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業務に使用するシステムの判別基準 ― データ量増加を見越した判断(ExcelとAccessの分岐点)

Last updated at Posted at 2026-01-15

はじめに

業務システム選定で最も多い失敗は、
「今のデータ量」で判断してしまうこと です。

業務が続く限り、データはほぼ確実に増えます。
この回では データ量が増える前提 を置いたときに、

  • Excelで持ち続けてよい業務
  • Access(DB)に切り替えるべき業務

この分岐点を、ExcelとAccessの対比で整理します。

1. 判断基準は「今」ではなく「未来」

Excelが破綻する瞬間は、だいたい決まっています。

  • 行数が一気に増えた
  • 履歴を残し始めた
  • 検索・集計条件が増えた
  • ファイルを分け始めた

問題は「重い/遅い」ではありません。
増加に耐えられない構造 で運用していることです。

「今は数千行だから大丈夫」

これは判断材料になりません。

2. ExcelとAccessの本質的な違い(データ量視点)

観点 Excel Access
想定用途 表計算・確認 データ管理
データ量 少量前提 増加前提
検索 行走査 インデックス
履歴管理 表が肥大化 テーブル分離
同時利用 事故りやすい ある程度耐える
構造の寿命 短い 長い

Excelは「計算する器」、Accessは「増え続けるデータを収める器」です。

3. データ量の現実的な目安

Excelが成立しやすい範囲

  • 数百〜数千行
  • 増加が緩やか(年数千行以下)
  • 履歴をほぼ持たない
  • 単一ファイル・単一担当

危険信号が出始める領域

  • 数万行規模
  • 月次で増え続ける
  • 検索・集計が体感で遅くなる
  • ファイル分割を考え始めた

Accessに切り替えるべき領域

  • 数万行以上で増加が止まらない
  • 履歴を削除できない
  • 検索・結合・集計が頻発
  • 複数人が触る

「Excelが重い」ではなく、「Excel構造で増え続けること自体が限界」 です。

4. Excelがデータ量増加に弱い理由

Excelでよく起きる破綻パターンです。

  • 1シート1テーブルで履歴を溜め込む
  • 集計用の列を増やし続ける
  • ファイル分割で軽量化しようとする
  • マクロで無理に延命する

結果として、

  • 処理が指数的に遅くなる
  • 更新漏れ・二重管理が発生する
  • 特定の人しか触れなくなる
  • 壊れたときの復旧が困難

これは操作の問題ではなく、設計の限界 です。

5. Accessが「増える前提」に強い理由

Accessでは、
増えるデータと増えないデータを最初から分けて設計 します。

例として、次のような構造を考えます。

  • 主テーブル(現在の状態だけを持つ。基本的に肥大化しない)
  • 履歴テーブル(状態変更の履歴。ここだけが増え続ける)

設計イメージ:

    --主テーブル:orders
      order_id     --注文ID(主キー)
      customer_id  -- 顧客ID
      status       -- 現在の注文ステータス
      created_at   -- 登録日時

    --履歴テーブル:order_status_history
      history_id   -- 履歴ID(主キー)
      order_id     -- 注文ID(主テーブルと紐づく)
      status       -- 変更後の状態
      changed_at   -- 状態変更日時

主テーブルは軽いままで、履歴テーブルのみデータが増加、
結果として検索・集計が安定します。

6. Excel継続が危険かを見極めるチェックリスト

次に YES が多いほど、Access検討段階です。

  • データは今後も増え続ける
  • 履歴を削除できない
  • 検索・集計条件が増える予定
  • 月に数千行以上増える
  • ファイルを分けたくなっている
  • 「このマクロ触れるのは〇〇さんだけ」

3つ以上該当したら、
Excel継続はリスクが高い状態です。

7. よくある誤解

誤解1:Excelが重いからAccessにする

増える前提があるからAccessにする です。

誤解2:完成してからDB化すればいい

完成後の移行は、最もコストが高い選択です。

誤解3:Accessは難しい

壊れたExcelを保守する方が、よほど難しいです。

8. 結論

  • データが増えない → Excelで成立する場合が多い
  • データが増える → Accessを前提に考える
  • 増え続けるのが確定 → 最初からAccessで設計する

判断軸はひとつ。

データ量増加を見越せるか

これを置けない仕組みは、遅かれ早かれ問題が発生します。

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