はじめに
こんにちは。Harryと申します。
某コンサルティングファームにて、新米コンサルタントとして日々奔走しております。
この度、AI資格の最難関と呼ばれる「Deep Learning for Engineer(E資格)」に合格することができたため、体験記として残したいと思います。
これからE資格を受験する or 受験を考えている人へ、少しでも参考にいただければ幸いです。
筆者のバックグラウンド
- 大学では工学部にて機械学習の研究に従事
- 研究の一環でC++, Python, Swift等を経験
- 統計や機械学習を体系的に学んだ経験はなし
- 現在はコンサルタントとして、金融業界のPJに従事
1. E資格とは?
E資格(JDLA 日本ディープラーニング協会主催)は、機械学習・ディープラーニングの理論を体系的に理解し実装できるか問う試験。
線形代数・統計等の基礎理論からTransformerなどのトレンドのAI技術まで、ディープラーニングに関する幅広い分野から出題されます。
E資格は、JDLAが指定する講座の修了をもって受験資格を取得することが可能になります。修了番号を取得できなければ、試験すら受けることができないわけです。
すなわち、「AIを自分で実装できる人」しか受けることができない、非常に難易度の高い資格といえます。(その分、取得できれば確実にAIの実装スキルが身につくはずです。)
AI・ディープラーニングを体系的に学べる資格は数少なく、一人で実装できるまでになりたい方には大変おすすめの試験です。
試験の詳細はこちら→ E資格(JDLA公式ページ)
2. E資格に挑戦した理由
単純に「トガリたかった」からです。
私が参画するPJは金融機関が中心なのですが、AIを深く知っている人間は社内外含め非常に希少な印象でした。大学時代にDLの研究をしていたこともあり、この分野には非常に興味を持っていました。
「金融xAIでとがった人間になれれば、新しい価値創出につながるかも!」なんて壮大なことはさておき、金融という分脈かつAIを実装できる「トガリコンサルタント」になりたいと思い受験を決心しました。
3. 勉強スケジュール・方法
受講講座
- 某完全オンラインの講座(5万円くらい)
(これでがっつり学ぶ!というよりは、修了課題であるPythonを用いたAI実装と修了番号の取得を目的に受講しました。)
勉強方法
特別なことは何もしてませんが、とにかくシラバス通りに勉強すれば網羅できます。
また、Engineer資格のため、自分で作ってみる(実装してみる)のもめっちゃ重要です。
- 公式シラバスを熟読(全体像を把握)
- 関連分野をChat-GPTに解説してもらい、キーワードを拾う(広く浅く)
- 拾ったキーワードを自分で調べる・実装(狭く深く)
- 書籍を熟読・実装(より深く)
- 学習したアルゴリズム・ネットワーク等を実装してみる
E資格用の教科書は発売されておらず、自分で調べながら学習を進める必要があります。
逆に「俺が教科書作ったる」的なノリで勉強すると楽しいかもですね。
参考書・教材(役に立った順)
学習で私が使っていた参考書等を以下に並べました。
【★★★】めっちゃ役に立ったやつ
-
論文(ChatGPTで検索し要約)
→ 試験頻出のTransformerや物体検出などは論文で学習。結局1次ソースしか勝たん。 -
ゼロから作るDeep Learning ② ― 自然言語処理編
→ RNN、Attentionはこれ一冊でマスター。表紙の魚に感謝。
【★★】役に立ったやつ
-
機械学習プロフェッショナルシリーズ 深層学習(いわゆる青本)
→ 機械学習の基礎分野を学習。内容は難しめだが、Chat-GPTと喧嘩しながら読み解いていった。 -
CVMLエキスパートガイド(ウェブサイト)
→ CNN、R-CNN、YOLOなど画像処理技術を学習。論文引用をしながら非常にわかりやすくまとめていただいている。画像処理分野はぶっちゃけこのサイトで完全に理解できた。(ゼロつく①を買わなかった理由)
【★】あんまりだったやつ
-
受講講座の教材
→ 自分の学習スタイル上、座学があまり得意ではなく、提供いただいた動画講座・スライド共にちっとも頭に入らなかった。(受講目的は修了番号の取得であるため、自分としては問題ない) -
徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版(いわゆる黒本)
→ 準拠しているシラバスが古く、カバーされていない範囲が多かった印象。
E資格の出題傾向を感じる、くらいで使えばいいと思います。
学習スケジュール
以下のようなスケジュールで受験対策を進めました。
試験日の半年前くらいにE資格受験を決めましたが、講座の修了に予想以上に時間がかかってしまいました。
平日オフィスへの移動時間は論文・参考書あさり時間とし、休日にPythonの実装を進めてました。
(受講講座の修了課題は3か月くらいかかりました。鬼畜です。)
4. 試験当日
テストセンターでPCを使って受験します。
淡々と手続きを済ませ、でっかい耳栓をつけて、いよいよ試験スタート!
出題内容は守秘義務があるためお伝え出来ませんが、出題分野にだいぶ偏りがあった印象です。(CBTシステムの特性なのでしょうか。同じような問題が複数回出た気がします。)
→ 出題範囲が広いですが、ちょっとだけでもいいのでできるだけすべての範囲に触れておいた方がいいと思いました。
終わってからは、「落ちたね、完全に落ちたね」とつぶやきながら帰りました。
まったくもって受かった感触はありませんでした。
5. 試験結果
試験から3週間ほどで結果連絡を受領しました。
結果は「合格」でした。
落ちたと思っていた手前、受かっているとは思わず、飛び上がりました。
大学でAIをかじっていたとは言え、自分で試行錯誤しながら学んだことが成果として目に見えて素直にうれしいです。
「AI x 金融のトガリコンサル」への大いなる一歩だと思います。
引き続き学んだことを仕事に還元していきたいです。
6.これから受験される皆様へ
私が受験生側だったときは、とにかくいろんな方のE資格合格体験記を拝読しておりました。
(まさか私が書く側になるとは思ってませんでしたが。)
E資格は教科書や過去問がない、かつ日々進化するAI技術を扱うため、試験範囲も非常に流動的です。
したがって、先人たちが試行錯誤して学習した軌跡を参考に学習を進める必要があったため、先人なしでは到底成し遂げられない試験だったと改めて実感します。
私の記事がE資格を受験される皆様にとって少しでも有意義なものになることを祈っております。


