1. はじめに
2020年11月現在、Db2 の最新バージョンは v11.5 であり、
アップグレード方法として いくつかの手順が考えられます。
今回はDb2 v10.5 から v11.5 へ、
同じ インスタンス上での db2iupgrade・upgradeコマンドを使用した アップグレード手順をまとめます。
2. 準備
今回はDb2 v10.5 から v11.5 へのアップグレード手順を確認するため、
あらかじめ Linux環境に Db2 v10.5 を導入し、インスタンス db2inst1 を作成しています。
さらに、データベース testdb を作成し、以下のようなテーブル tbl1 を準備しておきます。
[db2inst1@localhost ~]$ db2 "SELECT * FROM tbl1"
COL1 COL2
----------- ----
1 A
1 record(s) selected.
3. 移行作業
3-1. Db2 v11.5 インストール
Db2 v10.5 をインストールした 同じサーバー上に、Db2 v11.5 をインストールします。
※ インスタンスは後で移行するので、新たに作成する必要はありません。
Db2のインストール手順について、詳細は以下リンク先の記事をご参照ください。
【備忘録】Db2 インストール手順まとめ（Linux）
https://qiita.com/Haruka-Ogawa/items/9576399209b32f3016ea
3-2. 移行前作業
Db2 アップグレード 前に、制約事項・推奨事項、また v11.5以降 サポートが廃止された機能 などを確認します。
Knowledge Center：Db2 サーバーのアップグレードに関する重要事項
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.qb.upgrade.doc/doc/c0023734.html
より確実に移行するためには、
アップグレード前の バックアップ、診断情報や構成パラメーターの取得、
アップグレード操作時に エラーが発生した際のリカバリー方法の検討、
テスト環境にてアップグレード操作の確認を
実施すると なお良いでしょう。
Knowledge Center：Db2 サーバーのアップグレード前タスク
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.qb.upgrade.doc/doc/t0050541.html
・ 状態確認
アップグレード作業の前に、
db2ckupgrade コマンドを実行し、データベースがアップグレード可能かを確認します。
コマンドは 以下の通りです。
db2ckupgrade <DB名> -l <ログファイル>
Knowledge Center：db2ckupgrade - アップグレードのためのデータベースの検査コマンド
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.admin.cmd.doc/doc/r0002028.html
実行例は 以下の通りです。
[db2inst1@localhost bin]$ pwd
/opt/ibm/db2/V11.5/bin
[db2inst1@localhost bin]$ ./db2ckupgrade testdb -l /tmp/db2ckupgrade.log
DBT5508I The db2ckupgrade utility completed successfully. The database or databases can be upgraded.
[db2inst1@localhost bin]$ cat /tmp/db2ckupgrade.log
Version of DB2CKUPGRADE being run: VERSION "11.5"
Database: "TESTDB"
DBT5508I The db2ckupgrade utility completed successfully. The database or databases can be upgraded.
データベース testdb が、v11.5 へ移行可能であることを確認できました。
3-3. インスタンス移行
Db2 v10.5 のインスタンスを移行します。
インスタンスの移行には、db2iupgrade コマンド を使用します。
① Db2 停止
db2stop コマンドを実行し、Db2を停止します。
実行例は 以下の通りです。
[db2inst1@localhost ~]$ db2stop
2020-10-28 18:03:10 0 0 SQL1064N DB2STOP processing was successful.
SQL1064N DB2STOP processing was successful.
② インスタンス移行
db2iupgrade コマンドを実行し、インスタンスを移行します。
※ rootユーザーあるいは管理者権限で実行してください。
コマンドは 以下の通りです。
db2iupgrade -u <fenced ユーザー> <インスタンス名>
Knowledge Center：db2iupgrade - インスタンスのアップグレード・コマンド
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.admin.cmd.doc/doc/r0002055.html
実行例は 以下の通りです。
[root@localhost instance]# pwd
/opt/ibm/db2/V11.5/instance
[root@localhost instance]# ./db2iupgrade -u db2fenc1 db2inst1
DBI1446I The db2iupgrade command is running.
DB2 installation is being initialized.
Total number of tasks to be performed: 4
Total estimated time for all tasks to be performed: 309 second(s)
Task #1 start
Description: Setting default global profile registry variables
Estimated time 1 second(s)
Task #1 end
Task #2 start
Description: Initializing instance list
Estimated time 5 second(s)
Task #2 end
Task #3 start
Description: Configuring DB2 instances
Estimated time 300 second(s)
Task #3 end
Task #4 start
Description: Updating global profile registry
Estimated time 3 second(s)
Task #4 end
The execution completed successfully.
For more information see the DB2 installation log at
"/tmp/db2iupgrade.log.30462".
DBI1070I Program db2iupgrade completed successfully.
③ インスタンス 確認
インスタンス db2inst1 にスイッチ、db2startコマンドでDb2を起動し、
db2level コマンドで Db2のバージョンを見て、インスタンスが v11.5に 移行されたことを確認します。
実行例は以下の通りです。
[root@localhost ~]# su - db2inst1
最終ログイン: 2020/11/08 (日) 18:56:24 JST日時 pts/0
[db2inst1@localhost ~]$ db2start
11/08/2020 19:03:04 0 0 SQL1063N DB2START processing was successful.
SQL1063N DB2START processing was successful.
[db2inst1@localhost ~]$ db2level
DB21085I This instance or install (instance name, where applicable:
"db2inst1") uses "64" bits and DB2 code release "SQL11050" with level
identifier "0601010F".
Informational tokens are "DB2 v11.5.0.0", "s1906101300", "DYN1906101300AMD64",
and Fix Pack "0".
Product is installed at "/opt/ibm/db2/V11.5".
インスタンス db2inst1 が、v11.5 に移行されていることを確認できました。
3-4. データベース移行
① データベース移行
Db2 v10.5 のデータベース testdbを 移行します。
インスタンスの移行には、upgrade コマンド を使用します。
※ インスタンスオーナーまたは、SYSADM権限を持つユーザー で実行してください。
コマンドは 以下の通りです。
upgrade db <DB名>
Knowledge Center:UPGRADE DATABASE コマンド
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.admin.cmd.doc/doc/r0001959.html
実行例は 以下の通りです。
[db2inst1@localhost ~]$ db2 upgrade db testdb
DB20000I The UPGRADE DATABASE command completed successfully.
② データベース・テーブル確認
移行後 データベースtestdbに接続、テーブルを確認して、
データベースが 移行されたことを確認します。
[db2inst1@localhost ~]$ db2 connect to testdb
Database Connection Information
Database server = DB2/LINUXX8664 11.5.0.0
SQL authorization ID = DB2INST1
Local database alias = TESTDB
[db2inst1@localhost ~]$ db2 list tables
Table/View Schema Type Creation time
------------------------------- --------------- ----- --------------------------
TBL1 DB2INST1 T 2020-11-08-18.42.45.218754
1 record(s) selected.
[db2inst1@localhost ~]$ db2 "SELECT * FROM tbl1"
COL1 COL2
----------- ----
1 A
1 record(s) selected.
3-5. 移行後作業
アップグレード後は、データベースのアクティブ化、パフォーマンスの確認、パッケージの再バインド などを、必要に応じて実施します。
Knowledge Center：Db2 サーバーのアップグレード後タスク
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.qb.upgrade.doc/doc/t0050542.html
また、v11.5から変更された レジストリー変数、構成パラメーターを確認し、必要に応じて設定を行ってください。
Knowledge Center：Db2 サーバーの動作の変更点の管理
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.qb.upgrade.doc/doc/t0050543.html
4. おわりに
今回は、同じインスタンス上でDb2を移行する場合の
Db2 v10.5 から v11.5 へのアップグレード手順をまとめました。
移行 前/後 作業については 説明を省略しましたが、
確実にアップグレードを実施したい場合は、環境に合わせて 必要な手順をしっかり確認すると良いと思います。
参考情報
Knowledge Center：Db2 サーバーのアップグレード (Linux および UNIX)
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.5.0/com.ibm.db2.luw.qb.upgrade.doc/doc/t0007200.html