0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

QA学園: "止められる"ようになった。でも「止めた案件」が山になった(テラ回3)

Posted at

止められるようになった。でも「止めた案件」が山になった

今回は、運用で不具合の負債がたまってしまった話。

0. 状況:パイロットは成功した。次に来たのは「止めた案件の山」

現場
「止められるようになったんです。……でも、止めすぎて進まなくなりました」

上層
「止めるのはいい。でも、いつまで止めるの?数字が落ちるよ」

テラ
「止められるようになったのは前進です。今は“調整の段階”ですね。
ただ、止めたあとのルールが無いので、“止めた案件”が積み上がっています」

上層
「で、どう直すの?」

テラ
「気合いの話じゃなく、止めた案件に“出口”を作ります。
『期限/担当/再開条件』の3点を必ず付けます」


1. よくある悪い例:止めた理由はあるのに、次が無い

現場
「この件、ちょっと怖いので止めました」

上層
「で、いつ再開できるの?」

現場
「……分からないです。だれが決めるかも……」

テラ
「いまの止め方は“判断としては正しい”です。
でも、止めたまま置くと腐ります。

テラ
「止めた案件は、24時間以内に次の形にします。
『再開する/止める/別のやり方で進める』のどれかです」

現場
「24時間って短くないですか?」

テラ
24時間で“解決”しろ、じゃありません。
24時間で“次の形にする”だけです」


2. テラが入れるルール:止めた案件の「3点セット」

テラ
「止めた案件には、これを必ず書きます。無いなら“止め”にしない」

3点セット(必須)

  • 期限:いつまでに「再開/停止/別ルート」のどれかにするか
  • 担当:必ず1人(やることは“解決”ではなく、次へ動かすこと)
  • 再開条件:何がそろったら再開できるか(ログ、影響範囲、回避策、決める人)

上層
「止めた人が責任取るの?」

テラ
「責任を押し付ける話じゃないです。交通整理です。
担当は“進めるための情報をそろえる人”。責めません」

現場
「なるほど……“止めたあとに戻せる”のが目的なんですね」

テラ
「そうです。止めるのは目的じゃありません」


3. 会話ログ:テンプレで「再開/停止/別ルート」に落とす

ケースA:情報が足りない → 再開(条件がそろったら進める)

現場
「ログがなくて原因が見えないので止めます」

テラ
「“再開条件”を書きましょう。
**『これがそろったら再開』**でいいです」

再開条件(例)

  • 影響ユーザーIDを10件集める
  • エラーの内訳が取れる
  • 再現手順を1本作る

テラ
「担当は◯◯さん。期限は明日10時。
明日10時にそろっていたら再開。そろわなければ、停止か別ルートにします」

(翌日)

現場
「ログ取れました。特定条件だけでした。回避策もあります」

テラ
「じゃあ再開です。範囲を絞って進めましょう


ケースB:影響が大きい・回避できない → 停止(止める)

現場
「決済で二重課金の兆候。再現は不安定だけど怖いです」

上層
「でも止めると数字が……」

テラ
「止めないほうが損失が大きいです。ここは止めます

停止にする条件(例)

  • 金銭/個人情報/全ユーザーに触れる
  • 回避策がない
  • 監視で見つけにくい/復旧に時間がかかる

テラ
「ロールバック案と、告知文と、復旧手順までセットで出します。
止めたあとに戻れる状態にします」


ケースC:全停止は痛い → 別ルートで進める(止めずに守る)

現場
「新UIが不安。止めたい気もするけど、全停止は痛いです」

テラ
「二択にしないで、別ルートにしましょう」

別ルート(例)

  • 新UIを10%だけ出す(段階的に出す)
  • 監視を足す
  • 異常が出たら即オフできる手順を用意

上層
「それなら影響も抑えられる」

テラ
「“止めるか進むか”だけにしないのがコツです」


4. 最後の歯止め:止めた案件が増えすぎないようにする(上限)

現場
「でも止めた案件がまだ多いです。みんな怖がって止めちゃう」

テラ
「ここで上限を決めます。
止めた案件が一定数を超えたら、新しいことを始めない

現場
「止める対象が増えたら……?」

テラ
「だから“止めた案件の総量”を先に制御します。
増えたら進みが遅くなるのが見えるようになります」


最後に:Before / After

Before(止めた案件が腐っていた)

  • 止めた案件:38件(期限なし/担当あいまい/再開条件なし)
  • 平均放置:7.2日
  • 「止めた理由」だけが残り、次に進めない
  • 割り込み:週6件
  • 体感:進捗が止まり、「止める=正しい」が強化された

After(止めた案件が“次へ動く状態”になった)

  • 止めた案件:38件 → 11件(24時間以内に動く)
  • 平均放置:7.2日 → 0.8日
  • 2週間の内訳
    • 再開:17件(情報がそろって進めた)
    • 停止:6件(損失が大きいものを先に止めた)
    • 別ルート:4件(段階的に進めた)
  • 割り込み:週6件 → 3件
  • 体感:止めることが目的ではなく、止めても戻れる運用が定着した

テラの締め

「止めるのが目的じゃない。止めても戻れるのが目的です」

image.png

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?