はじめに
技術系の学習で、YouTubeに助けられる場面は多い。
AWSのハンズオン、資格試験の解説、英語の発音、数学の講義。文章だけではつかみにくい内容も、動画なら一気に理解できる。
それだけではない。ホリエモンさんやひろゆきさんの動画、哲学・歴史・教養系の解説、ビジネス書の要約動画など、「なるほど」と思うコンテンツはYouTubeに大量にある。
ただ、動画学習にはひとつ弱点がある。
見た直後はわかった気がするのに、数日後には説明できない。
ただ、動画学習にはひとつ弱点がある。
見た直後はわかった気がするのに、数日後には説明できない。
これは動画が悪いというより、「理解した内容を思い出す練習」に変換されていないことが原因だと思っている。そこでYouTubeリンクから学習カードを作る機能を実装した。
この記事では、機能紹介だけでなく、実装を通して考えた「動画を復習可能な知識に変換する設計」について書く。
作ったもの
YouTubeのURLを入力すると、動画の内容をもとに学習カードを生成する。
流れはシンプル。
- カード作成画面で「YouTube動画から作成」を選ぶ
- YouTube URLを貼る
- どんなカードにしたいかをプロンプトで指定する
- サーバー側で動画を解析する
- 完了通知から生成カードをレビューして保存する
生成されるカードは、以下のような構造になっている。
[
{
"question": "コンポーネント指向のメリットは?",
"answer": "UIを再利用可能な部品として分割でき、保守性と見通しがよくなること",
"supplement": "FlutterではWidgetを小さく分けることで、状態管理やテストもしやすくなる"
}
]
4択問題を作りたい場合は、プロンプトに「4択で」「資格試験向けに選択肢付きで」と書くと、誤答選択肢も生成する。おすすめプロンから出来合いのプロンプトを選択することもできる。
なぜYouTubeをカード化するのか
動画は「理解」には強いが、「記憶の定着」にはそのままだと弱い。
たとえば30分の技術解説動画を見たあと、次のような状態になりがちだ。
- 見ている間は納得している
- 後で見返すつもりで保存する
- でも見返すには30分必要なので後回しになる
- 結局、何が重要だったか忘れる
そこで動画を、短い問いに分解する。
動画を見る
↓
重要ポイントをカード化する
↓
翌日・数日後に思い出す
↓
説明できる知識になる
大事なのは「AIで楽をする」ことではなく、動画を復習可能な単位に変換することだ。
動画はインプット、カードはアウトプットの練習。役割が違う。
ユーザーに任せたいこと、AIに任せたいこと
この機能では、AIに全部を任せきる設計にはしていない。
AIに任せたいのは、動画から重要そうなポイントを拾い、カードのたたき台を作るところ。
ユーザーに残したいのは、以下の判断だ。
- 本当に覚える価値があるカードか
- 自分の目的に合う問いになっているか
- 回答や補足に誤りがないか
- 資格試験向け、一問一答、穴埋めなど、どの形式で復習したいか
実装上も、生成後にそのまま保存するのではなく、通知センターからレビュー画面に進み、カードを確認してから保存する流れにしている。
AI生成の初回には「AIが生成した内容には誤りが含まれる可能性があります。必ず内容を確認してください。」という警告も出す。
ここはかなり大事だと思っている。学習アプリでAIを使う場合、「万能なカードを自動で作ります」よりも、「確認しやすいたたき台を作ります」のほうが誠実だ。
実装の全体像
構成は Flutter + AWS Amplify + DynamoDB Streams + SQS + Lambda + Gemini。
ポイントは、YouTube解析を同期APIにしなかったこと。
動画解析は数十秒から数分かかる可能性がある。画面をローディングで固めるより、いったん「処理依頼を受け付けました」と返し、完了したら通知するほうがユーザー体験が安定する。
この機能で解決したいこと
この機能は、「動画を見るな」と言いたいわけではない。
むしろ逆で、動画はもっと使えばいいと思っている。
ただ、見た動画をその場限りにしないために、次の一手を軽くしたい。
- あとで見返すために保存する
- ノートにまとめる
- 重要そうなところを手でカード化する
このあたりの作業は、真面目な人ほど時間を使いすぎて疲れてしまう。
だから、最初のカード化はAIに任せる。
人間は、確認して、直して、覚える。
その分担がちょうどいいと感じている。
おわりに
YouTubeには良い学習コンテンツが大量にある。
でも、学習で本当に効くのは「見た量」ではなく、「あとで思い出せた量」だと思う。
YouTubeリンクからカードを作る機能は、動画を見て終わりにしないための小さな橋渡しだ。
AIで学習を置き換えるのではなく、学習の入口と復習の入口を近づける。
そのための機能として、かなり手応えがある。
動画で理解し、カードで思い出す。
この流れが、技術学習や資格勉強の負担を少しでも軽くできたらうれしい。
補足
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アプリの概要は memo.cobolabo.jp にまとめています。
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