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NetSuite ワークブック超入門|“行と列でまとめる表”の作り方(ピボット)

Last updated at Posted at 2025-10-31

こんにちは、株式会社IT働楽研究所の都所です。
今日はハロウィンですね。🎃
幼い頃に救急車で運ばれた記憶があるので、実は少し苦手です🚑
ちなみに普段はサッカーと筋トレが趣味です。今日は「ジムにハルクのコスプレで行くか」なんて冗談を言ってみたものの…たぶんしません(そこまで筋肉と度胸がない😭)。
せっかくのハロウィンなので、NetSuiteに引っかけて一言
——Trick or Suite!——読んでくれなきゃいたずらしちゃうぞ!
…と言いつつ、本文はしっかり実務目線でまとめています。ぜひご覧ください。

🔶はじめに

本記事では NetSuite の 「ワークブック」、ピボット形式(= 行×列×計量で作るクロス集計表) を使って、顧客別の売上を素早く可視化→意思決定につなげる方法を解説します。

この記事でわかる・できること

  • ワークブック(ピボット形式)の基本操作が分かる
  • 表(ピボット形式)とグラフでデータを分かりやすく表示できる
  • 顧客ごとの売上金額をまとめて集計・比較できる

この記事の対象者

  • これから ワークブック(ピボット形式) を使ってみたい人
  • データを表やグラフで素早く可視化したい人
  • 顧客別の売上データをもとに、営業方針や施策を迅速に判断したい人
  • ERP(NetSuite)の分析機能を業務改善・意思決定に活かしたいと考えている人

🔶活用事例

「実際役立つの?」に答えるため、課題 → 解決 → 設定 → 効果の順で2例を紹介します。

事例1:顧客別売上の月次レポートを自動化

  • 課題:月次売上レポートをExcelで手作業集計(ヒューマンエラー/半日〜1日かかる)
  • 解決:ワークブック(ピボット)で 顧客 × 承認ステータス × 売上ランク をクロス集計
  • 設定
    • 行:エンティティ(顧客名)
    • 列:承認ステータス/売上ランク(計算式で作成)
    • 計量:合計金額/件数
    • ダッシュボードへ貼り付け、共有ロールを設定
  • 効果:作成時間 ▲80〜90%、数字の整合性向上、都度の抽出不要で会議前の準備が楽に

事例2:プロジェクト別の損益を可視化

  • 課題:PJごとの収益・コストを横断で把握できず、採算判断が遅れる
  • 解決トランザクション × プロジェクト の2データセットをリンクしてピボット化
  • 設定
    • 行:プロジェクト
    • 列:期間(会計月)/ステータス
    • 計量:売上(合計)、原価(合計)、粗利(計算式)
    • 閾値フィルタ:粗利率 < 10% をハイライト
  • 効果:赤字PJの早期検知、撤退や増員判断のリードタイム短縮、月次レビューの質向上

🔶ワークブックの概要

ワークブックは、NetSuiteのデータをクリック操作だけで集計・可視化できる分析ツールです。レポート作成を効率化し、複数データのクロス集計(ピボット)やグラフ表示を簡単に行えます。

特徴

  • ノーコード:ドラッグ&ドロップ中心で作成(プログラミング不要)
  • データ横断:複数のデータセットを組み合わせ可能(例:トランザクション × 顧客)
  • 多彩な表現:テーブル/ピボット/チャートで見やすく表示
参考:分析形式ごとの上限
  • テーブル:利用できるデータセットは1件
  • ピボット/チャート:最大2件のデータセットを組み合わせ可能

ワークブック構成のイメージ図

以下は、トランザクションデータと顧客データをリンクさせ、
ワークブックで「顧客ごとの売上金額」を分析する全体の流れです。

image.png

🔶作成方法

実際にワークブックを作成する手順を、画像つきで簡単にご紹介します。

1. 「分析」メニューを開く

上部ナビゲーションから 【分析】 をクリックします。
(ロールにより表示名が Analytics の場合があります)

image.png

「分析」メニューとは

「分析(Analytics)」は、 ワークブックデータセットを作成・管理するための入口!🚪
まずデータセットで項目・フィルタ・計算式を定義し、次にワークブックでテーブル/
ピボット/チャートとして配置・可視化します。


2. ワークブック前に「データセット」を作成する

ワークブックで使う元データ(売上・顧客など)を用意するため、まずデータセットを作成します。

データセットとは

特定のレコード(例:トランザクション、顧客)から 必要なフィールドだけを抽出したワークブック用の一覧表 。 ワークブックはこのデータセットを土台にして、集計(ピボット)やグラフ表示 を行います。

  1. 分析 画面を開く
  2. 右側のリストから データセット を選択 → 新規作成

image.png
【赤枠の説明】
:ワークブック/:データセット の一覧切替
検索
・ワークブック…テンプレート/作成済みの検索
・データセット…標準(System)/作成済みの検索
リスト
・ワークブック…テンプレート/作成物を一覧表示
・データセット…標準(System)/作成物を一覧表示
新規作成:ワークブック/データセットの新規ボタン

新規作成を押した直後の画面。上部の検索でレコードタイプを絞り込み、
一覧から選択して次へ進む。

image.png

【赤枠の説明】

  1. 一覧切替:左=ワークブック/右=データセット
  2. 検索:レコードタイプをキーワードで絞り込み
  3. 一覧:対象のレコードタイプを選択
  4. 新規作成:ワークブック/データセットの作成ボタン

3. 必要な設定を行い、データセットを保存

  1. レコードタイプ(例:トランザクション/顧客)を選択
  2. 必要なフィールドを追加
  3. 保存してデータセットを完成

image.png
【赤枠の説明】
名称:データセット名をクリックして編集
フィールド検索:利用可能フィールドを検索・選択
フィルタ領域:フィールドをドラッグして絞り込み条件を追加
プレビュー:選択済みフィールドのデータを一覧表示
計算式:計算式フィールドの新規作成(エディタ起動)
アクション:保存/共有/エクスポート/新規ワークブック作成

フィルタ設定(例:請求書のみ表示)
  1. ➁ の一覧で トランザクションタイプ を見つけ、➂ のフィルタ領域へドラッグ
  2. 表示されたダイアログで 「次のいずれか」 → 「請求書」 を選択し、適用

image.png


【適用後の表示例】
image.png


計算式フィールドの設定(例:売上ランクを分類)
  1. ➄ の 計算式新しい計算式 を選択
  2. 名前(例:売上ランク)を入力し、 を選択(文字列/数値/日付)
  3. 計算式を入力 → 検証保存

image.png
【赤枠の説明】
➀計算式名➁結果の型➂式入力欄(Oracle SQL風)
           /➃構文チェック➄参照パネル(フィールド&関数)


【保存後の表示例】
image.png

4. 作成したデータセットをワークブックに取り込む

ワークブック編集画面で、作成済みの データセット(例:トランザクション/顧客) を追加し、組み合わせて分析できるようにします。ここでは ピボット を例に説明します。

ピボットで「顧客別売上」を作るには顧客+トランザクションの2データセット
(最大2件)を用意し、ID(内部ID/エンティティID) でリンクします。

ワークブックで使える分析形式

image.png

  • テーブル:元データの一覧表示
  • ピボット:行・列・計量でクロス集計
  • チャート:ピボット結果などをグラフ表示

形式の使い分け(目安)

  • 顧客別売上の集計・比較ピボット
  • 期間推移や構成比の可視化チャート
  • 明細の一覧確認テーブル(※データセットは1件のみ)

ワークブック編集画面の見方

image.png

【赤枠の説明】
基本情報:ワークブック名/説明/ID を編集
分析形式タブ:テーブル/ピボット/チャートの切替
フィールド一覧:取り込んだデータセットのフィールドを参照
レイアウト行/列/計量 をドラッグ&ドロップで設定
結果表示:設定に基づく集計結果(ピボット/テーブル/チャート)

名前・説明・IDの編集

image.png

分析形式タブ(削除・名称変更・更新アイコン)

image.png

  • 三点リーダー(…)でタブの削除/名称変更が可能
  • データ更新が必要な場合は更新アイコンが表示
レイアウト(行/列/計量)のコツ
  • :横に並べたい分類(顧客名、月など)
  • :縦に並べたい分類(取引タイプ、承認ステータスなど)
  • 計量:数値の集計(合計金額、件数 など)

5. 分析に使うデータを整理・設定する

正確に集計するために (A) データセットのリンク(B) フィルタ を設定します。

A. データセットリンク(2つのデータセットを関連付け)

トランザクションと顧客を 結ぶ と、顧客名などの属性を横断利用できます。

注意:データセットリンクは 2つまで3つ以上を同時に結ぶことはできません。

リンクの手順(顧客×トランザクション)

1. 右パネルのデータセット名の ︙ → データセット・リンクの編集 を選択

image.png

2. 両側のフィールド一覧から、中央の 共通キー にドラッグして対応付け
3. 右上の データセットのリンク をクリックして保存

image.png
※上記画像は非推奨の例です

  • 推奨キートランザクション.エンティティ顧客.内部
  • 非推奨:顧客名・日付など重複し得る項目

データセットリンクを作る理由
ワークブックで顧客情報取引明細を一緒に集計するには、「どれとどれが同じ相手か」を教える ひも付け(=データリンク) が必要です。リンクがないとデータは別々に扱われ、行・列・計量に混在させた集計ができなかったり、誤集計の原因になります。


B. フィルタ(絞り込み/Top N)

対象を絞って見たい場合は 計量フィールドの︙ から設定します。

手順と例(請求書限定・Top10・閾値)

① 請求書だけに絞る(データセット側)

  • フィールド一覧から トランザクションタイプフィルタ領域 へドラッグ
  • ダイアログで 「次のいずれか」→「請求書」 を選び 適用
    スクリーンショット 2025-10-29 154616.png

② 上位/下位(ランキング抽出)

  • ピボットの 計量(例:合計金額)︙ → 上位/下位
  • 上位/件数=10/対象=合計金額 を指定
    スクリーンショット 2025-10-29 143310.png

③ 超過/未満(閾値指定)

  • ︙ → 超過/未満
  • 対象=合計金額/条件=以上/数値=100000(例)
    スクリーンショット 2025-10-29 143330.png

効率化のコツ:フィルタは 日付→タイプ→金額 の順に絞ると処理が軽くなります。


6. 分析結果の表示と完成イメージ

下図は、行=エンティティ(顧客名)/列=承認ステータス+売上ランク
/計量=合計金額・件数
で請求書を集計した ピボット の例です。
image.png
レイアウト設定(再掲)

  • :顧客名(エンティティ)
  • :承認ステータス、売上ランク(CASE式の分類)
  • 計量:請求書の 合計金額件数(Count)

使用データセット

  • 顧客トランザクション(リンクは 内部ID ⇄ エンティティID

この構成で 「どの顧客が、どのランクで、いくつ・いくら」
一目で把握できます。

発展:すぐに可視化/共有するには
  • チャートを追加:ピボットを元に縦棒/積み上げ棒で主要顧客を可視化
  • Top N フィルタ:上位10社などに絞ってノイズを削減
  • ダッシュボード配置:共有ロールに公開して継続モニタリング

🔶結論

ワークブック(ピボット) を使えば、
顧客別の売上集計やグラフ可視化を ノーコードで短時間に実現できます。
集計作業に費やしていた時間を削減し、「数字で意思決定」 に集中できるようになります。

まだ使ったことがない方も、まずは小さなピボット1枚から試してみてください!

🔶参考資料

ワークブック: データセットと視覚化

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