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AIを入れる前に、ERPの「単一データモデル」を作る - NetSuite -

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単一データモデル × SuiteQL × 在庫滞留の可視化

はじめに

在庫滞留の可視化において重要なのは、AIの性能そのものではありません。
正しい一次データに、誰もが迷わず到達できる構造が整っているかどうかが、結果を大きく左右します。

ERPを単一データモデルとして整備しておくことで、AIは推測ではなく、根拠に基づいた説明ができるようになります。


なぜAIを導入しても、在庫の議論が前に進まないのか

多くの企業では、在庫の情報自体はすでに可視化されています。
倉庫別の在庫数量やSKUごとの一覧、BIツールによるダッシュボードも珍しくありません。

それでも経営の場では、次のようなやり取りが繰り返されがちです。

  • これは本当に滞留在庫と言えるのか
  • 一時的な季節要因ではないのか
  • 実際に、いくら分のキャッシュが固定化されているのか

議論が前に進まない理由は、AIが未熟だからではありません。
在庫データが、経営判断に耐える定義と粒度で整理されていないことにあります。


(在庫の文脈における)単一データモデルとは何か

単一データモデルとは、在庫について次の問いを投げかけたとき、
誰が確認しても同じ答えにたどり着ける状態を指します。

  • 現在、どの拠点に
  • どの商品が
  • どれだけ存在し
  • 金額に換算するといくらで
  • 最後に動いたのはいつなのか

これらが、同じ定義、同じ粒度、同じ参照点で管理されていることが重要です。

NetSuite のようなERPがAIと相性が良いと言われる背景には、
在庫、会計、購買、販売といったデータが、もともと一つのデータモデルで設計されている点があります。


在庫滞留を経営で使える形にするための考え方

在庫滞留は、現場のオペレーション課題として扱われがちですが、
本来はキャッシュと利益に直結する経営課題です。

そのため、最低限次の4つの観点が揃っている必要があります。

  1. 在庫数量
  2. 在庫金額(原価ベース)
  3. 最終動きの日付
  4. 滞留区分(例:0–30日、31–60日、61–90日、90日超)

数量だけでは経営判断には不十分ですし、
最終動きが分からなければ、それが本当に滞留なのかどうか判断できません。


単一データモデルを整備すると、何が変わるのか

まず、部門間で在庫の数字が食い違いにくくなります。
営業、SCM、経理がそれぞれ異なる数字を前提に議論する状況を避けられます。

次に、AIの出す結論に対して根拠を示せるようになります。
どのデータを参照し、どの条件で算出された結果なのかを説明できるためです。

結果として、在庫が倉庫管理の指標にとどまらず、
キャッシュ固定や評価損といった経営KPIとして扱えるようになります。


現場でよく見られる失敗例

実務でよく見かけるのは、次のようなケースです。

  • 在庫数量のみを基準に議論している
  • 金額情報をExcelで後付けしている
  • 最終動きの定義が部署ごとに異なっている
  • 集計済みのデータをそのままAIに入力している

この状態でAIを導入すると、見た目にはそれらしい説明が返ってきます。
しかし、経営判断に使うには十分とは言えません。


在庫滞留を可視化するための現実的な進め方

ステップ1:在庫の正をERP側に集約する

在庫の定義は、ERPを起点として固定します。
倉庫別、SKU別、評価方法を明確にし、ここを唯一の参照点にします。

ステップ2:滞留の基準を明文化する

何日動いていなければ滞留とみなすのか。
その区分が、経営判断のタイミングと合っているかを確認します。

ステップ3:一次データの粒度で可視化する

集計済みの数値ではなく、
できるだけトランザクションに近い粒度から確認できる形を作ります。

ステップ4:AIの役割を限定する

AIには自由に分析させるのではなく、
定義済みのデータに案内し、要点を整理させる役割を担わせます。


CFO(財務経理の責任者)の視点で見た在庫滞留AI

経営にとって意味のある在庫滞留AIとは、
自動的に判断を下す存在ではありません。

同じ数字を前提にしながら、
なぜその結論に至ったのかを説明できる存在であることが重要です。

AIはあくまで補助役であり、
主役は単一データモデルとして整備されたERPです。


FAQ

AIを先に導入し、後から在庫データを整備してもよいでしょうか

おすすめはできません。順序を誤ると、期待した効果を得にくくなります。

BIツールがあれば十分ではないでしょうか

BIは可視化の手段であり、正しいデータを定義する役割はERPにあります。

在庫滞留は数量だけで判断できないのでしょうか

経営判断には金額情報が欠かせません。

最終動きの情報は本当に必要でしょうか

滞留かどうかを判断するためには不可欠です。

AIの回答に対する説明責任はどのように担保しますか

一次データとその根拠を常にたどれる形にしておくことが重要です。


おわりに

在庫滞留の可視化は、AI導入の話ではありません。
AIが有効に機能する経営基盤を整える話です。

ERPを単一データモデルとして整備し、
在庫の正を明確にした上で、
AIにはそのデータを分かりやすく案内させる。

この順序を守ることで、
在庫は現場の管理指標から、経営の意思決定材料へと変わっていきます。


Appendix :実装チーム向け(参考)

ここからはAppendixです。本文で触れた在庫データを、安全に扱うための最小サンプルを示します。

SuiteQLを利用する際には、必ずページング処理を行い、本番環境への負荷を抑えることが重要です。

/**
 * SuiteQL をページング実行する最小例
 */
define(['N/query'], function (query) {

  function execute() {

    var sql = `
      SELECT
        item,
        location,
        quantityonhand
      FROM InventoryBalance
      WHERE quantityonhand <> 0
    `;

    var pagedResults = query.runSuiteQLPaged({
      query: sql,
      pageSize: 500
    });

    pagedResults.pageRanges.forEach(function (pageRange) {
      var page = pagedResults.fetch({ index: pageRange.index });
      page.data.forEach(function (row) {
        // row.values を用いた後続処理
      });
    });
  }

  return {
    execute: execute
  };
});

InventoryBalance やカラム名は、アカウント設定や機能によって差異があります。実装時には必ず自社アカウントのスキーマ定義を確認してください。

ご不明な点は、Oracle NetSuiteのお問い合わせから確認ください。
https://www.netsuite.co.jp/


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