1. はじめに
私は過去にIPAの応用情報技術者試験に合格した経験があります。
しかし、その後、意欲的に挑戦したプロジェクトマネージャ試験では仕事と両立しながら約8か月間にわたり準備を重ねたものの残念ながら不合格という結果となりました。
悔しさはありましたが、それ以上に「自分に足りないものは何か」「次はどんな方向へ挑戦すべきか」という問いに向き合うきっかけとなりました。
そこで出会ったのが、**情報処理安全確保支援士(通称:セキスペ)**です。
この資格は、IPA試験の中で応用情報試験と高度試験の中間的な位置づけであり、セキュリティ分野に特化した実践的な知識と判断力を問われます。
しかも、今の日本では、情報セキュリティの専門性を持つ人材が強く求められているという社会的背景もあり、そのニーズに応えられる力を身につけたいという気持ちが高まりました。
正直なところ、私は情報セキュリティに対して強い苦手意識を持っていました。ですが、だからこそ挑戦する意味がある。
「セキスペ合格」を一つの課題研究として位置付け、自分なりの勉強方法を模索する道を選びました。
2. 検証結果:成功!! ぎりぎりだけど、合格しました🏁
今年の4月、私は情報処理安全確保支援士試験(セキスペ)を受験しました。
自己採点や試験後の感触では、正直かなりギリギリだと感じていたのですが…
昨夜、合格を確認しました。
得点はボーダーライン付近と思われ、まさに紙一重の合格ではありますが、だからこそ価値がある。
「苦手分野でも、自分なりの方法で向き合えば突破できる」──この実体験が、少しでも読者の励みになれば嬉しいです。
次章では、私が合格に向けて立てた学習計画や勉強方法の模索について、具体的に紹介していきます。
3. 合格する為の計画(方針)
セキスペに合格するために、自分に必要なことを大枠から見つめ直し、次のような方針を立てました。
自分の性格・生活リズム・過去の受験経験なども踏まえた、“私流”の学習戦略です。
(1) 勉強期間の設定:5か月間で挑戦
2023年10月にプロジェクトマネージャ試験を受験した直後、体も心もかなり疲弊していました。
その反省もあり、11月〜4月までの 約5か月間を勉強期間と定め、そのうち 初月(11月)は完全に休養へ充てる方針としました。
受験勉強は体力・精神力の両面を必要とするため、十分な余裕をもってリスタートすることが合格への第一歩だと考えたからです。
ちなみに、「合格に必要な学習時間」というモデルはあるかもしれませんが、
仮に私が平均より学習効率が低ければ、さらに時間が必要になる――という視点から余裕あるスケジュールを意識しました。
(2) お金は惜しまないと決意
受験に必要な書籍や文房具などの費用については、躊躇なく投資する方針を立てました。
合格への自己投資と割り切り、「安く済ませる」ことより「自分に合った最適ツールを見つける」ことを重視しました。
(3) 一昨年に応用情報試験に合格しているので、午前1試験免除を使う。
(4) 学習日程とリズムの工夫
- 平日昼間は仕事があるため、勉強は 平日の夜と土曜日に集中。
- 日曜日は完全オフ日とし、心と体の回復に専念。
- ただし、受験前1か月間はリズムを逆転(土曜日を休養日にして、日曜日は 早起きして集中学習を実施)
この切り替えは、試験日のタイムスケジュールに身体を慣らす意味でも効果的でした。
(5) 受験前日のルール:勉強禁止+現地下見
試験前日は、毎回 “勉強しない” と決めています。
その代わり、試験会場の 下見をすることがルーティンです。土地勘や移動時間の確認を済ませておくことで、当日の精神的な不安をかなり軽減できます。
これはセキスペ試験に限らず、他の資格試験でも実践してきた、自分なりの必須ルーティーンです。
4. 使った教材・特徴・使い方
セキスペ試験に向けて使用した教材は、書籍・Webサイト・生成AIなど多岐に渡りました。
ここでは、それぞれの特徴と具体的な使い方について紹介します。
(1) 書籍:『ゼロからスタート!教育系Youtuberまさるの情報処理安全確保支援士1冊目の教科書』
- 特徴:タイトル通り、初心者でも理解しやすく情報セキュリティ分野をやさしく解説してくれる。
- 使い方:勉強の序盤に読み、セキュリティへの苦手意識を和らげるために活用。
(2) 書籍:三好康之『情報処理安全確保支援士2025 専門知識+午後問題の重点対策』
- 特徴:合格に必要な専門知識が詰まっていて、出題傾向(テーマごとの出題率)も分析されている。
- 使い方:午後試験の知識インプットに最適で、読み込みに重点を置いた。
(3) 書籍:左門至峰『支援士 R4・R5・R6』
- 特徴:午後記述問題における「正解までの思考の流れ」や「回答の書き方」が丁寧に示されている。
- 使い方:時間を測りながら実際に問題を解き、解説を読み込むことで、記述力を鍛えた。
(4) Webサイト:情報処理安全確保支援士 過去問道場
- 特徴:過去15年分の午前問題をクイズ形式で解ける。間違えた問題は繰り返し復習できる設計が秀逸。
- 使い方:正答率90%超を目指して、繰り返し解いて暗記するまで継続。
(5) Webサイト:情報処理安全確保支援士 - SE娘の剣 -
- 特徴:左門至峰氏による解説サイト。午後問題の攻略ポイントや考え方が深掘りされている。
- 使い方:午後試験で“+20点”を狙うため、繰り返し読み込んで理解を定着させた。
(6) Copilot(生成AI)
- 特徴:疑問に即答してくれるAI。わからない部分に寄り添いながら理解を深められる。
- 使い方:午後問題の読解や解釈が難しい時に、解説を頼んで理解を補強。
Copilotとのやりとりで「なぜその選択肢が正しいのか?」を自分の言葉で説明できるようになった。
5. 勉強の進め方:計画から実践への現実と工夫
当初立てた計画をベースにしつつ、実際の学習は状況に応じて軌道修正を重ねることとなりました。
ここでは、試験までの4か月間の勉強の流れと、その中で私が行った工夫について振り返ります。
🔹 11月〜12月:序盤の読書と予想外の遅れ
この2か月間は、以下の教材を徹底して読み込む期間でした。
- 『ゼロからスタート!教育系Youtuberまさるの教科書』
- 三好康之氏の『専門知識+午後問題の重点対策』
両書籍を 3周することで、基礎理解と情報セキュリティへの抵抗感を減らすことを目的としていましたが、思った以上に時間を要し、午後試験対策がほぼ手つかずの状態で年末を迎えることに。
12月下旬、「あと3か月しかない」「午後試験やばい」という焦りが一気に高まり、ここから本格的に戦略を組み直しました。
🔹 1月〜4月:焦りから生まれた実践フェーズ
■ 午前試験対策(毎週水曜の夜)
- 「過去問道場」で 午前問題を定期的に実施。
- 水曜日に固定することで、習慣化し、知識定着を意識的に図った。
■ 午後試験対策(残りの曜日で集中演習) - 左門至峰氏の『支援士Rシリーズ(R4〜R6)』をベースに演習。
- 時間を計りながら解き、記述力・考察力を養成。
📊 回答率による演習の進め方:
| 演習周 | 目標回答率 | 達成率 | 取り組みの工夫 |
| 1周目 | 60% | 約20%の問題が達成 | 全体を把握し、課題抽出に集中 |
| 2周目 | 75% | 約50%が達成 | 苦手領域の反復強化 |
| 3周目 | 90% | ほぼ全問題が達成 |
このように、各周の目標回答率を明確に設定し、達成できた問題は次周の対象から外すことで効率化。
自分の成長を数値で実感しながら、試験本番に向けた実力を積み上げていきました。
6. 勉強するうえで注意したポイントと苦労したこと
セキスペ試験の午後問題は、システムの脆弱性や攻撃を前提とした設問が多く、そのため知識の広さだけでなく、技術的背景の深い理解が求められます。
ここでは、私が意識的に取り組んだ注意点や苦労した箇所について共有します。
🔹 注意したポイント
-
セキュリティ技術の世代を追うように学習
攻撃手法やセキュアな通信、認証・認可の技術は、古い手法から最新のものまで網羅的に理解するよう努めました。設問の背景技術が昔の手法であることも多く、そうした流れを押さえることが重要と判断しました。 -
ネットワークとファイアウォールの基礎理解の徹底
セキュリティを支える技術の土台として、ネットワークの構成やファイアウォールの動作について改めて学び直しました。設問の文脈を読み解く力に直結すると感じたからです。 -
混同しがちな概念は“問い直す”ことを意識
暗号化通信・認証・攻撃手法などは種類が多く、理解が混ざりやすい分野。そうしたときには、 -
教科書を読み返す
-
CopilotなどのAIに質問する
といった「理解をリセットする習慣」を意識的に取り入れました。
🔹 苦労したこと
-
脆弱性と攻撃の仕組みのイメージ化
抽象的な説明だけではピンとこなかったため、自分で脆弱なWebアプリを作成し、実際に攻撃→修正の流れを体験しました。
これは時間もかかりましたが、理解が格段に深まり、午後問題の設問の“裏の意図”が見えるようになったと感じます。 -
知識の整理に時間がかかる
特にセキュリティ分野は用語・仕組み・歴史的背景が多層に入り組んでいて、学んでもすぐに混乱することが多々ありました。
そのため、「これは何を守る技術なのか」「何と対抗するための手法なのか」という**“守備範囲の整理”を自分なりに行う努力**をしました。
7. 試験当日の流れと感触:冷静に、淡々と、でも確かに挑んだ一日
🔹 試験前日の心の整え方
受験前日には全ての準備を完了し「もうやることはない」という心境になっていました。
あとは、体調管理に気を配ることと、「私にとって正解しやすい問題が出題されるかは運次第」というマインドで、落ち着いた心で過ごしました。
焦らない、無理しない。そして、あとは“委ねる”。この精神状態が、翌日の試験にとても良い影響を与えたように思います。
🔹 試験当日の朝〜受験開始まで
- 朝は食べ過ぎず、水分をしっかり補給
- 試験地までの移動は、電車数分+徒歩15分と比較的近く、30分前に会場着を目指して出発。
- 現地に着いた頃には、心も体も落ち着いていて、集中力を高める準備は万端でした。
🔹 午前II試験:過去問×新問のハイブリッド
- 出題された問題の約半分は暗記済みの過去問だった。
- 残りの問題は初めて遭遇する内容であったため、慎重に消去法を駆使して回答。
- 得点の手応えとしては「6割以上は確保できたはず」と感じる程度の安心感。
🔹 午後試験:冷静な問題選択と時間配分
午後試験では、4問中2問を選択する必要がありました。
- 事前の方針通り、20分かけて問題文を精読し、知識の浅い2問を除外。
- 残った2問に集中し、1問あたり65分使えるという時間的余裕を確保。
- 思いつかない問題は空欄のまま飛ばし、最後に見直して埋める方式で冷静に対応。
- 特に、ヒントが離れた段落にあることが多いため、最終チェックは慎重に実施。
🔹 試験後の不思議な感触
午後試験が終了した時、明確な「できた!」という感触も、「ダメだった…」という感触もなく、ただ静かに試験を終えたという印象でした。
今振り返ると、それはまさにぎりぎり合格という結果につながる手応えだったのかもしれません。
余裕を残しながらも、運と集中力が見事に交差した一日でした。
8. 合格後の気づきと、これからの挑戦へ
今回の受験では、時間もお金も十分に投入しました。
これだけのリソースを掛ければ誰だって合格できる――
あるいは、「もっとコンパクトにまとめて挑めたのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、もしこのリソースを減らしていたら、不合格だった可能性も十分にあり得たと振り返ると、正直ゾッとします。
そして私は、この資格に必要なリソースが「これくらい」と断言するつもりはありません。
受験生それぞれが持つ、知識・経験・スキル・性格は千差万別。
1か月未満の勉強で合格する方もいれば、1年かけても届かない方もいる。
だからこそ、最も伝えたいことは――
「現状の自分に最適な学習計画は、自分自身と向き合って練るしかない」ということです。
私は今回、数値化した根拠をもとに、自分の特性に合わせて計画と戦術を練りました。
結果として、合格という結果を得られました。
とはいえ、“正しい方法”で勝てたかと言われると、
もしかすると単に“時間とお金を十分に投入した”から合格できただけかもしれない。
そんな複雑な想いが、心のどこかにしこりとして残っています。
それでも、この資格を突破できたことに心から満足しています。
ひとつの壁を乗り越えられたことは、何にも代えがたい経験でした。
そしてこれから、私は秋のプロジェクトマネージャ試験へと挑みます。
この試験は年に1回しか受験機会がなく、見送ってしまえば 次回は15か月後。
しかも論文試験もあり、セキスペよりも格段に難易度が高い…
残り時間はわずか3か月。
冷静に考えれば、無謀な挑戦かもしれません。
でも私は、この試験に挑むと決めました。
セキスペを乗り越えた今、次なる“課題研究”がすでに始まっています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この体験記が、どこかで誰かの参考になり、
挑戦への小さな勇気となれたなら、何より嬉しく思います。
以上