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「結局何が言いたいの?」を減らすピラミッド原則

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はじめに

関係者に設計や機能の概要を説明する場面や、進捗を共有し相談する場で、「結局何が言いたいの?」と聞き返されたことはないでしょうか。

私はしょっちゅうありました。情報共有やレビューの場で、「結局論点は何?」「要はどういうこと?から話してほしい」「この場で決めたいことを先に教えてほしい」といったフィードバックをもらうことが多かったです。

情報は全部伝えているのに、なぜか伝わらない。自分では何が悪いのかわからない。

この「伝わらない」の正体を理解するきっかけになったのが、『入門 考える技術・書く技術』で紹介されているピラミッド原則でした。

本記事では、ピラミッド原則の考え方と、エンジニアの日常業務でどう使えるかを書きます。

「伝わらない」説明の2つのパターン

振り返ってみると、自分の「伝わらない」説明には2つのパターンがありました。

パターン1: 情報を全部並べてしまう

調べたこと、検討したこと、考えたことを時系列で全部話してしまう。

「まずこういう背景があって、こういう技術制約があって、AとBを比較検討して、Aだとこういう問題があって、Bだとこうで、でも条件を変えるとAもありで……」

聞いている側は途中で「で、どうしたいの?」となる。話し手としては経緯を共有しないと結論に納得してもらえないと思っているんですが、聞き手は経緯より先に結論が知りたい。

パターン2: 詳細から入ってしまう

全体像を伝えずに、いきなり細かい話から入ってしまう。機能の仕様を説明しているときに「これってどこまでを指しているの?」と聞き返されるのがこのパターンです。話し手の中では全体像が見えているので、いきなり具体的な話に入っても伝わると思ってしまう。でも聞き手はまだ全体像がわからないから、細部を聞いても位置づけがわからない。

この2つ、別の問題に見えますが、根っこは同じです。どちらも「相手の疑問に答える順番」になっていない。情報の過不足ではなく、情報の並べ方の問題です。

ピラミッド原則とは

ピラミッド原則は、メッセージを「結論→根拠→詳細」のピラミッド型に構造化する考え方です。

image.png

上から下に向かって、聞き手の「なぜ?」に答えていく構造になっています。

  1. まず結論を伝える(「何が言いたいの?」に答える)
  2. 次にその結論を支える根拠を伝える(「なぜそう言えるの?」に答える)
  3. 必要に応じて根拠の詳細を伝える(「具体的には?」に答える)

聞き手は常に「で、何?」「なぜ?」「具体的には?」のどれかを頭の中で考えています。この疑問が発生する順番に沿って話すと、聞き返されにくくなる。逆に、この順番を無視して時系列や思考の流れで話すと、聞き手の頭の中に疑問が溜まっていって「結局何が言いたいの?」になる。

パターン1(情報を全部並べる)は、結論を頂点に置かずに根拠や詳細を横一列に並べている状態。パターン2(詳細から入る)は、ピラミッドの下から話し始めている状態。どちらもピラミッドの上から順に伝えれば解消できます。

Before / After で見るピラミッド

ピラミッド原則を使うとどう変わるか、日常的な例から見てみます。

晩ご飯の例

こんな場面を想像してください。「今日の晩ご飯どうする?」と聞かれたとき。

Before:

「今日スーパー行ったらじゃがいもが安くて、あと冷蔵庫に牛肉が残ってて、それとにんじんも買ったんだよね。昨日は魚だったし、今日は煮物系がいいかなと思って……」

聞いている側は「で、何が食べたいの?」と思います。(こう見るとこんなコミュニケーションあり得なさそうですが、振り返ると自分はこれをやっていました……)

After:

「今日の晩ご飯は肉じゃががいいです。理由は、じゃがいもが安かったのと、冷蔵庫に牛肉が残っているから。」

同じ情報量でも、結論が先にあるだけで伝わり方が全然違います。Beforeは話し手の思考プロセスをそのまま話しています。Afterは聞き手の疑問(「何が食べたいの?」→「なぜ?」)に順番に答えている。

やってみて気づいたこと

ピラミッド原則を知って一番の気づきは、伝え方の問題だけではなく、自分の思考の整理の問題だったということです。

振り返ると、自分の頭の中ではいつも各論ばかり考えていました。「この技術にはこういう制約がある」「あの方法だとコストがかかる」「こっちの案にはこういうリスクがある」。個別の情報はたくさん持っている。でも「だから結論としてこうしたい」という部分を、自分の中で明確に言語化できていなかった。

構造が整理されていないまま話すから、聞き手には各論が次々と流れてくるだけで、全体像が見えない。それは「結局何が言いたいの?」と言われるよな、と思いました。

ピラミッドを組み立てるというのは、相手にうまく伝えるテクニックというよりも、自分の中で「結論は何で、それを支える根拠は何か」を整理するプロセスです。整理できていれば、伝え方は自然についてくる。逆に、ピラミッドが組めないということは、自分の中でまだ結論が出ていないということ。「まだ結論が出ていない」なら、それ自体が結論になります。「AとBで迷っていて、こういう観点で判断したい」と言えばいい。

おわりに

「説明が伝わらない」原因は、知識が足りないからでも、説明力が低いからでもなくて、情報の並べ方が聞き手の期待とずれているだけかもしれません。

ピラミッド原則はシンプルな考え方です。結論から言う。なぜかを説明する。必要なら詳細を出す。これだけで「結局何が言いたいの?」と言われる回数は減ります。万能ではないけれど、「伝わらない」の原因がわからないまま悩み続けるよりは、まずこの型を試してみる価値はあると思います。

参考

  • 『入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』山崎康司(ダイヤモンド社)
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