目次
はじめに
Anthropic社が公式に公開した「Claude Skills構築完全ガイド」の内容を読み、Claudeをより効率的に活用できる仕組みがあることを知りました。今回はこのガイドの内容をもとに、Claude Skills(クロード スキルズ)について、まとめます。
基本用語一覧
まず、本記事で解説する基本用語を一覧表にまとめました。各用語の詳細は後続のセクションで解説します。
| 用語 | 読み方 | 概要 |
|---|---|---|
Skills |
スキルズ | Claudeに特定の作業手順を教える仕組み |
SKILL.md |
スキル マークダウン | Skillの指示を記載するファイル |
YAML frontmatter |
ヤムル フロントマター | ファイル冒頭に記載する設定情報 |
MCP |
エムシーピー | Claudeが外部サービスと連携する仕組み |
Progressive Disclosure |
プログレッシブ ディスクロージャー | 情報を段階的に表示する設計手法 |
Triggering |
トリガリング | Skillが自動で起動される仕組み |
Claude Skillsとは
【基本的な定義】
Claude Skillsは、Claudeに特定の作業手順やノウハウを教えるための「指示書フォルダ」です。一度作成すれば、毎回同じ説明をする必要がなくなります。
身近な例えで言えば、料理のレシピ本のようなものです。料理本には「材料」「手順」「コツ」が書かれていて、それを見れば誰でも同じ料理が作れます。Skillsも同じで、Claudeに「この作業はこの手順で進めてね」と教えることができます。
【Skillsの特徴】
Skillsには3つの重要な特徴があります。
まず、どこでも使えることです。Claude.ai(ウェブ版)、Claude Code(コマンドライン版)、API(プログラムからの利用)のどれでも、同じSkillが動きます。一度作れば色々な場面で活用できるので便利です。
次に、組み合わせて使えることです。複数のSkillを同時に有効にできるため、「文書作成のSkill」と「データ分析のSkill」を一緒に使うこともできます。
そして、段階的に情報を読み込むことです。最初は必要最小限の情報だけを読み込み、必要に応じて詳細な情報を追加で読み込みます。これにより、Claudeの処理が軽く保たれます。
なぜSkillsが必要なのか
【よくある困りごと】
Claudeを使っていて、こんな経験はありませんか。
毎回同じ説明をしないといけない場面があります。例えば、「この形式で報告書を作って」と毎回詳しく説明するのは面倒です。
また、作業手順を忘れてしまうこともあります。複雑な作業では、どの順番で何をすればいいか分からなくなることがあります。
【Skillsで解決できること】
Skillsを使えば、これらの問題を解決できます。
一度Skillを作れば、次回からは「このSkillを使って」と言うだけで済みます。詳しい説明を毎回する必要がありません。
作業手順もSkillに書いておけるので、複雑な作業でも順序を間違えずに進められます。
チーム全体で同じSkillを使えば、誰が作業しても同じクオリティを保てます。
Skillsの基本構造
【フォルダの中身】
Skillは1つのフォルダで構成されます。フォルダの中には複数のファイルを入れることができますが、必ず必要なのはSKILL.mdというファイルだけです。
my-first-skill/
├── SKILL.md # 必須:メインの指示書
├── scripts/ # 任意:実行するプログラム
│ └── process.py
├── references/ # 任意:参考資料
│ └── guide.md
└── assets/ # 任意:テンプレートなど
└── template.md
この中で最も重要なのがSKILL.mdです。大文字・小文字を間違えると動かないので注意が必要です。必ずSKILL.mdという名前にします。
【SKILL.mdの構造】
SKILL.mdファイルは2つの部分から成り立っています。
最初の部分はYAML frontmatter(ヤムル フロントマター)と呼ばれる設定情報です。ここにはSkillの名前や説明を書きます。---という記号で囲まれた部分がそれです。
---
name: my-first-skill
description: >
報告書を作成するSkill。
ユーザーが「報告書を作って」と言ったときに使用する。
---
2番目の部分は、実際の指示内容です。Claudeに何をしてほしいのか、どんな手順で進めるのかを書きます。
# 報告書作成の手順
## ステップ1:情報収集
ユーザーから以下の情報を確認する
- プロジェクト名
- 作成日
- 報告内容
## ステップ2:文書作成
収集した情報をもとに報告書を作成する
【フォルダの命名ルール】
Skillのフォルダ名には厳格なルールがあります。
ハイフン(-)でつなぐケバブケースを使います。例えばreport-creatorのような形です。
スペース(空白)は使えません。report creatorのような名前は認識されません。
大文字も使えません。ReportCreatorではなくreport-creatorとします。
アンダースコア(_)も避けます。report_creatorではなくreport-creatorが正しい形です。
Skillsの3つの階層
【段階的に情報を読み込む仕組み】
SkillsにはProgressive Disclosure(段階的な情報開示)という賢い仕組みがあります。全ての情報を最初から読み込むのではなく、必要な時に必要な分だけ読み込みます。
この仕組みは3つの階層に分かれています。
【第1階層:YAML frontmatter】
第1階層は常に読み込まれる基本情報です。YAML frontmatterに書かれた内容で、Skillの名前と簡単な説明だけを含みます。
---
name: report-creator
description: 報告書を作成する。「報告書」「レポート」と言われたら使用。
---
Claudeはこの情報を見て、「今この作業に使えそうなSkillかな?」と判断します。必要最小限の情報なので、負担が少ないです。
【第2階層:SKILL.mdの本文】
第2階層は、Skillが必要だと判断されたときに読み込まれる詳細な指示です。SKILL.mdの本文部分に当たります。
ここには具体的な作業手順、注意点、実行するコマンドなどを書きます。普段は読み込まれず、必要になったときだけ読み込まれるので効率的です。
【第3階層:リンクされたファイル】
第3階層は、さらに詳しい情報が必要なときに読み込まれるファイルです。references/フォルダ内の参考資料や、scripts/フォルダ内のプログラムがこれに当たります。
詳しいAPI仕様は `references/api-guide.md` を参照してください。
このように段階的に読み込むことで、Claudeは常に必要最小限の情報だけを扱えます。
Skillsの活用シーン
【3つの代表的なパターン】
Skillsの活用シーンは大きく3つに分けられます。それぞれ具体例と共に見ていきます。
【パターン1:文書・資料の作成】
1つ目は、決まった形式の文書や資料を作る場面です。
例えば、会社の報告書には「表紙」「目次」「本文」「まとめ」といった決まった構成があります。毎回この構成を説明するのは大変ですが、Skillに書いておけば自動で適用されます。
プレゼンテーション資料も同様です。「タイトルスライド」「背景説明」「提案内容」「まとめ」という流れをSkillに教えておけば、毎回同じクオリティの資料が作れます。
この場合、外部のツール(MCP)は不要で、Claudeの基本機能だけで完結します。
【パターン2:複数ステップの作業】
2つ目は、順序が重要な複数ステップの作業です。
プロジェクト管理を例に考えてみます。新しいプロジェクトを始めるとき、「プロジェクト作成」→「メンバー追加」→「初期タスク設定」→「通知送信」という手順があります。この順序を間違えるとうまくいきません。
Skillに正しい手順を書いておけば、順序を間違えることなく、確実に作業を進められます。
【パターン3:外部サービスとの連携】
3つ目は、外部のサービスやツールと連携する場面です。ここではMCP(Model Context Protocol: 外部サービス連携の仕組み)が登場します。
例えば、デザインツールから開発ツールへの引き継ぎを考えます。「Figmaからデザインを取得」→「Google Driveに保存」→「Linearにタスク作成」→「Slackで通知」という一連の流れがあります。
この場合、それぞれのサービスとの連携方法(API呼び出し方、データ形式など)をSkillに書いておけば、複雑な連携作業もスムーズに進められます。
実際に作ってみる
【最小限のSkillを作る】
実際に簡単なSkillを作ってみます。ここでは「議事録作成」を補助するSkillを例にします。
まず、フォルダを作ります。
meeting-notes-creator/
└── SKILL.md
フォルダ名はmeeting-notes-creatorとしました。ハイフン区切りで、全て小文字です。
次に、SKILL.mdファイルを作成します。
---
name: meeting-notes-creator
description: 議事録を作成するSkill。「議事録」「会議メモ」と言われたときに使用する。
---
# 議事録作成の手順
## ステップ1:基本情報の確認
以下の情報をユーザーに確認する
- 会議名
- 開催日時
- 参加者
- 議題
## ステップ2:議事録の作成
以下の構成で議事録を作成する
1. 会議情報(名称、日時、参加者)
2. 議題と内容
3. 決定事項
4. 次回アクション
## ステップ3:確認と調整
作成した議事録をユーザーに確認してもらい、必要に応じて修正する
これで最小限のSkillの完成です。
【Skillをアップロードする】
作成したSkillは、以下の手順でClaudeに登録できます。
まず、フォルダをZIP形式(圧縮ファイル)にします。meeting-notes-creatorフォルダを右クリックして圧縮を選択すればOKです。
次に、Claude.aiを開いて、設定画面から「機能」を選択します。
1番下に「スキル」というセクションがある(R8年2月現在)ので、右上の「+ 追加」ボタンをクリックします。
先ほど作成したZIPファイルを選択してアップロードします。
アップロードが完了したら、「あなたのスキル」タブで該当するSkillを有効化します。トグルスイッチ(オン・オフの切り替えボタン)をオンにすれば使えるようになります。
【動作を確認する】
Skillが正しく動くか確認してみます。
Claudeに「会議の議事録を作りたい」と話しかけてみてください。Skillが自動で起動し、必要な情報を聞いてきます。
情報を答えていくと、指定した形式で議事録が作成されるはずです。
もし動かない場合は、descriptionの内容を見直してみてください。「議事録」というキーワードが入っていれば、関連する質問で起動するはずです。
まとめ
Claude Skillsは、Claudeに特定の作業手順を教えるための仕組みです。一度作成すれば、毎回同じ説明をする必要がなくなり、作業効率が大きく向上します。Skillsの活用で、より快適にClaudeを使えるようになるので、ぜひ試してみてください。
