人手不足倒産が上半期で過去最多|業務の属人化を今日から点検する7つの確認点
本記事は、株式会社DnD(https://dnd-inc.jp)のコラムを一部編集して掲載しています。
初出: https://dnd-inc.jp/blog/labor-shortage-automation-readiness.html
2026年7月8日、帝国データバンクが「2026年上半期 倒産集計」を公表しました。倒産件数は5,335件(2年連続の5,000件超え)、そのうち人手不足を直接の原因とする「人手不足倒産」は227件と、前年同期(202件)から12.4%増加し、上半期として過去最多を更新しました。同年9月15日に公表された日本商工会議所の調査(2,654社)でも、中小企業の60.0%が人手不足と回答し、そのうち48.2%が「事業運営に影響・支障をきたす深刻な状況」であると示されています。「採用できないから倒産した」だけでなく、「辞めた1人の業務が引き継げずに止まった」ケースも少なくありません。本稿は、この状況から読み取れる教訓と、中小企業が今日から確認できる業務属人化の点検方法を整理します。
この記事の要点
- 2026年上半期の人手不足倒産が過去最多(227件)。倒産件数全体も2年連続5,000件超えで、背景には採用難だけでなく退職に伴う業務の空白がある。
- 人手不足への根本対策は「採用強化」だけでは不十分。「その人しかやり方を知らない業務」が残る限り、次の退職・病欠のたびに同じリスクが再現される。
- 7つの確認点で業務の属人化を点検し、「担当者が替わっても止まらない仕組み」への移行を段階的に進める方法を解説する。
公式データから読み取れる3つのポイント
帝国データバンクと日本商工会議所の発表を公式発表の範囲で整理すると、中小企業の経営に直結する論点が見えてきます。
ポイント1:「人手不足倒産」は採用難だけが原因ではない
帝国データバンクは、人手不足倒産を「求人難型」(採用できずに事業継続が困難になる)と「従業員退職型」(退職が相次ぎ業務が立ち行かなくなる)に分類して集計しています。2026年上半期の227件は、この両方が含まれています。
**退職型の問題は、採用活動では解決できません。**その人しかやり方を知らない業務がある限り、1人の退職が直接的な業務の空白を生みます。採用してもその仕事を教えられる人が残っていなければ、立て直しに時間がかかります。
ポイント2:倒産のリスクは少人数の会社ほど大きい
人手不足倒産の大部分は、従業員規模の小さい企業に集中しています。少人数で回している組織では、1人あたりが担当する業務の幅が広く、「複数の重要業務を1人が兼任している」状態になりがちです。担当者が退職したり、長期休養が必要になったりした場合の影響が、大企業に比べてそのまま経営に波及します。
ポイント3:中小企業の6割が人手不足と感じながら、対策が「採用強化」に偏りやすい
日商調査では、人手不足と回答した企業の多くが「採用の強化」を対策の中心に置いています。しかし採用市場は競争が激化しており、中小企業にとって採用コストと採用難易度は上昇傾向にあります。採用だけでなく、「今いる人数でこなせる業務量を増やす」視点——つまり業務の自動化・システム化——が対策の柱として位置づけられていないと、人手不足の解消は長期化します。
自社で確認できる7つの確認点
業務の属人化は、現場にいると見えにくくなります。次の7項目を経営者・担当者が改めて確認することで、リスクの所在を把握できます。
**1〜3のどれか1つでも「はい」であれば、その業務は引き継ぎのリスクを抱えています。**全部「はい」の場合は、現在の体制が機能している間に整備を始めることが重要です。
「担当不在でも止まらない仕組み」にどう変えるか
すべてを一度に変える必要はありません。優先度と実行しやすさに応じて、次の3つのステップで段階的に進められます。
ステップ1:業務フローの可視化と標準化
まず「何をどの順番で、どう判断しながらやるか」を文書に落とします。完璧な手順書でなくても、箇条書きで「誰が・何を・いつ・どうやって」の4点を書けば、初めての人が手を動かせる状態になります。
注意点は、作成した後に実際に別の人がやってみて確認することです。「書いた人にしか分からない」手順書は、引き継ぎの場面では機能しません。
ステップ2:繰り返し業務を自動化する
毎週・毎月の定型作業——受注データの転記、集計レポートの作成、締め日の通知送信、入金確認のリスト更新——は、自動化の対象として優先度が高いものです。これらは業務の中でも「手順が決まっている・繰り返し発生する・間違えやすい」という特徴があり、システムや自動化ツールで代替しやすい類型です。
自動化によって担当者の作業時間が減るだけでなく、「その人しか回せなかった業務」の状態が解消されます。仕組みが業務を動かすようになるためです。
ステップ3:システム化で作業記録を自動的に残す
受発注・顧客情報・在庫・進捗などをシステムで管理すると、作業をするだけで記録が蓄積されます。「誰が・いつ・何をしたか」の履歴が残ることで、引き継ぎの際に「前はどうやっていたか」を探す手間がなくなります。
また、Excelの個人管理から抜け出すことで、「データを持っている人が休むと確認できない」という状況もなくなります。
スモールスタートで進める
最初から全業務のシステム化を目指す必要はありません。次の順序で進めると、現場への負担を抑えながら実績を積めます。
- 属人化が最も深刻な業務を1つ選ぶ:確認点1〜3で「はい」がついたものの中から、退職リスクが最も高い担当者の業務を優先します。
- フローを文書化して別の人がやってみる:文書化と試行を1セットで。「やってみると分かる」問題点を、最初の段階で拾います。
- 繰り返し部分だけ自動化する:フロー全体ではなく、その業務の中の「毎回同じことをやっている部分」を自動化対象に絞ります。
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3ヶ月後に次の業務へ広げる:1つで成功体験が得られたら、次の優先業務に同じ手順を適用します。
自社の業務属人化、どこから手をつけるか相談してみませんか。
ご相談・お見積りは無料です。「どの業務から整理すれば良いか分からない」という段階からお受けしています。
よくある質問
業務を自動化するには、まず何から始めればよいですか?
まず「1人しかやり方を知らない業務」を書き出すことから始めます。すべてを一度に変える必要はなく、最も頻度が高く、かつ手順がある程度決まっている繰り返し作業を1つ選び、そこから仕組み化・自動化を進めるのが現実的です。
業務システムを導入すれば、すぐに人手不足は解消されますか?
即座の解消は難しいですが、「1人でやっていた仕事を複数人が引き継げる状態」「繰り返し作業の時間を減らして別の仕事に充てられる状態」を作ることができます。採用と並行して業務の仕組み化を進めることで、現在の人数でこなせる業務量を広げることにつながります。
小規模な会社でもシステム化は現実的ですか?
はい。むしろ少人数の会社ほど、1人の退職や病欠が業務に直結するため、仕組み化の効果が大きい傾向があります。最初から大きなシステムを作る必要はなく、1つの業務フローから小さく始め、実績を見ながら広げていく進め方をおすすめしています。
他社が作ったシステムの属人化した運用も見直せますか?
はい。既存のシステムの使われ方や業務フローを確認し、どこで属人化が起きているかを洗い出したうえで、改善策をご提案します。システムを全面的に作り直すのではなく、運用の見直しや部分的な自動化から始めるケースも多くあります。
この記事は株式会社DnD(業務効率化・DXパートナー)が運営するコラムの転載です。
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