はじめに
ヘルスケア・健康食品の会社は、事業が伸びるほど忙しくなります。
商品が増え、販路が増え、顧客が増える。その結果、社内では少しずつ「つながらなさ」が目立ち始めます。
最初のうちは回ります。営業は営業、受注は受注、在庫は倉庫や別システム、会計は月末締め、ECと卸はそれぞれ別管理。現場ごとに見れば成立しています。
ただ、会社全体で見た瞬間に問題が出ます。
- 在庫の実態が見えにくい
- 数字が部門ごとにずれる
- 二重入力が増える
- 承認が止まる
- 入金確認に手がかかる
- 販路別採算が最後はExcelになる
こうした問題の本質は、システムの古さではなく、業務が部門ごとに分かれたまま成長してしまうことにあります。
問題は機能不足ではなく、業務の分断である
業務改革というと、何の製品を入れるかに議論が寄りがちです。
ただ、先に見るべきはそこではありません。営業、受注、在庫、会計が一本でつながっているかどうかです。
営業情報が見積や受注につながらない。
受注しても在庫や納期がすぐ見えない。
出荷して請求しても、入金確認は別運用になる。
その結果、経営は月次でしか数字を見られず、現場は日々の問い合わせ対応で疲弊します。
個別の業務は回っていても、会社全体では流れが切れている。
そこに、この業界の難しさがあります。
ヘルスケア・健康食品企業では、なぜ分断が起きやすいのか
この領域は、見た目以上に業務が複雑です。
法人営業、卸、EC、自社通販、モール、場合によっては海外もある。商品ごとに回転率も異なり、継続購入されるものとスポットで動くものも混在します。
特に重要なのが、販路の違いがそのまま業務の違いになることです。
楽天やAmazonのようなモールでは、日次で売上や在庫を見る必要があります。
一方で、卸経由では、ドラッグストア、調剤薬局、スーパー、バラエティストアなどに流れ、受注や在庫の見え方が変わります。
この複数販路をまたいで事業が伸びると、次のようなずれが起きやすくなります。
- モールの売上と卸の出荷実績が揃いにくい
- 卸向け出荷は見えても店頭実売は見えにくい
- 販促施策の効果がチャネルごとに分かれる
- 在庫の置き方や回転の考え方が販路で異なる
- 全社売上とチャネル別売上の見え方が揃いにくい
少人数運営の成功体験が、成長後の負荷になる
この業界は、少人数でうまく回してきた会社ほど、あるところで急に苦しくなります。
立ち上がりの時期は、Excelとメールと現場力でかなり回せます。むしろ、それが強みでもあります。
ただ、事業が伸びると、そのやり方は徐々に重くなります。
誰かしか分からない管理表が増え、確認のための確認が増え、数字を作るための作業が増える。
本来は売上拡大に使うべき時間が、突合と確認に消えていきます。
現場は回しているつもりでも、実際には人がつないでいるだけ、という状態になりやすいのです。
見直すべきは部門ではなく、部門のあいだの継ぎ目
営業、在庫、会計を個別に良くすることは大事です。
ただ、本当に見直すべきなのは、その間にある継ぎ目です。
- 営業が受けた話が、いつ見積になるか
- 見積が、どう受注に変わるか
- 受注時点で在庫や納期がどう見えるか
- 出荷後、請求と入金確認までどう閉じるか
この流れが見えている会社は強いです。
逆に、各部門の中ではよくできていても、継ぎ目が見えない会社は規模が大きくなるほど苦しくなります。
在庫は数量管理ではなく、販路別の約束そのものである
在庫の問題は、単に「何個あるか」ではありません。
今あるのか、引き当たっているのか、入荷待ちなのか、どこにあるのか、いつ出せるのか。現場が知りたいのはそこです。
しかも、在庫の意味は販路ごとに変わります。
モールでは欠品がそのまま機会損失になります。
一方で、卸経由でドラッグストアやスーパーに流す商流では、出荷タイミングや補充頻度、店頭展開との整合が重要になります。
つまり、同じ在庫でも
- モール在庫
- 卸向け在庫
- リアル店舗向け供給在庫
では意味が違います。
だからこそ、在庫だけを単独で管理しても解決しません。
受注、引当、出荷、購買、販路別実績と一緒に見ないと意味がありません。
会計は最後の集計ではなく、日々の業務の結果である
会計も同じです。
会計はバックオフィスの仕事に見えて、実際には日々の受注、出荷、請求、支払、入金の積み上げです。
ここが分断されている会社では、月末月初に負荷が集中します。
締めてみないと分からない。
確認してみないと揃わない。
チャネル別、商品別、顧客別で見ようとすると手作業が増える。
モールの数字、卸向け出荷、店頭施策、返品、値引、未入金確認。
それぞれが別に存在している限り、会計は最後に苦しくなります。
AIの前に、ERPで業務データを一本にする
最近は、どの会社でもAI活用がテーマになります。
ただ、先に確認しておきたいのは、AIは分断された業務を魔法のようにつないでくれるわけではない、ということです。
営業は営業側、受注は販売管理側、在庫は倉庫側、会計は会計側、入金確認はPDFと人手。
この状態のままでは、AIは部分最適の補助にはなっても、意思決定を変えるところまでは届きません。
だからこそ、先にERPが必要になります。
ここで言うERPは、単なる会計システムではありません。営業・受注・在庫・会計を同じ流れの上に置き、会社の中に単一の業務データをつくる基盤です。
この基盤ができてはじめて、AIは実務で意味を持ちます。
- 未入金先の抽出
- 催促メールの下書き
- 販路別売上の要約
- 在庫偏在の説明
- 証憑の読取り
- 役員会向けレポート作成
たとえば、楽天・Amazonなどのモール販売と、卸経由でドラッグストアや調剤薬局、スーパー、バラエティストアに流れる商流をまたいで、どの販路で何が動き、どこで欠品や滞留が起きているのかを説明するには、ERP上で受注・在庫・会計がつながっていることが前提になります。
AI時代に必要なのは、ERPの後ろにAIを付け足すことではありません。
ERPそのものを、AIが自然に機能する単一データモデルとして捉え直すことです。
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