はじめに
離散製造の加工ライン制御システム構成例を脳内整理した備忘録です。
改訂履歴
- 2026/10/10 : 初版公開。
本文
1. 想定する仕様
本記事では、複数の加工装置と検査装置を連結した、自動加工ラインを想定します。
- ワークは搬送システムによってラインに投入される。
- ワークの品種によってワークフローや加工・検査のレシピが異なる。
- 標準のワークフローでは、ワークは加工装置で加工された後、検査装置で品質検査を受ける。
- 各工程の結果に応じて次工程やリトライ、排出口への搬送、倉庫での待機を行う。
- 最終工程が完了した良品のワークはライン外に払出される。
- ワークの情報や各工程の結果は、トレサビ(トレーサビリティ)情報として MES システムに送信される。
加工装置や検査装置は、それぞれ独立した PLC を持ち、設備単体の動作制御やインターロックは PLC 側で実施するものとします。一方、設備間の工程進行管理や加工・検査の指示、結果の収集などは、上位 PC 側で実施します。
2. システム構成図
業種や対象物によって柔軟に変わりますが、自分の観測範囲ではこういう感じの型になることが多いのかなと思います。ざっくりと規模感は 15 ~ 25 人月ってところでしょうか(もちろん要件次第ですけどね)。搬送システムはマテハンメーカーが入っていることが多かったです。
2-1. ライン制御 PC
ライン制御 PC は、加工ライン全体の動作を統括する PC です。PLC が個々の加工装置や検査装置のリアルタイム制御を担当するのに対し、ライン制御 PC は設備間の連携や工程の進行管理を担当します。例えば、以下のような処理が考えられます。
- ワークの投入から払出までの工程管理
- 加工装置や検査装置、搬送システムから上がってくる情報要求への応答
- 加工・検査結果の保存と次工程への進行判定
- 搬送システムへのワークの出庫指示
- ライン状態の管理や各設備の運転状態監視
またライン制御 PC には、PLC との通信を担当する OPC サーバーを配置しています。OPC は、異なるメーカーや製品間でデータをやり取りするための標準技術です。正直この規模感ではまだ無くても成立しますが、接続する設備の台数が数十台規模になってくると、それぞれに合わせた通信プロトコルの実装や管理が大変になってくるので、便利です。
2-2. ライン管理 PC
ライン管理 PC は、オペレーターがラインの状態を確認し、必要な設定や操作を行うためのインターフェースを提供します。今回は Web アプリを想定しています(現場の Wi-Fi に PC を接続すれば誰でもアクセスできるので運用面では便利です)が、キオスク端末であればデスクトップアプリで作ったりもします。機能としては、以下のようなものがあります。
- ラインや設備の運転状態表示、生産数などのあんどん表示
- ワークフローや加工・検査レシピの設定
- ロットやワーク、トレサビ情報の確認
- 履歴やログの検索
- オペレーターや管理者の権限管理
2-3. MES 連携 PC
MES (Manufacturing Execution System) とは、生産指示や製造実績、品質情報などを管理し、製造現場の実行状況を把握するために利用されるシステムです。MES 連携 PC は、工場全体を統括する MES とライン制御システムの間でデータを受け渡す役割を担います。送受信の具体的な方法には、共有フォルダに直接ファイルを配置する古き良きスタイルから、Web API を叩く、クラウドにアップロードするなどがありますね。
おわりに
ふたを開けてみれば、大して難しいことはやっていないんです。