この記事は、第5世代移動通信システム(以下、5G)の概観を把握するために、役にたちそうな情報を取りまとめていく。 その3。
#ITU-Tからの要求
5Gの仕様を標準化する組織は3GPPであるが、3GPPはITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)の要求に従って標準化を進めている。
ITU-Tは、次のような要求を行っている。
- enhanced Mobile BroadBand (モバイルブロードバンドのさらなる高度化)
- massive Machine Type Communications (多数同時接続を実現するマシンタイプ通信)
- Ultra-Reliable and Low Latency Communications (高信頼・超低遅延通信)
「Recommendation ITU-R M.2083-0, IMT Vision - Framework and overall objectives of the future development of IMT for 2020 and beyond」
https://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/m/R-REC-M.2083-0-201509-I!!PDF-E.pdf
#Release15における要求の言及
Release15では「5.2 The 5GS service aspects」で、ITU-Tの要求に言及し、要求に基づいて定義される5Gの特徴を取りまとめている。
5Gでは、実現すべき具体的な値を個々のシナリオごとに定義するが、それらのシナリオも値と一緒に定義される。(たとえば、航空サービスでは飛行機一機に対して1.2Gbpsのビットレートを期待する、など)
以下に取りまとめられた5Gの特徴を紹介する。
#####Enhanced Mobile Broadband (eMBB)
高データレート、高トラフィック密度、高モビリティ
#####Critical Communications (CC) and Ultra Reliable and Low Latency Communications (URLLC)
高信頼性、低遅延、高可用性
#####Massive Internet of Things (mIoT)
高いトラフィック密度にある様々なIoTデバイスのサポート
#####Flexible network operations
エンドツーエンドの品質を柔軟に提供するための能力。
スライシング、ネットワーク機能の公開、拡張性、多様なモバイリティ、セキュリティ、効率的なコンテンツ配信、移行と相互運用性
3GPP「TR 21.915 V1.0.0 5.2 The 5GS service aspects」
#垂直産業を結び付ける5Gネットワーク
5Gではこれまで結びつきが弱かった産業(Veticals(垂直産業)と呼ばれる)の間にもネットワークを築こうとしている。release15では、5Gで新たなネットワークが構築される産業分野として以下を言及している。
- Automotive and other transport (trains, maritime communications)
- Transport, logistics, IoT.
- Discrete automation.
- Electricity distribution.
- Public Safety.
- Health and wellness.
- Smart cities.
- Media and entertainment.