前書き
こんにちは、回路設計エンジニアの樋口です。最近は他社製の製品に組み込まれている基板にマイクロスコープあてて部品の型番を調べるといったお仕事が増えてきました。そろそろ基板設計のお仕事来ませんかね?
日本語にすると『仮想現実』というんでしたっけ?目の前に映像を投影することで利用者が映像内に入っているような感覚でゲームや会話等を楽しめるシステムですね。最近だいぶ手に入りやすくなりましたがなかなかすごい物です。
数年前にまともに動くVR機器を導入しようと考えたら、選べるのは台湾HTC社のVIVEや米国Oculus社のRiftといった値段が10万円近くする高級な機種ぐらいしかありませんでしたし、それに加えてそこそこ値の張るGPUを搭載したPCも必要になって
『総額が20万円超えたぞ、うわ~貯金消えたわ~』という話をよく聞きましたが、
今はすごいですね~。
2017年の後半ぐらいでしたかね、米国MicrosoftのWindows MRというVR機器が5万円前後で買えるようになったのが始まりだと思いますが急速にVR機器の低廉化が進み、
執筆時点(2021年後半)では、もはや高額なPCを使わなくてもそれなりに楽しめてしまうHTC Focusや、PC無しでそれなりに使える一方で無線接続でPCに接続すると本格的なVRを楽しめるというまさに一石二鳥なVR機器なのにお値段なんと3万円台というOculus Quest2なんてのも出てきました。
びっくりですよ。数年前は20万円以上出さないと楽しめなかったVRが今ではたったの3万円台ですよ。
一体どこまで安くなるんでしょうかね。この市場。
さて、そんな値下げ合戦と性能向上が続くVR業界ですが、いくら時間がたってもたびたび問題に上がるものがあります。
眼鏡です。
目の屈折異常の補正や、目を保護、あるいは着飾ったりするための、目の周辺に装着する器具(Wikipediaより引用)としてとてもポピュラーな物ですが、VR機器を使用するときにはよく問題が発生します。
$\huge{鼻}$が痛いんです。
なんとも説明しにくいんですが、VR機器を装着するときに眼鏡を付けたまま装着すると、VR機器によって眼鏡が鼻に押し付けられる状態になる機種が多いんですよ。
で、遊んでいるうちにVR機器がずれないようにキツめに装着すると眼鏡の鼻あて部分が鼻背に食い込む感じになってしまいましてね...痛いんですよ。
だからと言って眼鏡をはずして装着しようものならせっかくのVRの世界がぼやけて何が見えているのかわからないと。
ということで鼻の痛みを我慢しながらVR機器を使用していたのですが、そうですね、購入してから3ヶ月ぐらい経過したぐらいでしょうか、
眼鏡とVR機器によって負荷をかけられ続けた鼻背のあたりがついに出血しまして。
当時学生でしたので研究室に通っていましたが、なぜか鼻背という怪我しにくい部位にカサブタがついているというなかなか奇妙な姿の筆者が誕生していましたよ。
で、対策を考えました。
VR機器に取り付ける視力補正用レンズを作れば出血しなくて済むのでは?
ということで、これまで試してきた内容を数回に分けながら少しずつ解説していきます。なんせ学生時代からちまちまと実験している内容ですからねぇ。それなりにボリュームも多いわけですよ。ご了承ください。
準備
今回の記事は前説編ということで先程の前書きがこの記事の大部分を占めるのですが、それだけではさすがに記事らしくないので、行ってきた実験でほぼ毎回共通して使用した機材を紹介します。実験開始した当時、これらをそろえて実験を行いました。
・PC
CAD等が快適に動作するそれなりに恵まれたPCです。
・VR機器
しっかりレンズが装着できるか確認するために必要です。実験開始時点では、Windows MRの一種であるAcer AH101を用意していました。(注:過去形)
(画像はAcer公式サイトから引用しました)
・3Dプリンタ
3DCADでモデリングしたレンズのフレームの出力用として用意しました。機種はANYCUBIC社のI3 Mega、それなりに安くてそれなりに快適に動作してくれるFDM式の3Dプリンターです。とてもおすすめ。
今回のまとめ
今回の記事では、私が数年前からゆっくり進めているVRレンズの説明と準備した機材の説明をしました。次回の記事から実際に設計したものと結果等を順番に解説していきます。
次の記事はこちら https://qiita.com/Guppy_T_Higuchi/items/baf53e4ff3b75bb1e077
執筆者 樋口(Qiitaアカウント名 @Guppy_T_Higuchi)