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micro:bitをコスプレに使ってみた

Last updated at Posted at 2020-12-15

micro:bitをコスプレに使ってみた

micro:bitの拡張機能の一つneopixelを使うとフルカラーLEDを点灯・制御することができます。
その機能を使って電飾コスプレに活用した事例と、そこから見えたmicro:bitを電飾コスプレに使う利点についてまとめます。

電飾コスプレとは?

本記事では、LED等を使って剣や衣装を光らせたりして、電飾表現を取り入れたコスプレを指します。
無題1 (2).png
WS2811/WS2812といった1つ1つのLEDの色を制御可能なシリアル式フルカラーLEDが、Arduino等のマイコンボードで制御できるライブラリやモジュール等が作られたことで、プログラムを用いた電飾を気軽に行えるようになりました。

一方、コスプレ界隈も年々人口が増えると共に、キャラクターや世界観の表現に様々な工夫を盛り込む方が現れ、その表現の一つとして電飾が利用されました。
100均のLEDをバラして使ったり、リモコン等で制御できる汎用のLEDテープ等を用いられることが多いですが、時間経過による制御や特殊なエフェクト等、細かいニュアンスを表現する為にプログラムを用いた電飾を盛り込む方が増えてきました。

筆者もこれまでコスプレに電飾を組み合わせ、様々な方とコラボして作品を製作したり、そのノウハウを応用してmicro:bitでUSB給電で多数のLEDをコントロールできる電飾用モジュールyin:bitを開発したりしました。

筆者の制作事例

筆者がmicro:bitで作った事例です。
プログラムに関してはどれもブロックプログラミングで組んでいます。

電飾エプロン

これはAQUASTYLEさんの依頼で制作した、東方Projectのキャラクター「比那名居天子」のコスプレのエプロンをmicro:bitを組み込んで電飾したものです。
レーザーカットしたアクリルをフルカラーLEDで照らすことで色を出しています。
micro:bitの無線機能を用いることでLEDの色の変化や輝度を遠隔操作できるようにしています。

構成

  • micro:bit
  • yin:bit
  • モバイルバッテリー
  • フルカラーLEDテープ(WS2813)

大型ビームライフル

らぷらすさんが制作した、Zガンダムの可変MAアッシマーのコスプレの大型ビームライフルにmicro:bitを組み込んで電飾したものです。
接続したGroveのボタンを押すことでLEDを光らせてビームライフルを発射させることができます。
こちらもmicro:bitの無線機能を用いることで、遠隔でビームライフルを発射させることができます。

構成

光る剣制作ワークショップ

山葵さんとうにこさんに造形を担当してもらい、剣を造形してそれにmicro:bitを使って光る剣を作るワークショップを開催しました。
剣を振ると、エフェクトを発生させつつ剣の色が変わります。

構成

  • micro:bit
  • yin:bit
  • モバイルバッテリー
  • フルカラーLEDテープ(WS2813)
  • 赤外線LEDモジュール

「micro:bit + yin:bit ではじめる電飾プログラミングサンプル100

micro:bit+yin:bitを使った電飾のサンプルをプログラム付で公開しました。

他の方の制作事例

Twitterで見つけた、他の方々がmicro:bitで作った事例です。

光るスカート

ましぐれさんによる作品です。
スカートにフルカラーLEDテープを十数レーンに分けて仕込んで光らせています。
グラデーションを時間経過と共に変化させることで幻想的な雰囲気を出しています。

構成

  • micro:bit
  • yin:bit
  • モバイルバッテリー
  • フルカラーLEDテープ(WS2812B)

魔法の杖

こちらもましぐれさんによる作品です。
フルカラーLEDリングをうまく利用されており、スイッチを押すことで太陽や月等のアイコンが表示されます。
杖のパーツの3Dデータはこちらで公開されているとのこと。

構成

  • micro:bit
  • yin:bit
  • モバイルバッテリー
  • フルカラーLEDリング(WS2812B)
  • スイッチ

サイバリアンtypeG

こちらはギャバソさんさんらのチームによる作品です。
コントロール用のmicro:bitのボタンを押すと無線が送信され、それを車体の各所についているmicro:bitが受信することで、車体全体のLEDが光る仕組みのようです。

構成

  • micro:bit
  • yin:bit
  • モバイルバッテリー
  • フルカラーLEDテープ(WS2812B)

電飾コスプレにmicro:bitを使うメリット

1. プログラミングが容易

マイコンを扱うにあたり、環境構築や言語の理解、トラブルシューティング等、プログラミングの知識が必要になります。
それらをやったことのない方にとってはなかなかヘビーです。
micro:bitはブロックプログラミングに対応し、小学生等でも分かる文法で書くことができるので、プログラミング未経験者でも楽に始めることができます。

例えば10個のLEDを虹色に光らせたい、という場合も下記のプログラムだけで実行できます。
無題2 (1).png

また、プログラムの共有や更新が容易に行うことができるため、電飾を仕込んでいた方にトラブルがあった場合でも、遠隔での手助けがしやすいのも特徴です。

2. ハードウェアの知識がなくても電飾を始められる

プログラミングの壁が突破できましたが、はんだ付けや配線、動作電圧等の基礎的なハードウェアの知識がないと、電飾をやるのはなかなか難しいものです。
micro:bitには繋げばそのまま使えるようなフルカラーLED用モジュールが存在するため、初心者にも優しく電飾を始められます。

例:micro:bitにそのまま接続して使える電飾モジュール

無題3 (1).png
ZIP Halo - micro:bit用円型フルカラーLED
無題3 (2).png
kirakira:bit

例:micro:bitに接続できるGroveシールド及びGroveコネクタ付フルカラーLED

無題3 (3).png
micro:bit用 GROVE Inventor Kit
無題3 (4).png
yin:bit v2.0
無題3 (5).png
Grove - WS2813 Mini搭載 RGB LEDスティック(20個)
無題3 (6).png
M5Stack用NeoPixel互換LED搭載 六角形ユニット

3. ボタンや無線の利用が容易

せっかくフルカラーLEDを使っているので、撮影の途中などでLEDの色を変えたいといったことが出てきます。
micro:bitにはボタンがついており、ボタンを押して何かをさせる、例えば色を変えること用途に容易に利用できます。

またmicro:bitをボタンが押しにくいor押せない場所に組み込まなければならない場合でも、Groveコネクタ付ボタンを利用して拡張したり、無線機能を用いることで遠隔での操作を容易に実装することができます。

4. 電源にモバイルバッテリーが使える

コスプレをする方が動くことが前提の電飾の場合、電源は電池を使うことになります。問題なく動いている分には良いのですが、電池が切れた場合、電池を調達しにいくことになりリカバリーが大変だったりします。
micro:bitはUSB給電できるのでモバイルバッテリーを電源として使うことができ、入手性が良いので、現場で電池が切れた場合の救済率が高いです。

また電源の配線をUSBケーブルで行うことができるので、はんだ付けができなくても配線できます。

おわりに

そんなわけでmicro:bitはマイコンでの電飾を始めるのにおすすめです。

micro:bitは子どもたちの想像力を実現する手段として、世界中に広まりました。
ですが、子どもたちだけではなく、大人たちにとっても表現手段としてかなり有用なものです。
興味のある方は、ぜひLEDを光らせるところからやってましょう。

また、micro:bitに慣れた方は、他のマイコンボードを扱えるようになると小型化やLEDをさらに大量に光らせられたりできますし、はんだ付けができるようになるとGroveコネクタがついていないフルカラーLEDも扱えるようになります。ぜひ学んでより面白い作品を作っていってください。

おまけ:トラブルシューティング

電飾コスプレをやるにあたってのトラブルシューティングをまとめます。

LEDが美しく光らない

LEDは点発光のため、面でうまく光らせるには拡散させる材料が要ります。
LEDディフューザーを利用したり、乳白色のアクリルや和紙、スポンジ、チュール等が利用できます。
作品の雰囲気によって合うものは変わるのでいろいろ試してみてください。

LEDを黄色や白色で光らせようとするが赤色に光ってしまう

電力不足に陥っている可能性があります。輝度を下げて調整しましょう。
micro:bitのハードウェア仕様によると、micro:bitから外部給電可能な電流値はv1.5だと90mA、v2だと190mAです。
WS2812Bが白色最大輝度で光らせると消費すると1個あたり50mAとなるため、全力で光らせた場合2~4個程度が限界です。

あるいは弊社で作ったyin:bitをぜひお試しください。
micro:bitからの給電ではなく、yin:bitのコネクタからフルカラーLEDとmicro:bitに供給させることにより、フルカラーLEDに5Vでかつ2A程度まで流すことができ、より多くのLEDを点灯させることができるようになります。

無線機能がうまく使えない

無線機能を利用する場合、撮影会や地方イベントクラスなら基本問題なく動作していましたが、ビックサイトやインテックス大阪等での人が密集するイベントでは、2.4GHz帯の電波の利用者が多く、無線を受信できないといったことがありました。
無線機能を使う場合、バックアッププランとしてボタンで最低限制御できるようにしておくと良いでしょう。

カメラでうまく撮影できない

LEDの輝度が強すぎると、環境の光源と違うため、カメラの撮影に悪影響を及ぼすことがあります。(カメラマンさんからクレームが来たりします)
ボタンや無線機能を用いて、輝度を変更できるようにすると良いでしょう。

Bluetoothと一緒にneopixelを使えない

残念ながら2020/12/16現在では使えません。neopixelで使われているWS2812bドライバv0.1.1では

Bluetooth disabled: This package disables BLE as the real time requirements of the WS2812 conflict with the BLE stack.

と書かれており、Bluetoothは使えないとされています。無線機能を使いたい場合は無線ブロックを使いましょう。
ただ、v2であれば十分動作させられるかと思うので、ドライバの更新に期待です。

おまけ:v2を使ったほうが良い?

2020年11月よりmicro:bit v2の販売が開始されました。
以前のものと比べて、LEDを黄色や白色で光らせようとするが赤色に光ってしまうに書いたとおり、外部給電可能な電流値が増えました。
それに加えて、使用されているプロセッサーがv1ではnRF51822(動作周波数:16MHz)だったのですが、nRF52833(動作周波数:64MHz)となり処理速度が向上しています。

基本的にv1でも処理を行って光らせる分には処理速度が十分です。ただ、多数のLEDに対し多数の処理を行った場合はv2のほうが有利です。
筆者のほうで下記のように1/fゆらぎの処理を200個のLEDに対して行って試してみたのですが、v1は処理がおいついていませんが、v2はサクサク動いています。

テクコスワークショップ

山葵さんといちごさんに造形を担当してもらい、造形と電飾を活かしたワークショップを定期的に開催中です。

image.png

参考

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