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【基本のキ】ガバメントクラウド入門

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この記事はガバメントクラウド Advent Calendar 2025の1日目の記事です。

こんにちわ
最近、GovTech(行政DX)の業界に片足をつっこんできました
元エンジニアのdoueです。

この業界に入って最初に聞いた技術っぽいワードは「ガバメントクラウド」「LGWAN」などです。笑

今、私はエンジニアの仕事をしているわけではなく、当然、インフラ構築に関わるわけでは無いですが
とはいえ、この辺りの前提知識は知っておかないと、GovTechの世界を語れないと知り
僭越ながら、ガバメントクラウド周辺の知識をまとめた記事を書かせていただきます。

【ターゲット読者】

  • 「ガバメントクラウド」という言葉を最近よく聞くようになったが、中身はよく知らない方
  • 自治体システムの標準化に関心のあるITエンジニア、または自治体職員の方
  • 明日から行政DXの会話に、"少しだけ"ついていけるようになりたい方

1. そもそもガバメントクラウドって何?

ガバメントクラウドとは、特定のサービス名ではなく、 「全国の自治体が基幹システムを移行・利用するための、国が用意した共通クラウド基盤」 の総称です。
略して、ガバクラ。と言います。

最大の特徴は、単にサーバーをクラウドに移すだけでなく、システムの中身(アプリケーション)まで国が定めた「標準仕様」に統一する という点です。

項目 従来の自治体システム ガバクラによる新しいシステム
インフラ 自治体庁舎内のサーバー室(オンプレミス) AWSやAzureなど巨大クラウド上の専用領域
アプリ 自治体ごとに仕様が異なる「個別システム」 全国共通の「標準仕様」に統一されたシステム
イメージ 各家(自治体)が建てた個性的な古いサーバー小屋 国が用意した「統一デザインの賃貸マンション」のサーバー棟

一言で言うと...
内閣官房デジタル庁が主導し、地方自治体が基幹系システムを移行・利用するためのクラウド基盤であり、「自治体システム標準化のための共通インフラ」の総称

2. (背景)なぜ今、国はガバクラに本気なのか?

2-1. システムがバラバラで「データ連携地獄」

現在、日本の約1,700ある自治体のシステムは、それぞれ異なるベンダーが異なる仕様で開発しています。

例えば、引越しに関する申請。

引っ越し(転入・転出)の際、A市とB市のシステムが連携できないため、職員が手作業でデータを入力し直す必要があります。これはコスト高で非効率の極みです。
これが標準化されれば、APIを通じたスムーズなデータ連携が可能になり、職員の負担が減り、住民サービスも高速化します。

2-2. 高すぎる「維持コスト」と「2025年の崖」

古いサーバー(レガシーシステム)の保守・運用には、毎年莫大な費用がかかっています。
新しい技術への投資ができず、時代に取り残されていく状態、これがIT業界でいう 「2025年の崖」 の自治体版です。

これがガバクラによって、ハードウェアの管理コストはクラウドベンダーに任せられ、自治体は最新の技術を安価に利用できるようになります。

少子高齢化の日本において、労働力不足や、人口減少による消滅可能性自治体など
人手不足の問題が極めて重大です。そんな中、ITの力で労働力を補うしか無いと言う状況...

3. LGWAN、三層分離、自治体クラウド(キーワード)

ガバクラの理解を深める上で、LGWAN、自治体クラウド、三層分離の3つのキーワードは必ず押さえておく必要があります。

3-1. LGWAN(エルジーワン):専用の高速道路

LGWAN (総合行政ネットワーク) とは: 自治体間や国との間で、安全に情報交換をするための 「政府専用のインターネット回線」 です。インターネットとは切り離されています。

3-2. 自治体クラウド(旧)との違い:統一規格の有無

比較項目 自治体クラウド(狭義・従来型) ガバクラ
標準化 低い(共同でサーバーを買っただけ) 高い(システム中身まで統一)
主導者 複数の自治体グループ デジタル庁(国)
イメージ 近隣住民数人で共有した別荘 全国統一規格の大規模マンション

ガバクラは、従来の共同利用型のクラウドとは異なり、国が強いリーダーシップを発揮して「標準化」を強制している点が決定的に違います。

3-3. 三層分離からの卒業:古いセキュリティモデルの限界

  • 三層分離(旧モデル):マイナンバー制度開始後、セキュリティのためにネットワークを「インターネット」「LGWAN」「機密情報系」の3つに物理的・論理的に分離した仕組みです
  • 問題点:分離しすぎた結果、業務効率が極端に落ち、クラウドサービスの利用が困難になりました
  • ガバクラとゼロトラスト:ガバクラへの移行に伴い、セキュリティの考え方も刷新されます。「ゼロトラスト」アーキテクチャへの転換です
    • ゼロトラストとは:「ネットワークの内側も外側も信用しない」という前提に立ち、すべてのアクセスに対して、IDと権限で毎回厳格な認証を行う、クラウド時代に最適なセキュリティモデルです

従来の三層分離モデルからの脱却、ガバメントクラウドへ移行することによって、効率化を実現(標準化を実現)

4. 行政運営から見たメリットとデメリット(運営の効率化と住民サービス向上)

4-1. 行政運営上のメリット

  • 職員の業務効率向上 : 基幹業務システムが標準化され、操作やデータ形式が統一されるため、自治体を超えた人事異動や、異なる業務間での情報共有・連携が容易になる。職員はシステム運用ではなく、住民サービスの企画・改善に注力できる。

  • 迅速な法改正対応 : 国の制度変更や法改正があった際、全国一律でクラウド上の標準システムがアップデートされるため、各自治体でのシステム改修作業が不要になり、行政コストと対応スピードが劇的に改善する

  • 高品質な住民サービスの実現 : どの自治体でも標準化された質の高いシステムを安定して利用できるようになるため、行政サービスの格差是正につながり、住民の利便性が向上する。

  • 高度なセキュリティ・災害耐性 : 国の厳しい基準(ISMAP)をクリアした大規模なクラウド基盤を利用するため、個別の自治体では困難だった高度なセキュリティ対策と、災害時にもシステムを維持できる高い事業継続性が確保される。

4-2. 行政運営上のデメリットと課題

  • 独自ノウハウの喪失 : 各自治体が独自に築いてきたきめ細やかな業務フローやノウハウが、標準化により失われる可能性がある。

  • 標準化への適応負荷 : 移行期間中、従来の独自業務を国の定める標準仕様に合わせるための業務見直しや、職員への再教育(チェンジマネジメント)に大きな労力と時間がかかる。

  • クラウド依存リスク : 特定のグローバルクラウドベンダーに依存することになるため、ベンダーのサービス停止や料金体系の変更が、行政運営に直接影響を及ぼすリスクが生じる。


以上、ガバメントクラウドに関しては
調べればたくさんの記事があり、新規性皆無な記事になってしまいましたが

今まさに、日本の行政も労働力不足問題に備え、効率化をせざるを得ない状況下で
システムの根本的な解決を図るために考えられたのが、ガバメントクラウドということになります。

また、それにより、住民サービスの品質が向上し
官民双方へのメリットを実現できるということです。

本当のイノベーションはその先にあると思われますが
まだまだ将来の行政のDX化が楽しみになってきました✨

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