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Cluster Creators Guide運営四方山話

Last updated at Posted at 2023-12-11

この記事はクラスター Advent Calendar 2023 シリーズ2の12日目の記事です。

前日の記事は @catGPT さんの「Go製の2Dゲームエンジン「Ebitengine」でレイマーチングしてみる」でした! シェーダーは魔法のようなので、いつかちゃんと挑戦してみたいですね。


こんにちは、クラスター株式会社のFUKUDAです。
クラスター社では「Cluster Creators Guide」の運営を中心に、clusetrで創作を行うクリエイターの方々に役立つ情報発信を行うチームに属しています。

普段、記事の執筆だったりは滝さんなどにお任せしていて裏側で動いているのですが、今年はリリーさんがミニゲーム制作に挑戦する配信企画を手伝ったり、東京大学メタバース工学部で講義をさせてもらったり、表に出る機会が多い1年でした。

さて、私がCreators Guideを本格的に運営するようになってから2年ほど経過しました。ちょうどいい?タイミングなので、今回のアドベントカレンダーでは、Creators Guideの運営について振り返ってみたいと思います。

Cluster Creators Guideとは?

まず「Cluster Creators Guide」とはなんぞや、という方に向けて簡単に説明します。
clusterでは、ゲームエンジン「Unity」と、clusterが提供するツール「Cluster Creator Kit」を使うことで「ワールド(バーチャル空間)」を制作・アップロードすることができます。

Unityは通常のゲーム制作でも使われるプロフェッショナルなツールです。そのため扱うためには覚えることがたくさん……
そうした方をサポートするメディアが「Cluster Creators Guide」です。現在はワールド制作を対象とした記事を中心に定期公開しており、技術的な解説を行う記事が200記事以上公開されています。

起こり

私がクラスター社に入社したのは2021年4月です。当時と比較すると、現在は会社に所属している方の人数が倍以上になっていて会社の成長スピードには驚きです。

「Cluster Creators Guide」は私が入社する前から運用されていたもので、「Cluster Creator Kit」リリースと同時に公開されたそうです。どれくらいのクリエイターが使ってくれるか分からない中で、同時にメディアも立ち上げてしまう、というのは力の入れ具合が手に取るように分かりますね。

私はもともと雑誌編集の仕事をしていました。当時のCreators Guideには専任の担当者がおらず、運営のための人員を募集していたので、それなら自分の持っているスキルでも役立ちそうだなと思い、入社することになりました。

ただ入社当初は、会社全体でまだまだ人が足りていない時期で、Creators Guideを専任で見るというより、PMのアシスタント的なことやら他の色々な業務を兼任しながら、Creators Guideの運営をしていました(現在でも人は全然足りていませんが……)。
そこから人が増えてきたこともあり、大体2022年の前半あたりからCreators Guideの運営に業務の比重を置けるようになっていき、様々な試行や改善を行うようになっていきました。

「Unityの入り口」としての「ワールド制作」

2年ほどの運用の結果から言うと、一定期間でのPV・UUは5倍以上、検索での流入は10倍以上になっています。
検索での流入が増えているので、メディアとしては順調に成長していると言えるのではないかと思います。また、特化したジャンルの知見が蓄積されたことで情報源としては価値を持ち始めているのではないかと考えています。

Creators Guideを本格的に運用するにあたり、まずはそれまでによく読まれていた記事やシェアされていた記事を分析しました。その上で「定期的な記事更新を行う」「ターゲットを明確にする」という2つの方向性を打ち立て、それを軸に運営を行うことにしました。
それぞれの方針について、簡単に解説します。

定期的な記事更新を行う

先述した通り、かつてのCreators Guideには専任の担当者がいませんでした。そのため、記事を執筆する余裕がある人が書く、という形になっており、記事の更新が不定期でした。

メディアとしての認知度を高めるためには「動いている感」が必要になります。常に情報が更新されているメディアであるから、読者はそこに情報を探しに行きます。そのためには、「常に記事が更新されている」という印象が重要なのです。
不定期で更新されていると、変化が見えづらく、そうした印象を与えにくくなってしまいます。そのために、まずは「定期的な更新」を行うことが最重要だと考えました。

定期的な記事更新を行うために取り組んだことのひとつは「記事の適切なボリュームを定める」ことです。
既存の記事は完成度は高いものの、1記事1記事の長さがまちまちでした。記事のボリュームがたっぷりなのはそれはそれで良いことなのですが、執筆するのが大変になってしまうし、読む側としても記事ごとにボリュームがまちまちだと読みにくかったり、ピンポイントで情報を得にくくなってしまう、というデメリットもあります。

何より、記事数がまだそこまでないメディアでは、メディアに訪れてもらうために「様々な情報が存在していること」を可視化することが重要です。そこで、記事数を増やすために記事の内容が適切なボリュームになるように記事の企画を進めていきました。厳密なルールを定めているわけではありませんが、記事が長くなり過ぎてしまった場合は「こことここのトピックは別記事でもいいのでは?」という提案をすることもありました。

これにより、執筆する側の負担が減り、執筆スピードが上がりました。また、記事のボリュームの調節のため紹介する内容を「1記事で1つの機能の解説を行う」などパッケージ化することで、常に「記事ネタ」のストックができ、執筆者側も執筆する題材が選びやすくなりました。

こうした工夫により、基本的には最大週3回の更新を行えるようになり、現在の記事数は200を越えました。
Xなどの反応を見ていると、クリエイターさんの中でも「Creators Guideは常に情報が更新されている」「行けばとりあえず何か情報はありそう」という認知が生まているように感じます。

さらには、英訳され、海外のクリエイターの方にも情報が届くように整備され始め、ストックがうまく活用されていくようになっています。

ターゲットを明確にする

Creators Guideは運営が始まった当初からある程度のPV・UU数が獲得できていました。これはclusterやCluster Creator Kitへの注目度の賜物でしょう。
一方で、このメディアを「clusterのクリエイターを増やすために運営する」と考えると、より幅広い層に読まれるメディアになった方が良いのではないかと思います。

Cluster Creator Kitでのワールド制作はCluster Creator Kitのコンポーネントを使うこともできますが、Unityの機能だけでも色々な表現をすることができます。そこで、Unityに焦点を当てることで、Unityの情報を探している方がこのメディアに辿り着き、暗に「clusterでUnityを使ってワールド制作をすることができる」と伝えることができるのではないかと考えました。
試しにいくつかのバリエーションの記事を公開してみたところ、Unityの記事はPV・UU数が比較的高いという結果になりました。

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そうした分析から、まずはメディアの認知度を高めるために「『Unityの入り口』としての『ワールド制作』」というコンセプトを定め「Unityの基本的な機能を知りたい方」をターゲットとして記事を拡充していくことにしました。
最初に述べたように、私は「雑誌」というアナログな媒体の出身で、技術に明るいわけではありません(今もですが…… )。自分も独学でUnityについて勉強したので、その時の気持ちを思い出しながら記事を制作していきました。

その結果、Unityを使う他プラットフォームのユーザーの方の認知も徐々に生まれるようになりました。また、Unityさんの公式noteでもclusterのワールド制作がUnityの学習に役立つのではないか、ということでいくつか記事を紹介していただきました。

このように当初定めていた「認知度を高める」という観点では、一定の成果が出たのではないかと思います。一方で、Unityの基本的な機能の紹介に焦点を当てていたので、Cluster Creator Kitを使ったギミック制作の記事などはまだまだ紹介できる余地があると考えています。
今後は、ターゲットを少し変えて、clusterでの創作をより楽しめるような知見を増やしていくことも考えています。

クリエイターに蓄積された知見を循環させる

Creators Guideでは、clusterで創作を行うクリエイターさんによる記事も掲載しています。

Cluster Creator Kitがリリースされた当初、「Cluster Wiki」という、Scrapboxを活用した、クリエイターさんも投稿できる掲示板のような場所が機能していました。
こちらには、クリエイターさんが独自に検証したものや制作を通して得られた知見がざっくばらんに共有されていました。

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まさに「集合知」という形で、色々な知見が集まる素晴らしい場所だったのですが、cluster側のアップデートで古くなってしまう情報が出てきてしまい、初めて訪れる方にとっては新旧の情報が混在してしまうようになり、次第に管理が難しくなっていました。

Cluster Wikiは私がクラスター社に入る前に始められていたものですが、なんとかこのようなクリエイターさんに蓄積された知見をうまく循環するようにして、色々な人がWin-Winになれるような環境をつくれないかと予てより考えていました。

なぜかというと、「ワールド制作」や「バーチャルイベント」などの創作のジャンルはまだ生まれてから日が浅く、世に出ている知見は多くないからです。「Unityの機能」という観点では、既存のUnityの知見を活かすことができますが、それ以外にも独自の知見が多く存在するジャンルになっています。
そうした知見は、プラットフォームを運営する私たちにとっても未開拓の分野です。実は、この知見について最も詳しいのは、実際にワールドを制作したりしているクリエイターの方々なのです。

そこで、クリエイターさんに記事を執筆してもらったり、別媒体で投稿されていた記事をお願いして転載させていただく「クリエイター投稿記事」の試みを始めました。
一時期は直接ご意見を頂いたりして、Creators Guideの改善に繋げていました。

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クリエイター投稿記事

この影響かは分かりませんが、Creators Guideでも精力的に執筆いただいていたvinsさんの本が出版されるなど、クリエイターさんが培った知見が活かされている場面は増えてきています。

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ただ、こちらの試行はまだまだ模索中というところで(やはり執筆いただくとなるとクリエイターさんに多大な労力をかけてしまうのが忍びなかったり、気軽に共有できる場がなかったり)、今後も良い形で進められるよう検討していきたいと思っています。

記事以外のアプローチ──動画、ワークショップ……

Creators Guideは、文字媒体の記事を中心としたメディアとして運営されていますが、技術的な解説記事ということを考えると「文字より映像で見た方が理解しやすい」という方も多くいると思います。
私が雑誌の編集者出身ということもあり、動画には明るくはないのですが、少しずつ動画でのコンテンツも制作し始めています。

特にはじめてワールドをつくる方向けの「はじめてのワールド制作」は動画コンテンツを中心に制作を行いました。

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究極的なことを言うと、こうした技術的な解説は記事や動画ですべてをカバーし切るのは難しく、詳しい人に聞くのが一番という考え方もあるかと思います。
ただ、Creators Guideなどクリエイターさんをサポートするチームに所属している人数は限られており、すべての方の質問などに対応できるわけではありません。
それでも直接コミュニケーションしながら、clusterでの創作を楽しむためのサポートができないかと考えスタートしたのが「Cluster Workshop」です。

当初はCreators Guideチームで担当していましたが、今では専任の担当者がつき、定期的に開催されています。Creators Guideもぜひ参考にしていただければと思いますが、Cluster Workshopに参加していただくと、より理解に繋がるのではないかと思います。気になる方はぜひ参加してみてください(下記のサイトでこれまでのアーカイブも公開されています!)。

Cluster Workshopで扱う内容は、今後はCreators Guideとも連携していければと思っていますので、ぜひフィードバックなどあればXなどで投稿してみてください。

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「『記事の増加』『clusterでの創作の多様化』による導線の複雑化」という課題

最後に、Creators Guideが抱えている課題を紹介して、今回の記事を締めようと思います。

記事の増加

ひとつ目は、記事の増加によって「はじめて訪れる方がどこから読んでいいか分かりにくくなっている」という課題です。

記事の増加によるものなので嬉しい悲鳴ではありますが、欲しい情報に辿り着きにくくなっているのは由々しき事態です。
記事の追加自体は続けていきたいと思っていますが、この課題を解決するための試みも少しずつできればと思っています。
具体的には、最初の一手として、これまで公開した記事をまとめて「◯◯するために読むと良い記事」みたいなまとめ記事のようなものをつくると良いのかなと考えています。
clusterで創作できることは幅広いので、これだけでも色々な記事を制作できると考えています。

clusterでの創作の多様化

もうひとつの課題も、欲しい情報への辿り着きやすさに関係するものです。
お気づきの方もいると思いますが、Creators Guideは、当初は「ワールド制作」をサポートするメディアとしてスタートしました。しかし、現在のclusterでは「モデリング」「スクリプト」「ベータ機能」「クラフトアイテム」「アクセサリー」や「アバター」、「イベント」ひいては「写真撮影」……など幅広い創作が可能になっています。
それに合わせてCreators Guideでも扱う記事のジャンルの幅を広げてきましたが、それによって導線が複雑になっているのは否めません。

今後はこれらの導線を整理して、それぞれのジャンルで創作をしたい方が適切に情報に辿り着けるように整理する予定です。また、下記のようにそれぞれのジャンルがカバーする範囲を可視化することでクリエイターさんの創作を支援することもしていきたいと思っています。

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例えば、こういう形でそれぞれで使える機能を可視化するなど

誰かの「やりたい・つくりたい」をサポートするメディアとして

今回紹介した内容以外にもウェブサイト自体をリニューアルしたり、記事の書き方をより読みやすいようにしたり、細かな改善を続けてきました。また、clusterで活動しているクリエイターさんにインタビューさせていただく記事も制作しています。個人的には、こうした話を聞くのは好きなので、機を見て企画していければと思っています。

こうした試行には絶対的な正解はないと思うので、クリエイターの皆さんの反応を見ながら改善を続けていければと思います。cluster自体のアップデートも目覚ましいものがあるので、それに合わせてCreators Guideも変化していくことが必要になるでしょう。

メディアを運営しているものとして一番嬉しいのは、SNSなどでシェアしていただいたり、他の人にオススメしてもらったりすることです。もし参考になった記事があったら、シェアなりしてもらえると嬉しいです!
Creators Guideでは、記事の要望や改善を受け付けるフォームを用意しておりますので、ぜひご意見のある方は下記からお送りください(お褒めの言葉を頂けると担当者のやる気も爆上がりすると思います!)


明日は @tobyapi さんによる 「こんにちは」です!
こんにちは!

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