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業務に使用するシステムの判別基準 ― 失敗したときに「元に戻せる」か?

Last updated at Posted at 2026-01-15

はじめに

業務設計においてエラーハンドリングを盛り込むのは基本ですが、
実務においては、それをすり抜けるミスが発生してしまうのが現実です。

  • 入力を間違える
  • 更新対象を誤る
  • 不要な行を削除する
  • 手順を飛ばす

重要なのは、
ミスが起きたかどうか ではなく、
起きたあとに業務が止まってしまうこと です。

この回では
失敗したときに復旧できるか という点を判断軸として扱います。

1. 結論:戻せない仕組みは、業務では使い続けられない

「気をつける」「注意する」「確認を増やす」。

これらは事故防止策ではありますが、
事故対応策ではありません

業務では、ミスが起きたあとにどうなるかが全てです。

2. Excel運用が事故に弱い理由

Excelが問題になるのは、
計算ができないからでも、遅いからでもありません。

事故が起きたとき、

  • どこを間違えたか分からない
  • どの状態が正しいか分からない
  • 部分的に戻せない
  • ファイル全体を巻き戻すしかない
    つまり
    回復手段が「ファイル単位」しかない ことが問題です。

3. 「バックアップがある」は日常リカバリにならない

よくある安心材料がこれです。

毎日バックアップを取っている

しかし実務では、

  • 昨日に戻すと、今日の正しい作業も消える
  • どこまで戻すのが正解か分からない
  • 他の人の作業を巻き込む

バックアップは
非常用の復旧手段 であって、
日常的な事故対応手段ではありません

4. 業務で本当に必要なのは「差分単位の回復」

業務で求められるのは、

  • 何が
  • いつ
  • どう変わって
  • どこが誤りだったか

を特定し、

  • その変更だけを無かったことにできる

ことです。

これができない仕組みでは、
ミス1件で業務全体が止まりかねません。

5. リカバリ可能な構造の基本

リカバリできる仕組みには、共通点があります。

  • 変更前の状態が残っている
  • 変更の履歴が積み上がる
  • 元に戻す操作が想定されている

考え方は単純です。

  • 「今の状態」を持つデータ
  • 「変化」を記録するデータ

を分けること。

6. 設計イメージ(リカバリ前提)

-- 主テーブル
-- 「今の正しい状態」だけを持つ
主テーブル:orders
  order_id        -- 業務上の識別子(主キー)
  amount          -- 現在の金額
  status          -- 現在の状態
  updated_at      -- 現在状態の最終更新日時(最新のみ)

-- 履歴テーブル
-- 「変更の事実」をすべて積み上げて残す
履歴テーブル:order_change_log
  log_id          -- ログID(主キー)
  order_id        -- 主テーブルとの紐づけ
  changed_at      -- 変更が行われた日時
  field_name      -- 変更された項目名(例:amount)
  old_value       -- 変更前の値
  new_value       -- 変更後の値

この構造があるだけで、

  • 誤った変更を特定できる
  • 変更前の値に戻せる
  • 他の正しい変更に影響しない

戻せるかどうかの差 が生まれます。

7. リカバリできない仕組みが現場に与える影響

回復できない仕組みでは、現場でこうなります。

  • ミスを報告しづらくなる
  • こっそり直そうとして被害が広がる
  • 作業が止まる
  • 特定の人しか触れなくなる

結果として、

「触らないのが一番安全」

という、
業務が萎縮する状態 が生まれます。

8. 結論:事故は避けられない、戻せるかが分かれ目

  • ミスは起きる
  • 事故は避けられない
  • だからこそ回復手段が必要

判断軸はこれです。

失敗したとき、業務を止めずに元に戻せるか?

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