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あのDeepRacerが「AWS Solution」として復活していたので、環境を作ってみた

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Last updated at Posted at 2026-08-04

はじめに

eyecatch-deepracer.jpg

数年前、学生時代に AWS DeepRacer Student League に参加し、日本ランキング3位を取ったことがあります。強化学習(RL)を「レースカーを走らせる」という直感的な形で体験できる、当時のAWSの学習コンテンツの中でも特に面白い企画でした。

images.jpg
(↑仮想空間のみでなく、この車にモデルを上げて、実際に現実でも走らせたりもしました)

その後、Deepracerが消え、社会人になってDeepRacerから離れていたのですが、最近「DeepRacerがまた動くらしい」という話を耳にし、懐かしさもあって環境を作ってみることにしました。ただし正直に言うと、当時は与えられたコンソールをただ触っていただけで、裏側のインフラを意識したことは一度もありませんでした。 今回は「昔と何が変わったのか」を調べながら、実際に自分のAWS環境に一からデプロイしてみた記録です。

同じように「懐かしさで戻ってきた」「昔やっていた」という方の参考になれば幸いです。

昔とどう変わったのか

まず衝撃を受けたのが、DeepRacerはもうAWSがホストしてくれるサービスではないという点です。

自分が参加していた頃のAWS DeepRacerは、AWSマネジメントコンソールにログインすればすぐに使える、いわば「AWSが用意してくれた遊び場」でした。ところが調べてみると、状況は次のように変わっていました。

  • 2024年9月ごろ、AWS DeepRacer Leagueが2024年のレースをもって終了する旨がAWSから通知されました。
  • 2025年以降、AWS DeepRacerリーグはAWSが世界規模で主催する大会ではなくなるものの、2025年12月まではAWSマネジメントコンソール上でトレーニング・評価・コミュニティレース用の機能自体は使い続けられる、という猶予期間が設けられていました。
  • そして2025年初頭から、AWS DeepRacerのソースコードがAWS Solutionとして公開され、基盤となるAWSサービス・コード・設定を組み込んだ「そのまま使えるデプロイ済みパッケージ」として提供される形に変わりました。

つまり、「AWSが用意した1つの共有環境にみんなでログインする」時代から、「自分のAWSアカウントに自分でデプロイして、自分の環境として持つ」時代に変わったということです。学生時代の自分からすると「え、インフラも自分で作るの!?」という驚きがありました。

参考までに、サービス終了の経緯は以下の記事で詳しく触れられています。

この「AWS Solution」化に伴い、新しい配布形態として AWS Launch Wizard 経由でのガイド付きデプロイが用意されていました。今回はこれを使って、実際に環境を構築してみます。

AWS Launch Wizardとは

images.png

簡単に言うと、AWSが提供する複雑な構成のアプリケーションを、質問形式のウィザードでポチポチ答えるだけでデプロイできるようにするサービスです。裏側ではCloudFormation(AWSのインフラ自動構築の仕組み)が動いており、必要なAWSリソースをまとめて作ってくれます。

DeepRacer on AWSも、この仕組みに乗る形で配布されるようになっていました。

実際にデプロイしてみる

ステップ1:デプロイ設定

Launch Wizardのコンソールから「DeepRacer on AWS」のデプロイを開始すると、まずデプロイ名やタグなどの基本情報を入力する画面になります。

image.png
image.png
ここでは以下を設定しました:

  • Deployment name:deepracer-demo-0804(日付を入れておくと後で分かりやすい)
  • Disable rollback on failure:チェックなし(失敗時は自動でリソースを削除してもらう設定)
  • Deployment tags:Ownerタグを付けて、誰の環境か分かるようにしておく

ステップ2:アプリケーション設定

次にDeepRacer固有の設定です。

image.png

ここでのポイントは Email delivery method の選択です。DeepRacer on AWSは認証メールの送信方法として、Amazon CognitoとAmazon SESの2つをサポートしています。Amazon Cognitoはデフォルトの配信方法で追加のセットアップが不要ですが、1日50件までという上限があるため小規模な利用に向いています。一方Amazon SESはより高い送信上限とカスタム送信元アドレスに対応していますが、検証済みのメールアドレスとSESの本番アクセス申請が必要になります。

今回は自分1人がデモ用に触るだけなので、追加設定が不要なAmazon Cognitoを選択しました。

ステップ3:最終確認

設定内容を確認し、「Deploy」をクリック。

image.png

ここまでは順調で、「約30分でリソースが作られる」という案内どおり、待つだけでした!

デプロイ成功

すべてのスタックが無事CREATE_COMPLETEになりました。

ログインでひと苦労(メールはちゃんと読もう)

デプロイ完了後、管理者用のメールアドレス宛に一時パスワードが記載された案内メールが届きます。ただ、ここでも地味にはまりました。

一時パスワードの最後の文字に含まれていた > の文字を「これはパスワードをわかりやすくしてくれる装飾だろう」と思い込んで入力から除外してしまい、何度も「Incorrect email address or password」のエラーになりました。パスワード入力欄で 「Show password」 のチェックボックスを有効にして目視確認したことで、ようやく解決しました。

またパスワードリセット機能を試した際に「Email address not found」というエラーが出て少し焦りましたが、これは前段のログイン失敗の影響で、パスワード自体が誤っていたことが根本原因でした(Cognito側にはユーザーが正しく検証済みの状態で存在していました)。

無事に一時パスワードでログインできると、レーサーエイリアス(表示名)と新しいパスワードの設定を求められます。

image_1024.png!

ダッシュボードにログイン成功

最終的に、無事DeepRacer on AWSのダッシュボードにアクセスできました。

image_1024.png
image_1024.png

「0 Hours used」「0 models」というまっさらな状態や、学習モデルを作成するときのコースの選択画面を見て、学生時代に何十時間もモデル訓練していたことを思い出し、少し感慨深くなりました。

コストについて

検証用アカウントでも個人アカウントでも気になったのがコストです。調べたところ、利用が限られた25人規模の小グループの場合、月あたり1人約$7.78(合計約$194.37)程度が想定コストとして案内されています。

個別の訓練・評価の単価としては、訓練・評価は1時間あたり$3.50、モデル保存は$0.023/GB・月という料金体系です。

自分のように1人でデモ・お試し目的で数モデルだけ短時間訓練する程度であれば、実質的なコストは数百円~千円程度に収まる見込みです。ただしデプロイしたリソース自体(VPCやWAFなど)がわずかに固定費として発生し続ける可能性があるため、使い終わったらスタックを削除するのを忘れないようにしたいと思います。

まとめ

  • DeepRacerは、かつての「AWSが用意した共有コンソール」から、AWS Solutionとして自分のアカウントにデプロイするツールに姿を変えていました。
  • AWS DeepRacer Leagueとしてのグローバル大会は2024年で終了し、マネジメントコンソール経由でのアクセスも2025年12月に終了しています。その後継として、セルフホスト型の「DeepRacer on AWS」が用意されている、というのが今の状況です。
  • デプロイ自体はLaunch Wizardのおかげで手順としては迷いませんでしたが、Organizations配下のAWS環境ではSCPの制約に阻まれることがあるので、組織のガードレールに注意が必要です。
  • ログイントラブルは自分のヒューマンエラー(パスワードの文字の読み間違い)が原因でした。一時パスワードは記号までしっかりコピーするか、Show passwordで目視確認するのがおすすめです。

環境自体は無事に立ち上がったので、次はモデルを訓練して、当時の記憶を掘り起こしながら報酬関数を書いていきたいと思います。続きはまた別の記事でまとめる予定です。

参考リンク

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