こんにちは、株式会社IT働楽研究所の都所です。
今日はハロウィンですね。🎃
幼い頃に救急車で運ばれた記憶があるので、実は少し苦手です🚑
ちなみに普段はサッカーと筋トレが趣味です。今日は「ジムにハルクのコスプレで行くか」なんて冗談を言ってみたものの…たぶんしません(そこまで筋肉と度胸がない😭)。
せっかくのハロウィンなので、NetSuiteに引っかけて一言
——Trick or Suite!——読んでくれなきゃいたずらしちゃうぞ!
…と言いつつ、本文はしっかり実務目線でまとめています。ぜひご覧ください。
🔶はじめに
本記事では NetSuite の 「ワークブック」、ピボット形式(= 行×列×計量で作るクロス集計表) を使って、顧客別の売上を素早く可視化→意思決定につなげる方法を解説します。
この記事でわかる・できること
- ワークブック(ピボット形式)の基本操作が分かる
- 表(ピボット形式)とグラフでデータを分かりやすく表示できる
- 顧客ごとの売上金額をまとめて集計・比較できる
この記事の対象者
- これから ワークブック(ピボット形式) を使ってみたい人
- データを表やグラフで素早く可視化したい人
- 顧客別の売上データをもとに、営業方針や施策を迅速に判断したい人
- ERP(NetSuite)の分析機能を業務改善・意思決定に活かしたいと考えている人
🔶活用事例
「実際役立つの?」に答えるため、課題 → 解決 → 設定 → 効果の順で2例を紹介します。
事例1:顧客別売上の月次レポートを自動化
- 課題:月次売上レポートをExcelで手作業集計(ヒューマンエラー/半日〜1日かかる)
- 解決:ワークブック(ピボット)で 顧客 × 承認ステータス × 売上ランク をクロス集計
-
設定
- 行:エンティティ(顧客名)
- 列:承認ステータス/売上ランク(計算式で作成)
- 計量:合計金額/件数
- ダッシュボードへ貼り付け、共有ロールを設定
- 効果:作成時間 ▲80〜90%、数字の整合性向上、都度の抽出不要で会議前の準備が楽に
事例2:プロジェクト別の損益を可視化
- 課題:PJごとの収益・コストを横断で把握できず、採算判断が遅れる
- 解決:トランザクション × プロジェクト の2データセットをリンクしてピボット化
-
設定
- 行:プロジェクト
- 列:期間(会計月)/ステータス
- 計量:売上(合計)、原価(合計)、粗利(計算式)
- 閾値フィルタ:粗利率 < 10% をハイライト
- 効果:赤字PJの早期検知、撤退や増員判断のリードタイム短縮、月次レビューの質向上
🔶ワークブックの概要
ワークブックは、NetSuiteのデータをクリック操作だけで集計・可視化できる分析ツールです。レポート作成を効率化し、複数データのクロス集計(ピボット)やグラフ表示を簡単に行えます。
特徴
- ノーコード:ドラッグ&ドロップ中心で作成(プログラミング不要)
- データ横断:複数のデータセットを組み合わせ可能(例:トランザクション × 顧客)
- 多彩な表現:テーブル/ピボット/チャートで見やすく表示
参考:分析形式ごとの上限
- テーブル:利用できるデータセットは1件
- ピボット/チャート:最大2件のデータセットを組み合わせ可能
ワークブック構成のイメージ図
以下は、トランザクションデータと顧客データをリンクさせ、
ワークブックで「顧客ごとの売上金額」を分析する全体の流れです。
🔶作成方法
実際にワークブックを作成する手順を、画像つきで簡単にご紹介します。
1. 「分析」メニューを開く
上部ナビゲーションから 【分析】 をクリックします。
(ロールにより表示名が Analytics の場合があります)
「分析」メニューとは
「分析(Analytics)」は、 ワークブック と データセットを作成・管理するための入口!🚪
まずデータセットで項目・フィルタ・計算式を定義し、次にワークブックでテーブル/
ピボット/チャートとして配置・可視化します。
2. ワークブック前に「データセット」を作成する
ワークブックで使う元データ(売上・顧客など)を用意するため、まずデータセットを作成します。
データセットとは
特定のレコード(例:トランザクション、顧客)から 必要なフィールドだけを抽出したワークブック用の一覧表 。 ワークブックはこのデータセットを土台にして、集計(ピボット)やグラフ表示 を行います。
- 分析 画面を開く
- 右側のリストから データセット を選択 → 新規作成

【赤枠の説明】
➀左:ワークブック/右:データセット の一覧切替
➁検索:
・ワークブック…テンプレート/作成済みの検索
・データセット…標準(System)/作成済みの検索
➂リスト:
・ワークブック…テンプレート/作成物を一覧表示
・データセット…標準(System)/作成物を一覧表示
➃新規作成:ワークブック/データセットの新規ボタン
新規作成を押した直後の画面。上部の検索でレコードタイプを絞り込み、
一覧から選択して次へ進む。
【赤枠の説明】
- 一覧切替:左=ワークブック/右=データセット
- 検索:レコードタイプをキーワードで絞り込み
- 一覧:対象のレコードタイプを選択
- 新規作成:ワークブック/データセットの作成ボタン
3. 必要な設定を行い、データセットを保存
- レコードタイプ(例:トランザクション/顧客)を選択
- 必要なフィールドを追加
- 保存してデータセットを完成

【赤枠の説明】
➀名称:データセット名をクリックして編集
➁フィールド検索:利用可能フィールドを検索・選択
➂フィルタ領域:フィールドをドラッグして絞り込み条件を追加
➃プレビュー:選択済みフィールドのデータを一覧表示
➄計算式:計算式フィールドの新規作成(エディタ起動)
➅アクション:保存/共有/エクスポート/新規ワークブック作成
フィルタ設定(例:請求書のみ表示)
- ➁ の一覧で トランザクションタイプ を見つけ、➂ のフィルタ領域へドラッグ
- 表示されたダイアログで 「次のいずれか」 → 「請求書」 を選択し、適用
計算式フィールドの設定(例:売上ランクを分類)
- ➄ の 計算式 → 新しい計算式 を選択
- 名前(例:売上ランク)を入力し、型 を選択(文字列/数値/日付)
- 計算式を入力 → 検証 → 保存。

【赤枠の説明】
➀計算式名/➁結果の型/➂式入力欄(Oracle SQL風)
/➃構文チェック/➄参照パネル(フィールド&関数)
4. 作成したデータセットをワークブックに取り込む
ワークブック編集画面で、作成済みの データセット(例:トランザクション/顧客) を追加し、組み合わせて分析できるようにします。ここでは ピボット を例に説明します。
ピボットで「顧客別売上」を作るには顧客+トランザクションの2データセット
(最大2件)を用意し、ID(内部ID/エンティティID) でリンクします。
ワークブックで使える分析形式
- テーブル:元データの一覧表示
- ピボット:行・列・計量でクロス集計
- チャート:ピボット結果などをグラフ表示
形式の使い分け(目安)
- 顧客別売上の集計・比較 → ピボット
- 期間推移や構成比の可視化 → チャート
- 明細の一覧確認 → テーブル(※データセットは1件のみ)
ワークブック編集画面の見方
【赤枠の説明】
➀基本情報:ワークブック名/説明/ID を編集
➁分析形式タブ:テーブル/ピボット/チャートの切替
➂フィールド一覧:取り込んだデータセットのフィールドを参照
➃レイアウト:行/列/計量 をドラッグ&ドロップで設定
➄結果表示:設定に基づく集計結果(ピボット/テーブル/チャート)
レイアウト(行/列/計量)のコツ
- 行:横に並べたい分類(顧客名、月など)
- 列:縦に並べたい分類(取引タイプ、承認ステータスなど)
- 計量:数値の集計(合計金額、件数 など)
5. 分析に使うデータを整理・設定する
正確に集計するために (A) データセットのリンク と (B) フィルタ を設定します。
A. データセットリンク(2つのデータセットを関連付け)
トランザクションと顧客を 結ぶ と、顧客名などの属性を横断利用できます。
注意:データセットリンクは 2つまで。3つ以上を同時に結ぶことはできません。
リンクの手順(顧客×トランザクション)
1. 右パネルのデータセット名の ︙ → データセット・リンクの編集 を選択
2. 両側のフィールド一覧から、中央の 共通キー にドラッグして対応付け
3. 右上の データセットのリンク をクリックして保存
-
推奨キー:
トランザクション.エンティティ⇄顧客.内部 - 非推奨:顧客名・日付など重複し得る項目
データセットリンクを作る理由
ワークブックで顧客情報と取引明細を一緒に集計するには、「どれとどれが同じ相手か」を教える ひも付け(=データリンク) が必要です。リンクがないとデータは別々に扱われ、行・列・計量に混在させた集計ができなかったり、誤集計の原因になります。
B. フィルタ(絞り込み/Top N)
対象を絞って見たい場合は 計量フィールドの︙ から設定します。
手順と例(請求書限定・Top10・閾値)
① 請求書だけに絞る(データセット側)
② 上位/下位(ランキング抽出)
③ 超過/未満(閾値指定)
効率化のコツ:フィルタは 日付→タイプ→金額 の順に絞ると処理が軽くなります。
6. 分析結果の表示と完成イメージ
下図は、行=エンティティ(顧客名)/列=承認ステータス+売上ランク
/計量=合計金額・件数 で請求書を集計した ピボット の例です。

レイアウト設定(再掲)
- 行:顧客名(エンティティ)
- 列:承認ステータス、売上ランク(CASE式の分類)
- 計量:請求書の 合計金額、件数(Count)
使用データセット
- 顧客 + トランザクション(リンクは 内部ID ⇄ エンティティID)
この構成で 「どの顧客が、どのランクで、いくつ・いくら」 を
一目で把握できます。
発展:すぐに可視化/共有するには
- チャートを追加:ピボットを元に縦棒/積み上げ棒で主要顧客を可視化
- Top N フィルタ:上位10社などに絞ってノイズを削減
- ダッシュボード配置:共有ロールに公開して継続モニタリング
🔶結論
ワークブック(ピボット) を使えば、
顧客別の売上集計やグラフ可視化を ノーコードで短時間に実現できます。
集計作業に費やしていた時間を削減し、「数字で意思決定」 に集中できるようになります。
まだ使ったことがない方も、まずは小さなピボット1枚から試してみてください!
🔶参考資料














