constあるある：「オブジェクトにメンバ関数と互換性のない型修飾子があります」を解消する

#頻発ミス

VisualStudioで、こんなErrorが出たことはありませんか？
　オブジェクトにメンバ関数と互換性のない型修飾子があります

ちょっと例を出してみましょう。

Sample.h

class Sample
{
private:
    int member_;

public:
    // constructorとかsetterとかは省略しています. 
    Sample(const Sample& argSample);
    int getMember();
};

Sample.cpp

#include "Sample.h"

Sample::Sample(const Sample& argSample)
{
    member_ = argSample.getMember();
}

int Sample::getMember()
{
    return member_;
}

・・・さて、こんな感じのコードだと、イントロにあるようなErrorが出てきてしまいます。
原因は一体何でしょうか？

#Errorの原因

このメンバ関数では「const参照渡し」をしていますね。

Sample.h

    Sample(const Sample& argSample);

Sample.cpp

Sample::Sample(const Sample& argSample)
{
    member_ = argSample.getMember();
}

・・・ん？
このメンバ関数があかんことになっていますね。

Sample.h

    int getMember();

Sample.cpp

int Sample::getMember()
{
    return member_;
}

そう・・・「const修飾子」が無いのです！
constオブジェクトからは、constメンバ関数しか呼び出すことができません！

#const修飾子

const 修飾子を使う目的は「値を書き換えられなくする」ということです。
　・変数：値が変更できなくなる

変数.

// 宣言の先頭につける. 
const int MAGIC_NUMBER = 10; 

　・関数：呼び出したオブジェクトの持つメンバ変数を変更できなくなる

関数.

// 宣言の末尾につける. 
int getNumber() const; 

※変数、関数いずれもクラスのメンバという前提です

constオブジェクトから呼び出せるのは、constメンバ関数だけです。
　OK：constメンバ関数
　NG：非constメンバ関数

#Errorの解決法

ということで、Errorの原因となっているメンバ関数に「const修飾子」をつけます。
※末尾につけること！

Sample.h

    int getMember() const;

Sample.cpp

int Sample::getMember() const
{
    return member_;
}

「const参照渡し（const参照返しもかな？）」は非常によく使う手法です。
それだけに頻発するErrorなのではないかと思います。
「const参照渡し」を使う時には
　「渡したオブジェクト（参照）から呼び出すメンバ関数って、ちゃんとconstついてるかな？」
ということを気にしてみて下さい。