本記事は 2026年7月に最新環境で全手順を実機検証しています。
項目 検証時バージョン DataRobot CLI ( dr)v0.2.76(ローカル)/ v0.2.78(Codespace) OpenCode プラグイン 0.1.5 検証環境 macOS(ローカル)+ DataRobot Codespaces(app.datarobot.com)
はじめに
OSS のコーディングエージェント OpenCode が、DataRobot CLI(dr コマンド)から直接使えるようになりました。
Claude Code や Codex CLI は「そのベンダーのモデル」を使うのが基本ですが、DataRobot OpenCode の最大の特徴はここです👇
自分のアカウントでアクセスできる LLM Gateway 上のすべてのモデル(GPT-5系 / Claude / Gemini / Llama など60以上)を、タスクごとに切り替えながら使える
しかも:
- ✅ セットアップはコマンド3つだけ
- ✅ APIキーの個別管理が不要(DataRobot の認証をそのまま利用)
- ✅ DataRobot エージェントスキルがプリインストール(モデル学習・デプロイ・予測などを自然言語で指示できる)
- ✅ ローカルでも DataRobot Codespaces でも同じ手順で動く
本記事では、ローカル環境と DataRobot Codespaces の両方で実機検証した手順を紹介します。
なぜ DataRobot OpenCode なのか?
「OpenCode を自分で入れて LLM の API キーを設定すればいいのでは?」と思うかもしれません。DataRobot OpenCode(dr opencode)は素の OpenCode に以下を「被せた」構成になっています。
| 機能 | 素のOpenCode | dr opencode |
|---|---|---|
| モデル接続 | ベンダーごとにAPIキー設定 | LLM Gateway に自動接続(キー管理不要) |
| 認証 | 各プロバイダーで個別 | dr CLI の認証を流用 |
| DataRobotスキル | 手動インストール | プリインストール(Agent Assist 含む) |
| ガバナンス | 自分で設定 | 共有機能オフ・自動更新オフが既定値 |
エンタープライズで「APIキーをどう配るか」「どのモデルを許可するか」に悩む必要がなく、LLM Gateway 側のアクセス制御がそのまま効くのがポイントです。
1. セットアップ
前提条件
- LLM Gateway へのアクセス権を持つ DataRobot アカウント
- DataRobot CLI v0.2.76 以降(古い場合は後述の
dr self updateで更新)
パターンA:ローカル環境(Mac の例)
dr CLI が未インストールなら Homebrew で入れます。
brew install datarobot-oss/taps/dr-cli
あとは3コマンドだけです。
# 1) CLI を最新化(v0.2.76 未満の場合は必須)
dr self update --force
# 2) OpenCode プラグインをインストール
dr plugin install opencode
# 3) 起動!
dr opencode
実行例(検証時の出力):
$ dr plugin install opencode
Installing Plugin
─────────────────
✓ Successfully installed opencode 0.1.5
Run `dr opencode --help` to get started.
初回の dr opencode 実行時に、OpenCode 本体のインストール確認が出るので Y で進めます。
This plugin requires the OpenCode AI coding agent (https://opencode.ai/) to be installed.
Would you like to install it now? [Y/n] Y
未認証の場合は自動で dr auth login が走り、ブラウザで OAuth ログインするだけです。LLM の API キーを一切触らずに セットアップが完了します。
ハマりどころ:ダウンロードが遅い回線ではタイムアウトすることがある
プラグイン本体は約40MBあります。Failed to download plugin: context deadline exceededが出たら、単純に再実行すればOKです(検証時も2回目で成功しました)。
パターンB:DataRobot Codespaces
Codespace ならさらに簡単です。ブラウザだけで完結します。
- DataRobot の任意のユースケースで Codespace を作成し、ターミナルを開く
- 以下を実行(
drCLI は Codespace にプリインストール済み)
dr plugin install opencode
dr opencode
Codespace には DATAROBOT_API_TOKEN と DATAROBOT_ENDPOINT が最初から設定されているため、dr auth login すら不要です。検証時もインストール後、即座にエージェントが応答しました。
$ echo $DATAROBOT_ENDPOINT
https://app.datarobot.com/api/v2
$ dr opencode run "What is 3+4? Reply with just the number."
> build · bedrock/anthropic.claude-sonnet-4-6
7
⚠️ Codespace の既知の問題:ターミナル内でのコピー&ペースト
OpenCode 独自のコピペ実装が Codespace のターミナルと相性が悪く、動かないことがあります(upstream issue)。長いプロンプトはファイルに書いて@ファイル名で参照するのが回避策です。
2. 実践!OpenCode を使ってみる
モデルを切り替える
起動後、/models(または Ctrl+X → M)でモデル一覧が開きます。検証時(app.datarobot.com)は 62モデル が利用可能でした(アカウントの権限により変わります)。
-
azure/gpt-5-4-2026-03-05(GPT-5.4) -
bedrock/anthropic.claude-sonnet-4-6(デフォルト) bedrock/anthropic.claude-opus-4-8vertex_ai/gemini-3.1-pro-preview- ほか Llama / Nova / DeepSeek など
起動時にモデルを指定することもできます。
dr opencode --model "datarobot/azure/gpt-5-4-2026-03-05"
F2 キーで直近使ったモデルにワンタッチで切り替えられるので、「設計は Claude、量産コードは GPT、レビューは Gemini」のようなモデルの使い分けが快適にできます。
非対話モードで一発実行
CI やスクリプトから使うなら run サブコマンドです。
$ dr opencode run -m "datarobot/azure/gpt-5-4-2026-03-05" "What is 5+6? Reply with just the number."
> build · azure/gpt-5-4-2026-03-05
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DataRobot スキルを使う
DataRobot エージェントスキル が自動でインストールされ、セッション内の skill ツールから呼び出されます。明示的なロードは不要です。
仕組みはこうです:dr opencode が生成する設定に npm プラグイン opencode-datarobot-skills が登録されており、OpenCode が起動時に自動インストール → スキル一式が ~/.config/opencode/skills/ に配置されます(検証時は v1.3.3、以下の12スキルを確認)。
- datarobot-agent-assist # AIエージェントの設計・構築・デプロイ
- datarobot-model-training # AutoMLプロジェクト作成・学習
- datarobot-model-deployment # デプロイ管理
- datarobot-model-explainability # モデル説明性(SHAP等)
- datarobot-predictions # リアルタイム/バッチ予測
- datarobot-model-monitoring # ドリフト監視
- datarobot-external-agent-monitoring # 外部エージェントのOTel監視
- datarobot-data-preparation # データ準備
- datarobot-feature-engineering # 特徴量エンジニアリング
- datarobot-app-framework-cicd # アプリテンプレートのCI/CD
- datarobot-workload-api # コンテナワークロード
- datarobot-setup # 環境セットアップ
つまりこんな指示がそのまま通ります👇
このCSVでユースケースを作って、二値分類のAutoMLを回して。
終わったらベストモデルをデプロイして。
Codespace 上なら、作ったスクリプトの実行もファイルの永続化もそのまま Codespace 内で完結するので、「エージェントに DataRobot を操作させる」体験としては最短ルートです。
3. 使いこなしのポイント
設定ファイルは「毎回再生成」される
dr opencode は起動のたびに設定(~/.config/datarobot/opencode/opencode.json)を自動生成します。LLM Gateway のモデルカタログを毎回取得して provider 設定を組み立てる仕組みです。
ハマりどころ:
opencode.jsonを手で編集しても次回起動時に消える
独自の MCP サーバー追加などの手動カスタマイズは現状保持されません。例外はモデルとテーマの選択で、これだけは OpenCode 自身の状態から引き継がれます。なお、既存の OpenCode グローバル設定(~/.config/opencode/)とは別ディレクトリなので、素の OpenCode ユーザーの設定と競合しない設計です。
任意のLLMを使いたい場合:デプロイ済みLLM
プラグイン 0.1.5 から、LLM Gateway のカタログに加えて自分が DataRobot にデプロイしたLLMもモデル一覧に出てきます。カタログにないモデルや、自社でファインチューニングしたモデルなど、任意のLLMをコーディングエージェントの頭脳にしたい場合はこちらを選択できます。
Agent Assist の設定を引き継げる
すでに Agent Assist で外部モデルを設定している場合、環境変数が自動で読み込まれます。
| 環境変数 | 効果 |
|---|---|
AGENT_ASSIST_LLM_BASE_URL |
外部モデルをプロバイダーとして追加 |
AGENT_ASSIST_LLM_MODEL_NAME |
使用するモデル名 |
AGENT_ASSIST_LLM_API_KEY |
外部プロバイダーの認証情報 |
AGENT_ASSIST_DISABLE_LLM_GATEWAY |
LLM Gateway をスキップし外部モデルのみ使用 |
モデルごとの「推論の深さ」の違いに注意
同じプロンプトでも、Claude 系は reasoning effort が高めに設定される一方、GPT 系はデフォルトが浅めのことがあり、体感性能に差が出ることがあります。「あれ、賢くないな?」と思ったらまずモデルを切り替えて比較するのがおすすめです。
プラグインの更新・削除
dr plugin update opencode # 更新
dr plugin uninstall opencode # 削除
4. 制限事項(2026年7月時点)
- ⚠️ オンプレミス環境は近日対応予定:現在は SaaS 版での先行リリースです。オンプレ対応(BYO LLM)はロードマップに載っているので、もう少しだけお待ちください
- ⚠️ 初回起動に時間がかかる:プラットフォーム別バイナリのダウンロードが走ります
- ⚠️ 設定の手動カスタマイズは保持されない(前述のとおり、モデル・テーマ以外はリセット)
まとめ
| ローカル | DataRobot Codespaces | |
|---|---|---|
| 事前準備 | brew install datarobot-oss/taps/dr-cli |
不要(プリインストール済み) |
| 認証 |
dr auth login(自動で起動) |
不要(環境変数設定済み) |
| セットアップ |
dr plugin install opencode → dr opencode
|
同左 |
| 動作確認 | ✅ 検証済み | ✅ 検証済み |
「コーディングエージェントは使いたいが、APIキーの配布・管理はしたくない」「モデルは案件ごとに選びたい」というチームには、現時点でもっとも導入コストの低い選択肢のひとつだと思います。まずは Codespace のターミナルでコマンド2つ、お試しください!
参考リンク
- 公式ドキュメント:OpenCode プラグイン
- 公式ブログ:DataRobot OpenCode — Your coding agent, your model choice
- DataRobot Agent Skills(GitHub)
- OpenCode 本体
セキュリティとコンプライアンスについて
- プロンプトの送信先となる DataRobot LLM Gateway は、エンタープライズ利用を前提にセキュリティが担保されています。アカウント単位のアクセス制御・ガバナンスが一元的に適用されるため、各LLMベンダーとの個別契約やAPIキーの散在といったリスクを避けられます
- セッションデータや設定は実行環境(ローカル/Codespace)のファイルシステムにのみ保存されます。また
dr opencodeでは OpenCode の共有(share)機能は既定で無効化されています - OpenCode はサンドボックスなしで実行され、実行環境のファイルシステムへフルアクセスします。ローカルで使う場合は作業ディレクトリに注意してください
- 業務データ・顧客データを扱う際は、所属組織のAI利用ポリシーに従ってください