インドで開催された UiPath DevCon India 2026 に参加してきたのでレポを書いていきます。今回は分科会セッション "Coding Agent for Building RPA with Studio" 編です。
RPA 開発の"退屈な作業"を coding agent に肩代わりさせて、開発者は方向修正と価値創出に集中する——そんな未来をライブデモで見せてくれた、かなり熱いセッションでした。
目次
- 開発者の時間、どこに消えてる?
- PDD はビジネスと開発者の契約書だぜ!!
- Delegate で PDD 作成を爆速に!!
- CLI と Skills、これが Coding Agent への入り口!!
- Coding Agent はどう動くの?
- ライブデモ — Studio で agent が自律構築!!
- Object Repository も自動生成されちゃう!!
- 完成したプロセスを確認!!
- 要点まとめ
- おわりに
開発者の時間、どこに消えてる?
セッション冒頭、登壇者がいきなり会場に問いかけました。「詳細が欠けた PDD(Process Design Document)に何度遭遇しましたか?」——これ、みんな頷くやつじゃないですか。
開発者の時間って、実は構築そのものよりも、こういう作業に持っていかれてるんですよね。
- design handoff:曖昧な PDD をビジネスアナリストに何日もインタビューして読み解く
- build itself:変数の配線、テストケース作成、プロセス変更時のリファクタリング、try-catch を書く……
「Less interpretation. More building.」——スライドのキャッチコピーが刺さる!!
「プロセスをちゃんと把握しないまま何週間も構築して、本番に入って初めて『本番対応できていない』と気づく」——目を覆いたくなる状況ですが、あるあるですよね。これを Coding Agent で根本から変えようというのが今回のテーマです。
PDD はビジネスと開発者の契約書
「PDD はビジネスと開発者の間の契約 (contract) です。」
このスライド、めちゃくちゃ刺さりました。Business Analyst が Delegate で PDD を作り、その PDD を Studio の Coding Agent が読み込んで実装する——両者の間に立つ"契約書"が PDD という整理。
つまり、PDD の品質を上げれば自動化の品質が上がる。そしてその PDD 作成自体を AI が手伝ってくれる、というのが次の話題です。
ここで気づいてしまった。
「あれ、俺いらなくね?」
BA的なロールを担当することはあるが、専門ではない...
Delegate で PDD 作成を爆速に!!
Delegate はビジネスアナリストや データアナリスト が PDD を効率的に構築するための UiPath の新ツールです。単なるドキュメント作成ツールじゃなくて、process-skills KB をベースに動作する Agent。
- あらゆるドキュメント・録音・動画を解析して PDD を構築
- ターゲットアプリケーションを 自律的にナビゲートしてスクリーンショットを撮影
- フィールドの必須/任意の別やバリデーションルールを 自動検出
- 不足している情報を質問形式でインタビュー(ここだけは推測ではなく確認!!)
実際のデモでは、Delegate に「HR onboarding for new benefits の PDD を書いて」と指示するだけで、サイドバーに複数プロジェクトを管理しながら、Knowledge Base(ドキュメント・ファイル・録音などのグラフ)を参照して動き出しました。
「どのフィールドにバリデーションがあり、どのフィールドが必須かを知らないと、大変な目に遭います。しかも、すぐにはわからず、次の金曜日や次の日曜日になって初めて気づくことになる。」
Delegate が自律的にアプリをナビゲートしてフィールドのバリデーションルールまで検出する、という話——現場の痛みを的確に潰しに来てる。
CLI と Skills、これが Coding Agent への入り口!!
ここからが本題。UiPath は Claude Code・OpenAI Codex・Cursor といった汎用 Coding Agent に UiPathプラットフォーム全体を公開 しています。どのツールを選んでも、通常のユーザーと同じガバナンス・トレーサビリティがそのまま効くのが嬉しいところ。
手段は 2 つ。
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
CLI (npm install -g @uipath/cli) |
パッケージング・実行・Orchestrator デプロイ・キュー操作・ワークフロー検証 |
| Skills (github.com/UiPath/skills) | Selector パターン、Object Repository 再利用、Maestro 用 flow 配線、Coded Apps パターン、Orchestrator のセマンティクスなど |
「Skill とは、Agent が従うレシピのようなものです。 Agent にタスクを渡すたびに、そのレシピに従います。」
Skills には UiPath 社内の大規模 IT 開発チームが培ってきたナレッジがぎっしり詰まっているとのこと。正しい Selector・正しいアーキテクチャ・フレームワークの使いどころ・キューを使うべきタイミング・エラーハンドリングの方法……全部 GitHub で公開されていて、継続的に拡充されていくらしいです。これは頼もしい!!
Coding Agent はどう動くの?
Coding Agent は 複数のシグナル から動作します。
- Specifications (PDD) — Delegate が作ったり既存のドキュメントだったり
- Test scenarios — テストケースから開発を始める TDD スタイル
- Errors & failures — keynote でも紹介されたエラーリスト起点
- Review feedback — GitHub のコメントを agent に解決させることも可能
「どこから始めても OK」というのがポイントで、Coding Agent が "Any Signal" を入力に自動化をどんどん堅牢にしてくれるということです。開発者は コントロールを握ったまま バリューチェーンの上位へ移行——退屈な作業は Agent に任せて、自分は監督・方向修正・ステークホルダーとの価値共創に集中できる、というメッセージでした。
ライブデモ — Studio で Agent が自律構築!!
ここからが本日のハイライト。Studio 内で Claude Code パネル を起動し、REFramework ベースの ref_demo プロジェクトに対して、プロンプトはシンプルに、
「新入社員を RL に関連付けてオンボーディングするプロセスを構築して」
これだけ。あとは Agent が自律で走り出します。
Agent の動作ステップ
- プラン策定 — memories と skills を参照し、これが RPA タスク(REFramework を使うべき)と判断
- Object Repository の確認 — 既存のものがあれば参照、なければターゲットアプリを自動探索
- アプリ探索 — スクリーンショットを撮りながら computer vision で要素認識、selector を記憶
- XAML 構築 — フレームワークの依存関係・リソースを検証しながら XAML を生成
- 自己修正ループ — CLI のルールに基づいて検証 → エラーがあれば書き直し → 再検証
ターミナルには Run project discovery から始まり、Check UIA package version & OR setup → Capture OR targets for portal form → Add config rows to Config.xlsx → Build Process.xaml form-filling logic → Validate and build と、タスクがチェックされながら淡々と進んでいきます。
「完了するまで止まりません。 」
途中で別ウィンドウから Gemini CLI を起動し、uipath-solution-design skill を使って Solution Design Document を自動生成するデモも挟まれました。Gemini CLI が Dispatcher/Performer パターン が適切と自ら判断し、Orchestrator Queue を中間に配置、3 つのプロジェクト(Dispatcher / Performer / UI Fallback)に分割、フェーズ分けやテスト方法まで提案してきました。
寒気がくるような内容ですね。
Object Repository も自動生成されちゃう!!
デモで個人的に一番テンションが上がったのがこれ。agent が Object Repository を自動生成 している様子。
Studio の Object Repository パネルを見ると、BenefitConnect HR Operations というアプリの UI Descriptor 配下に、
BaseSalary SpinnerDateOfBirth InputDepartment InputDivision Dropdown- …
といった具合に、フォームの全要素が綺麗に列挙されている!!これを Agent が 手動操作なしで 構築したっていうのが、ヤバすぎる!!
「Selector が単に有効なだけでなく、強力 (robust) なんです。指定することと正しい Selector を構築することは別物であり、後者はより難しい作業で、経験豊富な開発者が必要でした。今では、それが自動的に行われます。」
正しい Selector って、経験ある開発者でも頭を悩ませる作業じゃないですか。それが自動化されるって、現場の RPA 開発者からするととんでもないレベルの効率化です。
完成したプロセスを確認!!
Build Process.xaml form-filling logic ステップが進むと、Coding Agent が複数のアクティビティを Object Repository の IdRef で紐付けながら書き込んでいきます。Successfully linked Object Repository element to activity のログが連続で流れて、リンクが次々と確定していく様子は見ていて気持ちがいい。
そして完成形がこちら。
トランザクション読み込み、必須フィールドのバリデーション、例外送出、日付フォーマット、アプリ起動、各フィールドへの入力、条件分岐——必要な要素が一通り揃っています。properties panel を確認すると、Object Repository が正しく参照され、引数も適切に設定済み。ネガティブシナリオまで含めて、検証が全部揃ったプロセス を Agent が書き上げていたわけです。
レガシー対応として、migrator(80〜90% を自動対応)+ Coding Agent で 99% まで到達、最後の 1% だけ人間が担えば数日でプロジェクトを納品できる、とのこと。数週間かかっていたものが数日に縮まるだと?
くらくらしてきたぜ。
要点まとめ
| トピック | ポイント |
|---|---|
| 開発者の時間 | PDD の解釈と build の繰り返し作業に時間を奪われている |
| PDD = 契約 | BA と開発者をつなぐ契約書。品質が automation の品質を決める |
| Delegate | アプリを自律探索して PDD を自動構築。必須フィールド・バリデーションも検出 |
| CLI |
@uipath/cli で Agent にプラットフォーム操作を公開 |
| Skills |
github.com/UiPath/skills のレシピ集。RPA / Maestro / Coded Apps 全部入り |
| 自律ループ | 検証 → エラー → 書き直しを完成まで繰り返す。人間が止めない限り動き続ける |
| Object Repository | Agent が Selector を自動生成。有効なだけでなく強力 |
| Gemini CLI 連携 | Dispatcher/Performer パターン提案・Queue 設計・フェーズ計画まで自動 |
| レガシー対応 | Migrator (80〜90%) + Coding Agent で 99%、数週間 → 数日 |
| 開発者の役割 | 退屈な作業は Agent へ、意思決定・監督・価値共創は人間が担う |
おわりに
セッション全体を通じて一貫していたのは、「Coding Agent は開発者を置き換えるのではなく、開発者をドライバーにする」というメッセージ。
いやいやいや、その先が簡単に想像できるからこっちはクラクラしてるんだって...
また、退屈な変数配線やエラーハンドリングは Agent に任せて、自分はプロセスの監督・方向修正・ステークホルダーとの価値共創に集中できる——その世界が、ライブデモという形で目の前に示されていました。
個人的に刺さったのは、Delegate がターゲットアプリを自律ナビゲートしてバリデーションルールまで検出する話と、Object Repository が自動生成される点。現場で RPA を触ったことがある人なら誰でも刺さるやつですよね。
CLI と Skills も GitHub と npm で公開されているので、まずは手元のパソコンで @uipath/cli を入れて試してみる のが一番早そうです。みんな Coding Agent を使い倒そう!!
次回は別のセッション編です。お楽しみに!!










