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[UE4] Widget Reflectorを使ってリソースや設定を調べよう

Last updated at Posted at 2019-12-05

1. 概要

Widget ReflectorはWidget関連のデバッグに有効なツールの1つで、様々な機能を備えており、

・現在表示に利用しているWidget, Slateの設定やリソースの情報を見ることができる
・Widgetの設定を見ることでパフォーマンス解析や最適化が適用されているかなどに活用できる
・これを利用してSlate実装を逆引きして参考にする時にも役に立つ
・Font Atlases, Texture Atlasesの機能を利用してロードされたリソースを確認できる

など、色々な用途に利用することができます。
2019-11-29_02h34_37.png

2. 使い方

2.1. クイックスタート

[Window]->[Developer Tools]->[Widget Reflector]を選択します。
2019-11-29_02h25_30.png

もしくは、コンソールコマンドで"WidgetReflector"と入力します。
2019-11-14_14h53_03.png

ウィンドウが開いたら[Pick Hit-Testable Widgets]を選択してリアルタイムキャプチャを行います。
2019-11-14_15h03_52.png

[Picking(Esc to Stop)]を選択するか、Escキーを押してキャプチャ終了します。
2019-11-29_10h56_08.png

キャプチャできると上記のような図を表示できます。選択したWidgetがプロジェクトのアセットの場合、リソースやスロットの各設定なども表示することができます。

3. 機能

3.1. GUI詳細

 Widget ReflectorのGUI及び、各パラメータの内容は以下の通りです。
(ソースファイル:SWidgetReflector.cpp, SWidgetReflectorTreeWidgetItem.cpp, WidgetReflectorNode.cpp参照)

3.1.1. Widget Reflector

2019-11-29_02h36_06.png

項目 説明
Application Scale アプリケーションスケールバー
アプリケーション全体のSlateに対するスケール値の指定(0.5~3.0)
Widget Caching キャッシュボタン
Widgetをキャッシングしている状態の表示
Invalidation Debugging Invalidationデバッグボタン
Invalidation Boxなどによるキャッシュ関連のデバッグ表示
Demo Mode デモモード切替ボタン
マウスクリック時にクリックのフィードバックアクションを表示
Display Texture Atlases テクスチャアトラス表示ボタン
テクスチャアトラス用ウィンドウの表示
Display Font Atlases フォントアトラス表示ボタン
フォントアトラス用ウィンドウの表示

3.1.2. Widget Hierarchy

2019-11-29_02h36_18.png

項目 説明
Show Focus フォーカス表示ボックス
フォーカスしているSlateを緑色の枠で強調する
Pick Hit-Testable Widgets Widget選択ボタン(判定)
押下するとWidget選択モード時に移行
HitTestが可能なWidgetを選択して詳細が確認可能
Pick Painted Widgets Widget選択ボタン(描画)
押下するとWidget選択モード時に移行
描画が許可されたWidgetを選択して詳細が確認可能
Take Snapshot スナップショット撮影ボタン
表示中の全てのウィンドウ情報をキャプチャしてスナップショットとして選択可能とする
Delay スナップショット撮影前遅延ボックス(s)
上記のスナップショットキャプチャ撮影前に指定時間のディレイを設ける
Snapshot Target スナップショット対象ボックス
スナップショット撮影の対象となるPCを指定する
Load Snapshot スナップショットロードボタン
保存済みのスナップショットファイル(.widgetsnapshot)を読み込んで展開する

3.1.3. Widget Tree

2019-11-29_02h36_41.png
 キャプチャした表示は以下のような内容となっています。

項目 説明
Widget Name Widget名
Widgetの階層構造をリストで表示
FG Foreground Color
前面色の状態を表示
Visibility 可視性
可視性の状態を表示
Focus? フォーカス可否
IsFocusableの設定に応じてチェックあり/なしを表示
Clipping Clipping状態
Clipping設定に応じてNo/Yes/Yes(Always)/Yes(NoIntersect)/OnDemandを表示
Source ソースファイル
使用しているWidget/Slate表示
選択するとアセットやコードにジャンプ
Address アドレス
使用中のSWidgetのポインタアドレスを表示

3.2. 機能詳細

3.2.1. Widget Hierarchy表示

 Widget及びSlateの構成を階層構造で表示することができます。これにより現在のUI表示がどのような構成から成り立っているものか、現在表示中のWidgetに対して正しい設定が適用されているか、といった内容を確認することができます。Sourceの部分をクリックすると、Widgetが選択されている場合は対象アセットを開き、C++がコードである場合は対象コードが追加される箇所までジャンプします。
2019-11-29_16h42_09.png

3.2.2. Live Widget編集

 Widget Hierarchyの中でWidgetアセットを選択していた場合、Widget Detailsタブには選択中のWidgetComponentの情報を表示することができます。これらの設定はPreview中に編集することで値を一時的に変更したり試すことができます。ここでの変更内容はアセットに直接反映されませんが、ここで編集出来ることでSlateやパフォーマンスの変化などを即時変更して確認したり、リソースの差し替えと確認が出来ます。
2019-11-29_16h20_22.png

3.2.3. Invalidation Debugging

 「Invalidiation Box」でも説明されているように、UMGを利用したUIの構築において、Invalidation Boxを使ったキャッシングはパフォーマンスの面で有効です。以下、デバッグモード表示時の各画面への影響と説明です。このデバッグモードを利用することで、正しくキャッシュが適用出来ているか等を確認しておくこともできます。

1) 4.20での表示
2019-11-29_10h45_52.png

項目 説明
緑線 Invalidation Boxを適用するWidget
Invalidation Boxによる最適化が適用されているかを確認でき、この表示が無い場合は全く適用されていない可能性があります
青線 Cache Relative Transformsを伴うInvalidation Box
bCacheRelativeTransformのチェックが有効なことを示します
赤線 Invalidation Boxが無効なWidget
Cacheが有効にも関わらずレイアウトの更新が発生してキャッシュされないことを示します
黄破線 VolatileとしてチェックされたWidget
レイアウトの更新などを意図的に起こす場合などCacheされないことを明示的に示して、キャッシュするためのコストを制約します

[Note]
赤はInvalidation Boxを配置した子Widgetで意図的にRenderScaleを変更させたものです。

2) 4.24での表示

2020-02-12_20h49_58.png

項目 説明
紫破線 Invalidation BoxのCacheがON
線なし Invalidation BoxのCacheがOFF

[Note]
4.24ではInvalidation Boxの適用有無のみを表示します。

3.2.4. Texture Atlases

 アトラス化されたテクスチャを一覧で表示します。表示するテクスチャはFSlateRHIResourceManager::TextureAtlasesを参照します。ここでは使用中のテクスチャアトラスを表示していますが、EditorとStandaloneではロードされるリソースに差分があるため(Editorでは全てが起動時にロードされる)、もしPCで確認する場合はStandalone起動において確認されることをお勧めします。

2019-11-29_10h57_28.png

3.2.5. Font Atlases

 アトラス化されたフォントを一覧で表示します。表示するテクスチャはFSlateFontCache::TextureAtlasesを参照します。ここでは使用中のフォントアトラスを表示していますが、EditorとStandaloneではロードされるリソースに差分があるため(Editorでは全てが起動時にロードされる)、もしPCで確認する場合はStandalone起動において確認されることをお勧めします。

2019-11-29_10h57_33.png

3.2.6. Snapshot

 EditorでWidgetの階層構造をキャッシュして、その値を確認したり変更できるということを上記で述べましたが、その階層構造の情報をSlate込みでSnapshotとして保存することが出来ます。以下の図はPIEで動作させているプロジェクトのSnapshotを撮影したばかりのものです。Snapshotをロードし直すことでSlateの状態を復元したり、再現することが可能となります。

2019-11-29_12h18_00-min.gif

4. まとめ

Widget Reflectorを利用することで、各Widgetの設定をランタイムで確認できたり、どのリソースが参照されているかを簡単に特定することができます。これらをうまく活用してデバッグを効率的に行いましょう。

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