まらないように、手順を書き下せないほど複雑なときだけ。自分を「回復途上の統計学者」と呼びながら、こう断言していました。
不確実性は物事を良くしません。悪くします。確実性が得られるなら、コントロールが得られるなら、それを取りなさい。
(Uncertainty doesn't make things better, it makes things worse. If you can have certainty, if you can have control, get it.)
そのうえで、業界でよく聞く「AI は予期せぬことに対処するためのもの」という言い回しをひっくり返します。
予期せぬことに対処できるものは、予期せぬことを作り出すこともできます。
(Anything that can handle the unexpected can also create the unexpected.)
信頼するな、信頼しなくて済むように組み込め
統計学者は職業病として「信頼の問題」を抱えている、と Cassie は言います。技術も、同僚も、自分自身も信頼しない。でもそれには美しい側面があると続けます。
AI を信頼するか? いいえ、信頼しないでください。信頼しなくて済むような形で、システムに組み込んでください。
(Do I trust AI? No, don't trust it. Just put it into your systems in such a way that you don't need to trust it.)
もうひとつ、多くの企業が犯している間違いとして挙げたのが「AI を個人に配って終わりにする」こと。つながったパイプのうち1本だけ流量を100倍にしてもシステム全体は良くならない、という比喩で、システムレベルでの再設計を求めていました。
「maybe」で会社を回すな
ここで agentic AI の定義が入ります。2023年の LLM はブラウザの中の「体のない口」で、質問に答えを返すだけだった。agentic とは、その口に 手を与えた もの。ツールに接続し、ループで動かし、システムに触れられるようにした、という説明です。
ただし中身は確率的。どんな指示にも末尾に小さな「たぶん(maybe)」が付く。「ファイルを整理して、ただし1つも消さないで、たぶん」って部下がいたら困るでしょ? ビジネス全体を「たぶん」で回したくはないはず。
解決策は二者択一じゃない。「たぶん」の技術を、決定論的でコントロールできる仕組みと組み合わせる。これが Cassie の一貫した主張です。
魔人、ランプ、願う者
LLM は「何でも頼める」魔人(ジーニー)である、という比喩がここで登場。魔人の物語の教訓は「願いには気をつけろ」であり、主人公は魔人ではなく願う者(wisher)。そして常にコントロール、つまりランプのことを考えなければならない、と。
ランプのない魔人、コントロールシステムのない魔人は、ブランディングの良いポルターガイストにすぎません。
(A genie without a lamp is just a poltergeist with better branding.)
シリコンバレーは魔人(モデル)の話ばかりしているけど、重要なのは願う者とランプのほう。そして願う者とはチームと組織である。変革の単位は個人ではなくチーム、と締めていました。
AI の言語は4語
まとめとして提示されたのが Objectives、Boundaries、Context、Attention の4語。かつてテクノロジーの言語は「手順」だったが、AI の言語はこの4語であり、それはリーダーシップの言語だ、と。
- Objectives(目的): 問うべきは「この魔人は優秀か」ではなく「どれだけ速く改善しているか」。自分の組織がどう動くべきかの願いリストを持ち、半年後、1年後に再び試す。技術との関係を reactive から proactive に反転させる。「最も AI 的な一歩はペンと紙かもしれない」
- Boundaries(境界): 中で起きるカオスを覗こうとするより、入口と出口にチェックポイントを置き、両側を決定論的にして検証する。「確率的なものを決定論的な安全網で包むのが、確率と決定論の完璧な結婚」
- Context(コンテキスト): 自社に固有で、賢い新入社員でも知らない文脈を集めないと、AI にできるのは「何の訓練も受けていない新入社員が毎日ゼロから始める」程度のこと
- Attention(注意): あらゆる場所で人間の判断が必要になる。「質の高い人間の注意は複利で増える資産になりつつある」
Daniel Dines: The Work That Remains と Map of Work
Dines は、10年前にロンドンで開いた最初の UiPath イベントの話から始めました。約100人の部屋だったそうです。そこから ARR は 300〜400万ドルから20億ドル、顧客は 数千社から1万社超 へ。
人は1年でできることを過大評価し、10年でできることをひどく過小評価する。
そして今回のイベントを「UiPath の歴史上、最も重大な発表」と位置づけました。言い切りましたね。
AI と一緒に本を書いた話
Dines は AI の進化のマイルストーンを3つ挙げます。録音上1つ目は聞き取れなかったのですが、2つ目は chain of thought の登場(人々が AI に問い続け、ループに入れる必要に気づいたとき)、3つ目は去年12月の コーディングエージェント。「当時の Opus 4.5 でコード生成が本当に機能するのを見たとき、巨大な飛躍だった」と。
そのコード生成の考え方を「本を書くこと」に応用したのが著書『The Work That Remains』です。副題は「AI proposes. Humans decide. Automation executes.」。参加者全員に配布されるとのこと!!
執筆では Claude をゴーストライター兼アイデアの壁打ち相手、ChatGPT を編集レビュー用のエージェント として同時に使い、「異なるモデルに異なるタスクをさせるのは良い」と気づいたそうです。ちなみに Dines、ティーンの頃の夢は作家で、小説を書こうとして才能がないと気づいてソフトウェアエンジニアになった、という自虐も入ってました。「一番作家に近づいたのは Microsoft でエラーメッセージを書いてたとき」だそうです。
執筆のきっかけは、今年初めに AI ラボの著名人が語った「数年のうちにデータセンターの中に何百万人のアインシュタインが現れる」という予測でした。
それが本当なら、皆さん、私たちは全員おしまいです。正直、投資家としても怖かった。私たちはみんな怖い。それを認めなければなりません。
(We are all cooked, if that's true. I'm scared. I think, guys, we are all scared. We have to admit this.)
でも同時に、企業の実務家として「エンタープライズのプロセスに自律型 AI を入れるパイロットは簡単ではない」ことも知っている。ならばなぜ「アインシュタイン」がもっと些細な仕事を自律的にこなせないのか。この問いから、Dines は LLM の限界を3つに整理しました。
LLM の3つの耐久性ある限界
1. 結果を負わない(actions with consequences)
数学オリンピックの問題では人間に勝つ LLM が、なぜチェスでは初心者の Dines に負けるのか。LLM は提案する行動の 結果を負わない からだ、と。
LLM を罰する技術は存在しない。
(There is no technology to punish an LLM.)
人間のプレイヤーには失う試合があって、負けを重ねて恐れを内側に築く。LLM にはそれがない。エンタープライズの世界では、支払いを送るというようなほとんどの行動に結果が伴います。
2. 学ばない(learn on the job)
推論においては LLM がすでに人間の99%を上回るだろう、と認めたうえで、人間の強みは「仕事の中で学ぶ」ことだと述べます。会議に出て聞き、同僚に電話し、数週間かけて判断できるようになる。
LLM は学ばない。記憶はあるが、それは学びとは別物だ。記憶とは文の書かれたメモ帳にすぎない。
(LLMs don't learn. They have memory. But that's a very different thing than learning.)
質問を送るたびにモデルはゼロから始まり、情報は重みに伝播しない。だから LLM が働くには完全なマニュアルが必要になるけど、そんなマニュアルを持つ会社はどこにもない。
3. 正確でない(exactness)
LLM はもっともらしく聞こえるように作られていて、正確であるように作られていない。巨大な数の掛け算は電卓を呼ぶのが当然で、企業の多くのタスクは100%の精度を期待する。「支払いで99%の精度はあり得ない。監査人も規制当局も受け入れない」。
そして Dines は、この3つの限界には 耐久性がある(durable) と言い切ります。
私がここで述べた限界は耐久性があると信じています。これらを本当に修正する技術革新は、いまのところ見当たりません。
一方で、本の立脚点は「LLM が弱い」ではなく「LLM が強い」ことにある、とも。
私は LLM の力を強く信じています。しかし「人間プラス AI」の力を、さらに強く信じています。私たちプラス AI は、スーパーヒューマンになった。
Map of Work と Cartographer Agent
限界を踏まえた UiPath の答えが「Map of Work」です。スライドは Process(Maestro、パッケージ済み UiPath ソリューション)、Task(RPA、API、Agents、People)、Foundation(AI Trust Layer、Security、Observability、Data)の3層。「Live、Customer-owned、Governed」と添えられています。Dines はスライドの見出しにある Enterprise context を「少し誤りがある。目指すのはプロセスコンテキストだ」と壇上で訂正していました。つまり、前述の「存在しないマニュアル」を作ろうという話です。
地図を作る製品が Cartographer。プロセスマイニングとタスクマイニングへの過去の投資の延長で、プロセス図や SOP を吸収するだけでなく、業務の専門家に「この請求書の例外をどう扱うの?」「画面を録画してくれる?」「郵便番号がアラバマのときなぜ別経路?」と質問して、録画からプロセス図を組み立てる。最初の地図は「確実に不完全」だけど出発点になる、と。
その先は コーディングエージェント です。Dines はコーディングエージェントが「実装」と「保守」という2つのボトルネックを取り除いたことを「非対称性」と呼び、Map of Work と PDD からソリューションを設計し、コーディングエージェントのチームに構築させ、展開するという流れを描きました。展開されるのはソフトウェアだけじゃなく、生きた Map of Work のコピー でもある。エージェントがケースを読み、提案し、人間がレビューして修正し、その修正を decision agent が捕捉して地図に戻す。こうして地図は最新に保たれる、という設計です。
地図が必要。レールが必要。そして結果を伴う行動には、門に立つ人が必要です。
(You need to have the map. You need to have the rails. And you need to have people at the gate for the consequential actions.)
自律性は段階的に渡すが、それは証拠の後、「エージェントが何千回も正しい判断をするのを見た後だけ。初日から渡すことはできない」と釘を刺していました。
共感度を測ってみた
ここからが本題です。
AI ネイティブな働き方になってくると、IT スキルや知識の量よりも「AI のスペシャリストと同じ Vision を持っているか」が重要になる、と私は思っています。ただし盲信して Vision を合わせるんじゃない。自分の Vision とどれだけ差分があるかを測っておく。差分が分かれば、埋めるか、あえて埋めないかを選べるからです。
というわけで、2人の発言のうち「気持ち」「意見」「価値判断」が出ているものを12個拾って、それぞれに自分の意見を書き、共感度を5段階で付けてみました。5 = 完全に同じ景色を見ている、1 = まったく違う景色を見ている です。
採点は AI にやらせました
最初は自分で点数を付けたんですが、12個中8個が5点 になってしまった。刺さった発言に反射で5を付けてる自覚があって、正直これは信ぴょう性が薄い。
そこで、私が各発言に書いた意見をそのまま Claude に渡して、「登壇者の発言の主張と、この人の意見は、同じ命題にどれだけ賛成しているか」で採点し直させました。以下の点数は Claude が付けたもの、意見の文章は 私のもの です。自分の景色を AI に測らせる、というのもこの記事のテーマには合ってるでしょ?
Cassie Kozyrkov 編
| # | 発言(和訳) | 原文 | 共感度(Claude 採点) |
|---|---|---|---|
| C1 | データは美しい。しかし世界に影響を与えるのは、私たちの行動と意思決定のほうだ | data are beautiful, but it's through our actions, our decisions, that we impact the world | 4 |
| C2 | 予期せぬことに対処できるものは、予期せぬことを作り出すこともできる | Anything that can handle the unexpected can also create the unexpected | 3 |
| C3 | AI を信頼するな。信頼しなくて済む形でシステムに組み込め | Don't trust it. Just put it into your systems in such a way that you don't need to trust it | 5 |
| C4 | 変革の単位は個人ではなくチームだ。システムを再設計せよ | The individual isn't the unit of transformation. It is the team | 3 |
| C5 | 問うべきは「魔人は優秀か」ではなく「どれだけ速く改善しているか」。最も AI 的な一歩は紙に書き出すこと | how quickly is the genie improving / the most AI thing you can do would involve pen and paper | 4 |
| C6 | 質の高い人間の注意は、複利で増える資産になりつつある | high quality human attention is becoming a compounding asset | 3 |
C1(4)
私の意見: 今年から世界の色が変わったと思ってる。AI を使うことで膨大なデータがコントロールできるようになった。ただし、どう使うか、魂のこめどころが重要。
Claude の判定: 「どう使うかが重要」は Cassie と一致。ただ意見の主語が「データがコントロールできる」というデータ側の興奮で、Cassie が言っているのは「データの価値は行動より下」という格下げ。1点分ずれている。
C2(3)
私の意見: AI ネイティブと言って差し支えない働き方になった今年1月から、視野が圧倒的に広がった。
Claude の判定: Cassie のこの発言はリスクの警告。「予期せぬことを作る」とは、想定外のエラーや害が出るという意味。意見は「予期せぬ景色が見えた」という好機の話で、警告の側に一言も触れていない。同じ言葉を逆の気分で読んでいる。
C3(5)
私の意見: これは本当にそう思ってる。ただし、うまく人に伝えられないジレンマに苦しんでる。
Claude の判定: 完全一致。伝え方の悩みは Vision の差分ではない。
C4(3)
私の意見: 自分ひとりが AI ネイティブになると、周りと意見が食い違うようになる。自分にとって当たり前のことが、AI を使ってない人には突拍子もなく聞こえるみたい。だからチーム、というかこの世の中をどうやって AI ネイティブにしていくか、という視点。システム視点ではない。
Claude の判定: 「チーム単位で考える」という目標は同じ。しかし Cassie の主張は「組織の全員に自分で工夫させるな。ワークフローをシステムとして設計し直せ」であり、「みんなを AI ネイティブにする」という個人の底上げ路線は、むしろ Cassie が批判している側に近い。手段が逆。
C5(4)
私の意見: 「AI が思ったようにならない」って話はよく聞くけど、それは AI にうまく伝えられない人間側の問題だと思ってる。AI 時代は人間が一番のボトルネック。
Claude の判定: 本人は自分を「特殊かも」と書いているが、Cassie も「仕事がどう動くべきかを書き出す宿題をやっていない組織が多い」と、ボトルネックは人間側だと言っている。「魔人の改善速度を問え」も「技術は勝手に良くなるから人間側の準備をしろ」の意味。思っているより近い。
C6(3)
私の意見: 質の高い人間には2通りいる。マラソン型と短距離走型。俺は短距離走型だけど、AI のおかげでマラソンができるようになった。資産価値は上がってるが、複利というより質の圧縮。
Claude の判定: 「人間の価値が上がる」という結論は一致。Cassie の「複利」は「今日考えたことが後で効く」という時間軸の話で、本人の「圧縮」は「弱点を AI が埋める」という能力軸の話。別の機構を語っているので中間。
Daniel Dines 編
| # | 発言(和訳) | 原文 | 共感度(Claude 採点) |
|---|---|---|---|
| D1 | それが本当なら私たちは全員おしまいだ。正直、怖い。認めなければならない | we are all cooked, if that's true. I'm scared. We have to admit this | 5 |
| D2 | LLM は自分の行動の結果を負わない。LLM を罰する技術は存在しない | LLMs don't bear consequences of their actions. There is no technology to punish an LLM | 4 |
| D3 | 人間は仕事の中で学ぶ。LLM は学ばない。記憶はあるが、それは学びとは別物だ | Humans learn on the job. LLMs don't learn. They have memory. But that's a very different thing | 2 |
| D4 | LLM には正確である能力がない。この限界は耐久性がある | They don't have the capability to be exact. I believe the limitations are durable | 3 |
| D5 | LLM の力を強く信じる。しかし人間プラス AI の力をさらに強く信じる | I'm a huge believer in the power of LLMs, but an even bigger believer in the power of humans plus AI | 5 |
| D6 | 地図、レール、門に立つ人。自律性は何千回の正しい判断を見た後にしか渡せない | the map, the rails, and people at the gate / only after evidence | 4 |
D1(5)
私の意見: 焼け野原になる未来から目を背けてはいけない。背けた人から順に消えていく。
Claude の判定: 「恐れを認めるところから始める」で一致。本人の言い方は Dines より冷たいが、方向は同じ。
D2(4)
私の意見: (理由なしで5を付けていた)
Claude の判定: 理由が書かれていないので、他の回答から推定。D4 で「人間の強みは素早く見直しができる点だけ」と書いているので、「結果を伴う行動には人間が門に立つ」には賛成。ただし Dines の「人間のほうが結果を評価できる」という人間優位の見方までは共有していない。
D3(2)
私の意見: これこそが、今後 AI で切り込んでいくメインターゲット。問いは「学ばない前提でどう囲うか」じゃなくて「どうやって AI に学ばせるか」。
Claude の判定: 「学ばないのは耐久的な限界」と「学ばせることが主戦場」は正面から逆。ただし Dines の Map of Work は、人間の修正を decision agent が捕捉して地図に戻すことで「重みの外で学ばせる」仕組みでもある。本人が狙っている問題を、Dines は別の名前で解こうとしている。だから1ではなく2。
D4(3)
私の意見: 今回のテーマである ROI で考えると、正確性ではなく ROI で攻めるべき。ぶっちゃけ人間のほうがすでに精度は低い。人間が優れているのは素早く見直しができる点だけ。AI ネイティブな人で「精度、精度」と言ってる人は最近見ない。
Claude の判定: 本人は5を付けていたが、ここが一番ずれている。Dines の主張は「正確性は譲れない。監査も規制も99%を受け入れない。だから LLM に求めず決定論に任せろ」。本人は「正確性という指標そのものが過大評価」。「LLM に正確性を求めない」という結論だけ一致していて、前提が逆。
D5(5)
私の意見: AI は人間の能力の底上げに近い感覚。得意と不得意がきっぱり分かれるタイプの人間が、最大の恩恵を受けてる気がする。
Claude の判定: 一致。「AI なしにこの本は書けなかったが、AI だけでも書けなかった」という Dines の実感と重なる。
D6(4)
私の意見: AI 時代に「要件だ」「精度だ」と空中戦をするくらいなら、即座に取り掛かって効果を測定したほうが早い。今までの常識が AI では通用しない。
Claude の判定: 両者とも実証主義で、方向は同じ。ただし Dines は「初日から自律は渡さない。何千回の正しい判断を見てから」と慎重で、本人は「即座に取り掛かれ」と前傾。門番が Dines は人間、本人は測定。
差分の全体傾向
自分で付けたときは12個中8個が5点。Claude に付け直させたら 5点は3個(C3、D1、D5)、平均は 4.1 から 3.75 に下がりました。
まず分かったのは、自分の5点は「命題への賛否」ではなく「発言を聞いたときの体温」を測っていた ということ。刺さった発言には、自分の意見が別のことを語っていても5を付けていた(C2、D4)。逆に「自分は特殊かも」と思っていた C5 は、実際には Cassie とかなり近かった。自分の景色は、自分で測ると歪む。
そのうえで、Claude の採点で差分が集まった場所は「リスクと正確性の聞き方」です。Cassie の「予期せぬことを作り出す」(C2)も、Dines の「正確性は譲れない」(D4)も、2人は 警告 として語っている。自分はそれを 好機 として受け取っていた。「AI ネイティブになったら視野が広がった」「精度より ROI」。これはたぶん、2人がリーダーと企業に向けて「囲い方」を語っていて、自分は現場で「まず動かす側」にいるからだと思います。
もうひとつの差分は D3。「LLM は学ばない」を Dines は前提として受け入れ、地図で囲う。自分はそこを次の主戦場だと思ってる。ただ Claude に指摘されて気づいたのは、Dines の Map of Work も「重みの外で学ばせる」仕組みだ ということ。呼び名が違うだけで、解こうとしている問題は同じかもしれない。
差分を埋めるか、あえて埋めないか。少なくとも「どこにあるか」は測れました。それがこの2セッションの一番の収穫です。
おわりに
というわけで、FUSION 2026 基調講演レポの前半、現地即日版でした。この後もセッションが控えているので、この記事はここで一度出します。
次回は「基調講演 顧客パネル編: SMBC の 600万時間・3,000人・AI by Design と、Mayo Clinic / Medline / USAA の本音」です。お楽しみに!








