はじめに
私は、AndroidとWindows向けのドラマティック高校野球シミュレーションゲーム【栄冠にゃいん2024】を公開しています(Unityで開発)。
Google Playでは、応援してくださるユーザーの皆様のおかげで、評価数800人くらいで平均評価 4.7~4.8 くらいの高評価をいただいています(★5で評価してくれた人に感謝!)。
私のアプリは、他の有名な野球ゲームアプリと比較したら完成度は低いはずですが、他アプリと比較して、完成度の割には高い評価をいただいています。
Google Playで「野球」で検索していくつか見た限りでは平均評価4.7はトップでした。
この記事では、私のような個人開発者が、個人で開発する強みを活かして★5の評価を多くする方法を紹介します。
大きく2つの章に分けて説明します。
第1章 低評価になる要因を解消する
平均評価を上げるために効果的な方法は★1などの低評価をなくすことです。
ユーザーが低評価を付けるのはどんな時かというと、ユーザーがアプリに不満を感じた時です。
ユーザーが不満に感じたことを改善してほしくて開発者に要望を届ける際に、Google Play や App Store のレビュー機能を利用します。その際の多くは低評価となります。
(稀に★5で要望をしてくれる人もいて、そういうユーザーは大切なので積極的に対応しますが)
この章では、この理由での低評価になる要因を解消する方法を紹介します。
①要望&不具合が簡単に報告できるようにする
ユーザーがアプリに不満を感じた時に低評価が付きやすいというならば、不満を感じた時に要望を伝える別のお手軽な手段があれば、低評価を回避できます。
そこで私のアプリでは下図のように、簡単に要望を伝える手段として画面の左端に[報]ボタンというものを用意して、積極的に不満をもらうようにしています。
そして、[報]ボタンの存在を繰り返し何度も説明しています。
さらに、有益な報告をするとゲーム内ポイントがもらえるというメリットがあることも示します。
実際に[報]ボタンを押すと「カシャッ」という画面キャプチャした音と一緒に下図のようにテキストボックスと送信ボタンの画面を表示します。
画面キャプチャも自動的に送信されるので、ユーザーは文章だけで説明するよりも、簡単に伝えたいことを伝えられます(例えば、画面から女子マネがなぜか消えてしまった時に「女子マネが消えた!」の一言で通じます)。
これなら、わざわざ Google Play や App Store からアプリを探してレビュー機能を使うよりもお手軽です。
しかも、ゲーム内ポイントがもらえるメリットもあるので、多くのユーザーは[報]ボタンを使ってくれます。
実際、私のゲームでは、この機能を公開してから低評価は減りました。
代わりに[報]ボタンから、多くの要望や不具合を報告してもらえるようになりました。
もし[報]ボタンがなかったら、代わりにその分、レビューで低評価になっていたと思うと、とてもゾッとします。
②返信と一緒にポイントを贈呈
[報]ボタンで、作者が気付いていない不具合を報告してもらえることは多々あります。
そのように、有益な情報を報告してくれたユーザーには、感謝の返信と一緒に、ゲーム内ポイントを贈呈しています。
ユーザーの画面には、下図のように、作者からの連絡が来ていることが分かるように「あなたへの連絡」という大きなボタンを表示します。
ボタンサイズが大きすぎるように見えるかもしれませんが、ボタンの幅と高さを現在の半分程度で表示していた時は、そのボタンに気付かないユーザーがたくさんいました。
[報]ボタンから不満や要望を何度も送信していて返信が欲しい場合でも、[あなたへの連絡]ボタンを押さないユーザーが何人もいました。つまり、このボタンは、ユーザーにとっても開発者にとっても押した方が良いボタンなのに、押されないことがありました。
よって、ユーザーと開発者の両者にとって押した方が良いボタンは、邪魔に感じるくらいに目立たせて表示した方が良いと思います。
なお、[あなたへの連絡]ボタンを押すと、下図のように作者からの返信を表示します。不具合などの有益な報告の場合は、ゲーム内ポイントも加算します。
余談ですが、[報]ボタンのおかげで命拾いした事が、今まで何度もあります。
バージョンアップで致命的な不具合があった時に、リリース直後にユーザーの皆様が不具合を報告してくれたことが何度もありました。
その結果、すぐに対処できて事なきを得ました。
対処が遅れたら、Google Play のレビューに、何件も「突然進行不能になる」という★1のレビューが報告されてしまうレベルの致命的な不具合だったので、とても助かりました。
本当にユーザーの皆様には感謝しております。
③最初はゲーム内ポイントの意味がなくてOK
「有益な情報を報告してくれたユーザーには、感謝の返信と一緒に、ゲーム内ポイントを贈呈」をするならば、ゲーム内ポイントに応じてなんらかの報酬が受け取れる仕組みも一緒に作る必要があると思われるかもしれません。
しかし、最初はゲーム内ポイントの意味がなく、将来的に役に立つということを示せば大丈夫だと思います。
「将来的にポイントで報酬が得られるかもしれない」という期待感が、ユーザーの興味を引き続ける要因となるからです。
上記の論理は心理学から。詳細はこちら。
強化理論という考え方があり、それは行動が報酬や罰により強化されるという理論です。
この理論によると、行動は強化(報酬)によって増加し、罰によって減少します。
ゲーム内ポイントは、ユーザーにとっての「報酬の期待」として機能します。
たとえすぐに報酬に交換できないとしても、将来の報酬を得られる可能性があるという期待が、ユーザーの行動(アプリの利用)を強化します。
期待感がユーザーの行動を維持させる一種の「正の強化」(Positive Reinforcement) となります。
実際、私のアプリは1年半くらい意味のないポイントでしたが、ユーザーから不満やツッコミを受けたことはありませんでした。
(1年半もの間、意味のないポイントを溜めさせるのは、さすがに長過ぎると思いますので、私のアプリのユーザーの皆様が優しく応援してくださる人が多かった可能性もありますが)
第2章 応援してもらうために開発者の人間性を出す
この章では、アプリの平均評価に直接かかわる「Google Play や App Store へのレビュー依頼」について、個人開発者という特性を活かした方法を紹介します。
①前提:レビュー依頼は何かを達成した後に
本題に入る前の前提として、レビュー依頼するタイミングについて、簡単に説明します。
公式ページに素晴らしい内容が書いてありますので、詳細は以下を参照ください。
Google Playでのレビュータイミングについての説明
App Storeでのレビュー依頼のベストプラクティス
上記ページの中で一番のポイントは App Store の公式サイトに書いてある以下だと思います。
Ask for a rating only after people have demonstrated engagement with your app or game.
(日本語訳:ユーザーがアプリやゲームに熱中していることが示された後にのみ、評価を依頼してください)
つまり、熱中して何かを達成した後にレビュー依頼した方が良いと思います。
私のアプリは高校野球シミュレーションなので、レビュー依頼をするのは、ユーザーにとって最初の目標が達成された「甲子園出場の決定時」にしています。
早くても、そこまでに数時間かかります。
かなり遅いタイミングですが、それより前にレビュー依頼すると、十分な達成感を得ていない状態でレビューしてもらうことになり、★5で評価してもらえない可能性があると思うので、このタイミングにしています。
また、私のアプリは、広告収益型のゲームアプリなので、そのアプリを気に入ったユーザーは少なくとも数十時間をプレイするように設計しています。
(実際、月間アクティブユーザーのうち1000時間以上プレイしてくださる人も数十人います)
なので、★5のレビューを確実にしてもらいたい場合は、レビュー依頼は遅めでも良いかなと思っています。
②レビュー依頼するまでに応援したい気持ちを高める
ここからがこの章の本題です。
個人開発者の強みは、個人で頑張っているという応援したくなる特性を持つことです。
だから、私はアプリ内で、一人で頑張って開発していることを説明しています。
さらに、ユーザーの要望を100件以上実現し、開発者とユーザーが一緒になってアプリを改善している事を伝えています。
それを説明している例が下図です。
上図の説明の後に、再び[報]ボタンの説明をすることで、[報]ボタンによる有益な報告をしてもらいやすくすることにも繋げています。
上記に挙げたのは一例です。
これ以外にも、私は個人開発者として、どういう人間なのかを色々と開示した上で、ユーザーへの感謝を繰り返し伝えています。
それが応援したい気持ちに繋がっていると思います。
③レビュー依頼の直前にプレゼント
私のアプリでは、レビュー依頼をするタイミングは、ゲーム内の最初の目標である「甲子園出場の決定時」です。
そこまで早くても数時間かかるので、そこまでプレイしてくださるユーザーには感謝の気持ちを持っていますし、自分のゲームをそこまで楽しんでもらえて嬉しい気持ちがあります。
なので、この目標達成時に、感謝の気持ちとして、ゲーム内ポイントをプレゼントしています。
この直後に、レビュー依頼をしています。
あとから分かったことですが、どうやらこれは「好意の返報性」という効果があるようです。
他者から好意を受けると、自然とその好意に応えたくなるという心理があります。
相手から受けた親切や好意に対して、何かしらの形でお返しをしたくなるというものです。
④忙しくて開発やサポートが止まる時は、正直な状況を告知する
個人開発者のつらいところは、会社の仕事が忙しかったり、プライベートで忙しい時期だったりすると、アプリの開発やサポートに手が回らなくなってしまうことです。
私の場合、そういう時は、アプリ内の機能を用いて全ユーザーに、理由と共に開発とサポートがしばらく止まる旨を正直に告知しています。
数年前、私は人生においてとても重要なことを頑張るために、数ヶ月間、開発とサポートを停止することを告知しました。その停止期間中に、なぜか★5の評価が増え続けていきました。
断定はできませんが、おそらく応援の気持ちを込めて、★5の評価をしてくださったユーザーがたくさんいたのだと思います。本当に感謝です。
その勢いで★5の評価が増え続けた結果、評価数500件以上で平均評価4.9という状態になりました。
↑ 当時の画像
このように、個人開発者という特性を活かして、ユーザーと対話をしながら、自己開示しつつユーザーに感謝の気持ちを伝え続けることで、応援してもらいやすくなると思います。
最後に
私と同じく個人でアプリを作っている個人開発者の皆様は、同士として応援していますので、この記事で紹介した方法をご自分のアプリで利用してくださると嬉しいです。
そして、いいねを押してもらえると凄く嬉しいです。
もし活用した旨の連絡がもらえたら感激します → X(旧Twitter)はこちら
また、ゲームの内容に興味を持ってくださった場合は、こちらの30秒の動画を観てもらえると幸いです。
Android版のダウンロードはこちら、Windows版のダウンロードはこちらです(iPhone版はありません)。