はじめに
本記事はIMINT/GEOINTなどのインテリジェンスを活用し、画像データを分析する方法について記載しています。
画像データは、第二次世界大戦など遥か昔から諜報活動の手段として軍事利用されています。
本記事ではGEOINTに着目して、戦略的な画像データの分析方法について学びます。
OSINT
情報は広義な意味合いで使われる人によって価値が異なりますが、インテリジェンスについては特定の名前空間において、価値を提供する洗練された情報の塊だと解釈できます。
Open-source intelligenceは、「合法的に入手できる資料」を「調べて突き合わせる」手法です。
略称はOSINTで、日本ではオシントと呼ばれています。
OSINTは、一般に公開されている情報源から、アクセス可能なデータの収集及び分析を行ないます。
従ってインターネットに接続可能なPCさえあれば、世界中の誰でも実行できます。
イギリスではベリングキャットと呼ばれる、OSINTを手段として活動する専門の組織が有名です。
OSINTを含めたインテリジェンスには様々な種類があります。
IMINTは、衛星画像または航空写真によって収集されたインテリジェンスの分野です。
GEOINTは、地理空間情報を含む画像から得られるインテリジェンスの分野です。
IMINT/GEOINT
OSINTは、誰でも実行できる再現性の高い調査方法です。
正確な情報を導き出すためには、論理的に導き出すための考え方や、時には世界中の文化等様々な知識が必要です。
Reverse Image
分析したい画像について、どこで撮影されたかなどを特定するために、Reverse image searchはGEOINTの基本です。
Google 画像検索を使用することで、大抵の場合は見つかるかもしれません。
画像検索のアルゴリズム及び仕組みは、検索エンジンによって異なるため、以下のようなサイトを併用することで、Google 画像検索では入手できない情報が入手できます。
実践的な調査方法
画像データに写っている車や信号、建物及び看板などコンテキストとなる要素を確認します。
ランドマークなど目印となるものを発見した場合は、必要に応じて抽出したりしながら、Reverse Imageを行ないます。
調査する国の情報によっては、ツールの使い分けが重要です。
例えば中国の場合は、グレート・ファイアウォールによって、インターネットの規制が存在しています。
中国国内からGoogleなど国際的に有名なWebサービスに対しては、アクセス制限が行われています。
上記など制約を踏まえて、Reverse Imageを行うツールとして、Google 画像検索よりYandexが優れていると言われています。
写真の EXIF データ
スマートフォンやデジタルカメラで写真を撮ると、多くの情報が画像に記録されます。
詳細については以前書いたデジタルフォレンジックの調査方法 - 写真の EXIF データを参照。
動画から画像の抽出
動画から一部の静止画像を抽出したいときに有効なのが、FFmpegというツールです。
FFmpegは、ビデオからすべてのフレームを抽出し、PNGまたはJPG形式の静止画像に変換できます。
Debian系の場合は、以下のコマンドを実行してパッケージをインストールできます。
$ sudo apt install ffmpeg
使い方として、動画ファイルを引数に指定し、オプションを任意で指定します。
以下はファイル名を数字6桁で指定し、-hide_banner
で不要なテキスト出力を抑制しています。
$ ffmpeg -i <動画ファイル名> img%06d.png -hide_banner
-r
オプションをを使用して、1 秒あたりのフレームレートを調整することができます。
おわりに
OSINTに関連する調査は、日常生活でも様々な目的で使用されていたりします。
「ウォーリーをさがせ!」のようにParked Domain Girl!について調べことがある人もいるのではないでしょうか。
また現代社会におけるSNSで共有された画像から、居場所を特定する行為も本質的には同じだと思います。