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AIが生成する「最適なデータ」に、作り手の意思を乗せるということ

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「AIが人間の仕事を奪う」という議論が各所でなされていますが、以前テレビである映像を見てから、私の中での認識が変わりました。

それは、ジグソーパズルの検品風景です。
「どういうこと?」ってなりますよね。
実は、完成したパズルを作業員の方が手作業でガシャガシャと崩して箱に詰める工程でした。

私はそれを見て安直に「機械でやればいいのに」と思いましたが、そう簡単ではないそうです。
機械だと力が入りすぎてピースを傷つけてしまう。
商品を傷めない絶妙な加減で「ちょうどよく崩す」のは、人間にしかできない仕事でした。

その事実を知ったとき、私はハッとしました。
「何でもかんでも機械化するのが正解だ」と思い込んでいた自分の思考に気づかされたからです。

一見、単純に見える作業にこそ、機械には代替できない高度な調整が宿っている。

「精緻に作り上げること」と「最適な形に整えること」は、全く別のスキルである。
この事実は、「伝統工芸(銀器)×AIエージェント」のプロジェクト現場でも、ひしひしと実感することになりました。


完璧な「データ」を、工芸としての「正解」へ整える

今のAI活用の現場でも、パズルの検品と同じことが起きています。
AIが導き出す「最適なデータ」をそのまま受け入れるのではなく、人間が現場の感覚で「工芸としての形」へと整えていく。
今回のプロジェクトは、まさにその境界線を探るような試みでした。

❶ AIエージェントは「新たなニーズ」の可視化を担う

このプロジェクトで活用しているAIエージェントは、現代のトレンドや海外のニーズを学習しています。
AIは、製作者が一人では辿り着きにくい「市場としてのニーズ」を、具体的な図案として可視化してくれます。
まずはAIに、創作の土台となる「素材」を提示してもらう。
これがデジタルを介した新しいものづくりの起点です。

❷ AIエージェントを介した「微調整」がクオリティを決定する

AIが出力するデータは、デジタル上では完璧に見えます。
しかし、それを画面上で立体物として眺めると、工芸を知る人間だからこそ気づく「違和感」があります。
パズルのピースを傷めないように崩すのと同様に、データの整合性を守りつつ、人間がAIエージェントを介して細かな調整を加える。
この「最後のひと手間」が、ただのデータを作品へと変えていきます。

❸ 最終的な「判断」にのみ責任が宿る

どれだけAIエージェントが優れた提案をしても、「これでいこう」と最後に判断するのは製作者自身です。
AIは選択肢を広げ、人間はその中から銀器としての美しさや素材の特性にかなうものを選び取り、責任を持つ。
この役割分担こそが、伝統を活かしながら新しい価値を生むための鍵になると考えています。


🎥 ドキュメンタリー動画

本プロジェクトの開発風景や、職人とAIが向き合うリアルな現場をドキュメンタリー動画として公開しています。

✨【前編】プロジェクトの立ち上げと試行錯誤

✨【後編】AIデジタル試作と成功への道


🛠 関連開発レポート

技術的な詳細や取り組みについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

▼ 関連する開発記事


まとめ

機械が作った完璧な状態を、人間が自分の感覚で「最適な形」へと整える。
パズルの検品現場で見たあの光景は、今回のプロジェクトを通じて向き合ってきたことと、どこか通じるものがありました。

AIは答えをくれる魔法ではなく、あくまで製作者の選択肢を広げてくれるもの。

AIが作る精緻な土台と、人間がその上で行う判断。
この二つをどう重ねれば、伝統工芸の中に新しい表現が生まれるのか。
現場でそのプロセスを目の当たりにし、これからのものづくりのあり方を改めて考えさせられる取り組みとなりました。

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