近年、SNSやブログのトレンドを受け、SEを辞めてフリーランスエンジニアを目指したいと考える方もいるかもしれません。
しかし、フリーランスエンジニアそのものへの転職の際に、一時的な年収だけで判断してしまうのが危険だということをお伝えしておかないといけないと思っています。
正社員だからこそ得られる待遇がなく、フリーランスエンジニアになるとかえって不自由になってしまうケースもあります。
世の中では、SIerが批判され、フリーランスエンジニアが、フリーランス業界を過度に持ち上げようとしている風潮があります。
そのため、フリーランスエンジニアになることで、実質的なキャッシュのダウンに繋がる事例をしっかり分析し、転職に後悔してしまう事例を増やさないように公平に解説すべきだと思い、今回記事にしたいと思います。
フリーランスの働き方、知られざるデメリット
残業や休日手当がないケースがある
フリーランスの場合、残業や休日の時間外手当が出ない場合があります。
ただし、ITフリーランスのような方で、客先に常駐するような準委任契約の場合は、雇用に近い扱いであるという判断のため、時間外手当がほとんどのケースで出ます。
ただし、その際も、契約書に手当を支給する旨が記載されていることが条件であるため、契約書をよく確認することが必要でしょう。
税金の源泉徴収がない
フリーランスの場合、以下のような税金を、自分で納めなくてはなりません。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
また、これらは自分で計算し、納税する義務があります。
有給休暇がない
フリーランスの場合、有給休暇がありません。
正社員の場合、有給休暇の日数は、最大で20日支給されます。
つまり、1年で20日分の有給休暇があるということは、約11ヶ月の労働で、12ヶ月分の給料を受け取らないといけないという計算になります。
つまり、有給休暇だけでも、正社員の1,1倍くらいの稼ぎを考えなくてはいけません。
社会保険(の一部)がない
フリーランスの場合、社会保険の一部がありません。
一般的に社会保険と言われるものは以下があります
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 介護保険
- 労災保険
- 健康保険は、フリーランスは国民健康保険に入るケースが多いと思います。
しかし、そのほかの4つ(厚生年金保険、雇用保険、介護保険、労災保険)については加入することができません。
そのため、これらの恩恵を受ける事ができないデメリットがあると言えるでしょう。
特に、社会保険料の半分は会社に支払ってもらう正社員に比べ、フリーランスは全額自己負担になります。
通常、正社員の社会保険料を約3割(自己負担は1.5割)と考えると、フリーランスは、国民健康保険だけで1割程度は負担することになるため、長期的な働けなくなった場合のリスクは大きいと言えるのではないでしょうか。
育児休職の際の育児休業給付金がない
フリーランスになった場合、育児休業給付金がありません。
雇用保険の対象外になるため、育児休業という考えがありません。
しかも、出産や育児による休業期間も社会保険料を支払う必要があります。
ただし、出産一時金(42万のやつです)などは支給されますし、2019年度以降は産前6週間・産後8週間に相当する4ヶ月間に関しては、2019年4月よりフリーランスの方もの国民年金保険料の支払いが免除になる予定です。
退職金がない
フリーランスの場合、確定給付型年金に基づいた退職金がありません。
大卒が勤続35年以上経て退職した場合、平均して2000万程度の退職金をもらえているようです。つまり、年間60万弱の収入をプラスして考えても良いはずです。
営業活動が必要
フリーランスの場合、仕事をもらうまで、もしくは契約が満了したあとのブランク期間で手取りゼロになるリスクがあります。もしくは、そうでなくても次の契約先を探すという労働時間が発生します。
その期間が、1年に1ヶ月発生すると仮定すると、さらに1.1割増しの賃金が必要と言えるでしょう。
フリーランスのメリット
仕事を選べること
では、そこまでリスクを取ってしても、フリーランスになって得られるメリットってなんでしょうか?
フリーランスのメリットは、なんと言っても仕事を選べるところでしょう。
ITを例でいうと、たまたま所属することになったプロジェクトが、レガシーシステムの保守だとしたら、自分が成長する機会としては大きく損失となってしまいます。
その点、そういった案件はフリーランスの場合断れば良いだけですし、その辺は自由がききます。
結局手取りはいくら残るの?
通常の期間は、月収が上がること以外で、税金の項目的に正社員とそこまで変わらないかなーって気がします。
参考程度に、式としては大体以下のような感じになるかと思います。
手取り月収額 = 年間総収入金額-(所得税+住民税+個人事業税+消費税(年収1000万以上の場合)+国民年金保険料+国民健康保険料+介護保険料)
ただし、先述の通り、通常の手取り以外のリスクがあるので、さらに以下のような大きい手当を考慮する必要があるでしょう。
有給休暇の日数 + 厚生年金 + 育児休業給付金 + 介護休業給付金 + 失業手当 + 障害手当 + 退職金 + (営業活動のブランク1ヶ月)
まとめ
この記事では、正社員と比較したフリーランスのデメリットについて解説させていただきました。
フリーランスになる場合は、正社員でないと得られないメリットをいろいろ損失してしまうことがわかっていただけたかと思います。
安易に案件の月収ベースで考えずに、トータルで考え、正社員にとどまった方が良いかも何度も検討して、十分に自分に合うかを検討した方が良いでしょう。
特にネットには最近、フリーランスエンジニアを過剰に評価した意見が多いので。
最後に
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