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どのトリガーを使うべきか?—Difyワークフロー入門ガイド

Last updated at Posted at 2025-12-04

著者:Peter Han(テクニカルライター)& Sherry(デジタルマーケティング)
Difyのトリガーは、スケジュール実行やイベント駆動の自動化、プラグインとの連携を一つに統合し、ワークフローを受動的な応答から完全自動化かつ拡張可能な知的プロセスへと進化させます。

トリガーとは何か?

トリガー」(Trigger)という言葉は、もともと計算機科学由来ではありません。

その起源は物理的な「引く」という動作にあり、オランダ語の「trekker」(“引く者”の意)にまで遡ります。17世紀頃には英語の「trigger」となり、銃の引き金を指すようになりました。一見小さな部品である引き金が、大きな連鎖反応を生み出します。この構造が、やがてデジタル世界の「開始の合図」という概念へとつながっています。

つまり、トリガーの本質は「原因と結果の間にある自動化された入口点」であると言えます。Difyプラットフォームはこの本質をとらえ、トリガーをAIアプリケーションの真価を引き出すための中核的な自動化機構として提供しています。

手動実行から知的自動化へ

AIネイティブなアプリケーションや高度なワークフローを構築するうえで、最終目標は「リアルタイムの応答性」と「自律的な実行」の実現です。

これまでDifyのアプリは主に次の2つのリクエスト・レスポンスモデルで動いていました。

  • Webアプリでの手動入力
  • バックエンドシステムからAPI経由のプログラム呼び出し

しかし、定期タスクや外部イベントの検知が必要な場合、開発者が自前でスケジューラーや専用サービスを構築しなければならず、システムアーキテクチャが煩雑化し、継続的な運用コストも増大するという課題がありました。

トリガーノードの導入によって、Difyはこの負担から開発者を解放します。

ワークフローの起点として機能するトリガーは、あらかじめ設定したルールに基づき自動的にワークフローを開始し、AIアプリケーションを受動的な実行から自律的なAI活用へと進化させます。

本ガイドでは、Difyで利用できる3種類のトリガーをご紹介し、最適な「レバー」選びをお手伝いします。

Cronからイベントへ:Difyが統合する2つの自動化パラダイム

Difyのトリガーは、コンピュータ自動化の二つの基本パラダイムを統合しています。

1. スケジュール自動化

UnixのCronに代表され、「いつ実行すべきか?」を制御します。
主なメリットは次のとおりです:

  • 予測可能性
  • 運用効率の向上

メンテナンスやレポートの作成、定期タスクの確実なスケジュール実行が強みです。DifyのSchedule トリガーはこれらの特長を受け継いでいます。

2. イベント駆動型アーキテクチャ(EDA)

ウェブフックシステムに代表され、「イベント発生時に何が起きるべきか?」を制御します。
主なメリットは次のとおりです:

  • リアルタイムな応答性
  • 外部信号に基づく自動化

Difyのプラグイントリガーとウェブフックトリガーは、このパラダイムをワークフローに適用します。

このように、スケジュール型とイベント駆動型という二つのパラダイムを具現化した三つのトリガーにより、幅広い自動化ニーズに対応できる基盤が整います。

Difyワークフローにおける3つのトリガータイプ

トリガータイプ トリガーの仕組み 主な目的
スケジュールトリガー(Schedule Trigger) 事前設定した時間や間隔に基づいて作動 定期的・予測可能なタスクの実行
プラグイントリガー(Plugin Trigger) 統合されたプラグインからの特定イベントを検知 SlackやGitHubなど主要なサードパーティアプリとの連携
ウェブフックトリガー(Webhook Trigger) 外部システムからのHTTPリクエストを受信 ウェブフック対応の任意のシステムとの柔軟な連携

これらは統一設計のモデルで構築されており、すべての自動化シナリオで一貫した構築、デバッグ、スケーリングが可能です。

これらのトリガーを理解する際には、「いつ起動するか(時間基準)」と「どんなイベントで起動するか(イベント基準)」という二つの観点から検討できます。

スケジュールトリガー — 時間通りにワークフローを実行する

スケジュールトリガーは最も基本的な自動化手段で、あらかじめ定められたスケジュールに沿ってタスクを自動実行したい場合に適しています。

適用例

  • 日々の業界ニュース配信やKPIの共有、チーム向けダイジェストの作成
  • 週次のクリーンアップ作業やデータ同期、ログチェック
  • 月次での照合、監査ワークフロー、データアーカイブ
  • キャッシュの更新や状態監視などの定期的なバックグラウンドジョブ

予測可能かつ繰り返し発生するタスクには、スケジュールトリガーが最適です。

使い方

Difyのワークフローキャンバス上で:

  1. 開始ノードを選択
  2. スケジュールトリガーに切り替え
  3. 視覚的インターフェースを用いて実行時刻を設定

schedule_trigger.png

UnixのCron形式による詳細なスケジュールコントロールも可能です。
schedule2.png

ベストプラクティス:日刊業界情報ダイジェスト

多くのチームが日々の業界情報収集・整理に多くの時間を割いていますが、手動だと非効率かつ信頼性にも課題があります。スケジュールトリガーを活用すれば、こうした作業を完全に自動化し、決まった時刻に情報を届けられます。

  • ゴール:AIで毎日の業界レポートを自動生成し、チームへ配信

  • 設定:平日午前9時に定期実行

  • ワークフロー例
    12.jpg
    Dify DSL: Daily News for Slack Channel.yml

  • 価値:重要な情報を確実にキャッチしながら、毎日数時間かかる情報収集・整理作業を自動化できます。
    13.jpg

イベント駆動型自動化:プラグイントリガーとウェブフックトリガー

状態変化をきっかけとして作動するイベント駆動型自動化によって、外部システムの変化に即座に反応するワークフローを構築できます。外部イベントの取り込み方法に応じて、次の2つの選択肢があります。

プラグイントリガー — 最も簡単な連携方法

14.jpg

連携先(GitHub、Slack、Outlook、Zendesk、各種カレンダーサービス等)がDifyプラグインマーケットプレイスで対応している場合は、プラグイントリガーの利用がおすすめです。

プラグイントリガーは以下の機能を担います:

  • イベントの検知と処理
  • 認証の自動処理
  • データ構造のハンドリング
  • よくあるイベント種別(例:GitHubのプルリクエスト、Slackでのメンション、メール受信)への対応

クリック操作のみでワークフローへのイベント流入が可能。コーディングは不要です。

ベストプラクティス:Slack内のテックニュースアシスタント

情報量が多いチームでは、誰かがニュースを検索して文脈を集めて共有するまでに時間がかかりがちです。プラグイントリガーを使えば、Slack上でメンションするだけで即時にAIが反応し、インタラクティブに情報を取得できます。

  • ゴール:Slack内でテックニュースアシスタントを構築

  • トリガー:チャネルでアシスタントにメンションされた時

  • ワークフロー例
    15.jpg
    Dify DSL 案例: Slack Trigger - 新聞リサーチAI.yml

  • 価値:日常コミュニケーションの中で自然に最新情報を取得し、作業の流れを妨げません。
    16.jpg

ウェブフックトリガー — 「このURLにアクセスして何かが起きたら通知する」

こんな場合に最適です:

  • 対応プラグイントリガーが存在しない
  • カスタムイベントを自由に管理したい

ウェブフックトリガーは極めて柔軟かつ汎用性の高い選択肢です。

主な特徴

  • 汎用性
    HTTP POSTリクエストを送信できる任意のシステムからDifyをトリガー可能
  • 高度なカスタマイズ性
    ペイロード形式・署名モデル・認証方式が柔軟に設計できる
  • さまざまなアーキテクチャに対応
    企業向けバックエンドからエッジスクリプト(サーバー外で動作するプログラム)、ニッチなSaaSツール、オートメーションプラットフォーム、Raspberry Piなどの小型端末まで、HTTP通信ができれば利用可能

使い方

Difyはウェブフック用のURLを自動生成します。
17.png

  • リクエスト用の入力スキーマ
    18.png
  • ウェブフックが返す出力スキーマ
    19.png
    も自由に定義できます。

まとめ:トリガーの選び方

最適なトリガー選択こそ、効率的な自動ワークフロー構築の鍵です。

ニーズ 推奨トリガー メリット
定期的・時間基準の実行 スケジュールトリガー Cronの機能を活かし、確実な定時実行を保証
人気アプリのイベントへのリアルタイム対応 プラグイントリガー 設定が簡単でウェブフックの複雑な実装を気にせず連携可能
カスタムや特殊システムのイベントへの対応 ウェブフックトリガー 汎用HTTPインタフェースであらゆるシステムを手軽に統合可能

🔒 セキュリティの重要なヒント

ウェブフックトリガーを利用する際は、必ずCodeノードなどでHMAC署名検証を実装し、外部からの不正リクエストを防ぐことを強くおすすめします。

完全自動化されたイベント駆動型AIワークフローの時代へ

トリガーの導入により、Difyは自律的かつイベント駆動型のAIアプリケーション新時代を切り拓いています。

あなたのワークフローが

  • スケジュール実行を必要とする場合
  • 外部システムとリアルタイム連携を行いたい場合
  • カスタムイベントを柔軟に取り込みたい場合

いずれのケースでも、トリガーは自動化の"きっかけ"として機能します。

この強力なトリガーを自身のワークフローに取り入れ、AIアプリケーションを「待つ」システムから「自ら動き出す」自律的な存在へと進化させましょう。

Difyについて

DifyはAIネイティブなアプリケーション開発を支援するオープンソースプラットフォームです。アプリケーションの作成から運用・管理までを簡単かつ一元的に行えます。拡張性に優れたプラグインエコシステムにより、開発者や企業はAI機能の統合やワークフローのカスタマイズも容易です。AI導入の障壁を低減し、ユーザーがより効率的かつ柔軟にインテリジェントアプリケーションを構築できる環境を提供しています。

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