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プログラムの怖いところ ライブラリのバージョンアップ

Last updated at Posted at 2020-07-09

はじめに

本記事はライブラリのバージョンアップが原因でプログラムが動かなくなり、どの様に原因を調査して解決まで行き着いたかについて、システム開発の一助となるストーリーをご紹介します。

概要

とあるtoCのシステムにおけるバックエンドのプログラム(API)で軽微な修正を行い、デプロイしたときの話になります。

本番環境と開発環境が存在し、開発環境でテストした上で本番環境でリリース作業を実施。本番環境でデプロイ後、システムの一部機能で正常性が確認できない事態が発生しました。

バックエンドはDockerで開発を行っているため、デプロイ時にdocker compose buildでビルドを毎回行っています。デプロイ自体は成功しているため、ライブラリのバージョンアップが関係しているのではないかと予想していましたが、のちに調査が難航することになるとは、このときは予想していませんでした。。

当該事象発生時は原因究明に至らなかったため、切り戻しを実施し、リリース作業は中断。翌日に原因調査を行いました。

question_head_gakuzen_boy.png

原因調査

前提として本番環境と開発環境で使用していたソースは、一部機能をマージしてないなど環境差異は発生していましたが今回発生した事象に関係はありません。

調査を開始し、開発環境で事象を再現させるために確認を行いましたが、同様の事象は発生しませんでした。その後、本番環境で使用したソースを開発環境でデプロイすると事象が再現しました。

開発環境で事象再現後、デバッグするために本番環境で使用したソースの不具合が発生している箇所にconsole.log(e)でログ出力する様にしてデバッグを行いました。

不具合が発生している箇所に対するAPIのリクエストを実行し、サーバ側のログを確認すると、データベースのあるテーブルのカラムが見つからないと言うエラーメッセージが出力されていました。

仮説としてプログラムで利用していたORMライブラリのバージョンが上がったため、今まで許容していたデータベースに対する接続がエラーになっているのではないかという考えに辿りつきました。

animal_chara_computer_azarashi.png

解決方法

本番環境で稼働中のコンテナで生成されたyarn.lockファイルと、開発環境でデプロイしたコンテナのyarn.lockファイルのORMライブラリのバージョンを比較すると、開発環境のコンテナのマイナーバージョンが1桁だけ上がっていることを確認しました。

検証としてpackage-lock.jsonのORMライブラリのバージョンを、本番環境で稼働中のコンテナで生成されたバージョンと同じバージョンに固定すると、事象が再現しないことが確認できました。

よって暫定対応としては、ORMのライブラリのバージョンを固定しないことで一旦は解決しましたが、今後の運用として色々と課題を認識しました。

shinpai_man.png

DevOps

DevOps観点で感じた課題について以下に記載します。

※本記事の内容は、あくまで考え方の一例であり、必ずしも全ての考え方がシステムに適合したり、ここに書いている内容で満たされている訳ではありません。

  • ライブラリのバージョン固定
    保守性を高める場合はライブラリのバージョンを上げないように固定することが望ましいですが、セキュリティとトレードオフになります。また、バージョンアップする場合は確認の工数もかかります。npm outdatedコマンドを実行すると、現在インストールされているバージョン、現在のバージョン指定でインストールされる最新バージョン、リリースされている最新バージョンが表示されます。

  • テストの再現性
    当たり前ですが極力環境差異をなくしたテスト方法の考案及びテスト環境を構築し、テストを実施することが望ましいです。※参考:3.6 本番環境とテスト環境の差異に関する教訓(T6)

  • 本質的なアプローチ
    今回の様な事象は技術的な手段で解決する以前に、開発や運用ポリシー等を定義していればこの様なリスクを軽減する可能性は上がります。

おわりに

本事象を通して改めて学んだのは、プログラムは数字1桁が変わるだけで動かなくなるという恐ろしさと、DevOpsの重要性です。

DevOpsは文化です。DevOpsは人が作る必要があるため、言うだけは簡単ですがシステムのあるべき姿を計画し、実行して継続することは大変です。

この失敗を次に生かしてシステム開発のライフサイクルを短縮し、ソフトウェア品質の高い継続的デリバリーを実現していきたいと思いました。

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