本記事について
リアルタイムOSを市販のマイコン評価ボードに移植する手順を、
ステップバイステップでポイント毎に動作を確認しながら説明します。
移植するリアルタイムOSはTOPPERS/ASP3です。
下記構成で複数回に分けての投稿を予定しています。
第0回 本記事の趣旨、TOPPERS/ASP3と評価ボードの説明
第1回 準備 ハードウェアの入手、ツールのインストールなど
第2回 とりあえず動くものを移植
第3回 細部の作り込み1 クロックの設定
第4回 細部の作り込み2 UARTドライバ
第5回 細部の作り込み3 タイマドライバ (ティックレス対応)
NXP社のFRDM-MCXN947という評価ボード向けの移植について説明しますが、
他のArm Cortex-Mを実装したボード向けにも応用できます。
TOPPERS/ASP3とは
TOPPERSプロジェクトでμITRON4.0仕様のスタンダードプロファイル準拠の
リアルタイムカーネルを拡張・改良する形で開発したものです。
ASP3の3は第3世代を表しています。
シングルコアで動作します。
(マルチコア向けにはTOPPERS/FMP3という別のリアルタイムカーネルがあります。)
TOPPERSプロジェクトのソースコードを含む、
- 開発成果物
- 対応しているターゲットシステム
- 仕様
などの情報はこちら(TOPPERS/ASP3カーネル )からご覧いただけます。
評価ボードFRDM-MCXN947
NXP社から販売されているMCX N947が実装されたボードです。
MCX N94/N54 MCU用FRDM開発ボード
MCX N947は次の機能をもつMCUです。
※ここでは、リアルタイムOSを扱うにあたって必要な機能に絞っています。
詳細はNXP社のWebページを参照してください。
CPU | Arm Cortex-M33 (2コア) |
ROM | 2MB |
RAM | 512KB |
UART | 最大10チャネル |
このボードは、リアルタイムOSを実機で動かしてみるには手頃だと思っています。
その理由を挙げます。
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オンボードデバッガで実装されている。(別途購入する必要がない)
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価格が安く(約¥3,000~5,000・筆者調べ)、入手性がよい。
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開発ツールが無料でダウンロードできる。
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リアルタイムOS実装にあたってのMCU(MCXN947)の機能やレジスタについて説明した資料が入手できる。
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2つのCortex-M33コア、イーサネットが実装されているので、OSの移植した後にもいろいろと楽しめる。
以上で第0回は終了です。第1回(リンク)へ続きます。