こんにちは、Virtuozzoソリューションエンジニアです。
最近、VMwareの騒動を受けて、弊社への問い合わせが急増しています。しかし、この記事にもあるように、「脱VMware」を目的とした移行では、期待するメリットを得られず、むしろ失敗するリスクが高いと考えています。
確かに、VMwareからの移行を検討する気持ちは理解できますが、弊社としては 「脱VMware」ではなく「活VMware」 という考え方を推奨しています。つまり、VMwareをうまく活用しながら、他の仮想化基盤やクラウド基盤と組み合わせ、最適なクラウド環境を構築するアプローチです。
最終的に 完全にVMwareを脱却するのか、それとも活用し続けるのか は、一歩ずつ慎重に検討しながら進めるべきだと考えています。
こうした状況の中で、VMware以外の選択肢として注目が高まっている Virtuozzo Hybrid Infrastructure (VHI) の導入プロセスについて整理しました。
1. 必要な機能の整理
まず、既存のVMware環境で利用している機能を整理しましょう。VMwareと100%同等の機能を持つ製品は存在しません。そのため、以下のように分類して要件を明確にすることが重要です。
- 必須機能
- あったほうが良い機能
- あれば嬉しい機能
- なくても困らない機能
この整理を行うことで、製品選定の際にスムーズに比較ができます。
2. 機能の比較
VHIのデータシートやドキュメントを確認し、整理した機能と照らし合わせながら、対応の有無を明確にしましょう。対応していない機能がある場合、アーキテクチャの違いによるものかもしれません。そのため、本当に必要かどうか、また代替案があるかを検討することが重要です。
VHIの特徴は、こちらのリンクにある「技術的な注目点」セクションをご参考にしてください。
この段階で、弊社または弊社代理店に積極的にお問い合わせください。
3. VHIサンドボックストライアル環境での機能確認
目的:UIの分かりやすさ、操作性、機能が揃っているかなどを確認すること
いきなりサーバーを準備してインストール・テストするのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。そこで、VHIサンドボックストライアル環境 を利用するのがおすすめです。
この環境では、VHIの基本機能やインターフェースを簡単に確認できます。ただし、他のユーザーと共有する環境であるため、本番データは絶対に置かないように注意してください。
サンドボックストライアル環境へのアクセスについて、こちらの問い合わせフォームから申し込むことができます。
4. ライセンス価格の確認
サンドボックス環境での機能確認を終え、機能・性能の問題がなければ、ライセンスの形態と費用感を確認するのが賢明です。すべてのテストが完了した後に「価格が合わない」という事態を避けるためです。VMwareからVHIに乗り換えた場合のコストメリットを把握しておきましょう。
Virtuozzoのライセンス形態には以下の種類があります。
エンタープライズ向けライセンス
-
サブスクリプション(Subscription)
- 課金単位:
- CPUコア(利用可能な物理コア総数)
- ストレージ(利用可能なロジックストレージ容量)
- 例:1物理CPUコアあたり〇〇円、1TBあたり〇〇円
- 課金単位:
-
永久ライセンス(Perpetual License)
- 課金単位:- CPUコア(利用可能な物理コア総数)
- ストレージ(利用可能なロジックストレージ容量)
- 初年度はサポートメンテナンス費用が発生
- 2年目以降、メンテナンス費用を支払うか選択可能
- メンテナンス費を支払わない場合、サポートが受けられない点に注意
クラウドサービスプロバイダー向けライセンス
-
PAYG(Pay As You Go)モデル(従量課金)
- RAMベースの課金(1GBあたり〇〇円)
- コミットメント制(利用量が増えると単価が安くなる)
- 最初は最も低いTierから始め、使用量に応じてアップグレードが推奨
VHIのライセンスについては、弊社代理店に直接お問い合わせください。弊社にお問い合わせいただいくことも可能ですが、代理店をご紹介させていただくことがありますので、ご了承ください。
ライセンスについて、詳しくこちらの資料をご確認ください。
5. ローカルインストールPoC(概念実証)
目的:インストールの容易さ、パフォーマンス、HA、ネットワーク設定、バージョンアップなどの検証確認
物理サーバーへのインストール
VHIはHCI構成のため、専用のストレージデバイスは不要 です。HA(High Availability)を考慮する場合、最低でも物理サーバー3台が必要ですが、検証環境なら1台から始めることも可能です。ただし、1台2台でも検証テスト可能ですが、HAがないのでご注意ください。物理サーバー1台しかない場合、下記の「二重仮想化VHIインストール」をご参考ください。
また、一部の方から「コンシューマ用PC上でもインストールできたよ」という声をいただきましたので、機能確認程度なら試してみる価値があるかもしれませんが、責任取れませんw
二重仮想化(Nested Virtualization)VHIインストール
物理サーバー3台がない場合でも、既存のVMware仮想環境もしくはVHI仮想環境を利用すれば構築可能です。ただし、VMwareやVHIの二重仮想化機能を事前に有効にする必要があります。やり方もシンプルです。
VMware環境をお持ちの場合、VMware上でVM 3つ以上作成し、VHIのイメージからインストールするだけです。
物理サーバー1台しかない場合、VHIシングルノートでインストールを行い、できたらNested Virtualizationを有効にしたうえで、必要なVMとネットワークインターフェースを作成し、インストールするだけです。
注意点として、二重仮想化では機能の確認は可能ですが、パフォーマンスの確認はできません。パフォーマンステストを行う場合は、物理サーバー上で実施するのが望ましいです。
詳細なインストールガイドとサーバー要件はこちらです。
PoCのライセンスについて
最大96コア・1TB以内であれば、ノード数と期間無制限で無償利用可能です。これを超える場合は、期間限定の無償トライアルライセンスを発行することも可能です。必要な方は、こちらの問い合わせフォームより 必要なCPUコア数、ストレージ容量、ノード数を明記のうえ お申し込みください。
ただし、無償のトライアルライセンスに関して、弊社もしくは代理店からベストエフォートのサポートしかできないため、ご了承ください。きちんとしたサポートを受けたい場合、少量の本番用のライセンスが必要です。
6. 本番用ライセンスとサーバーインフラの調達
本番ライセンスは 弊社代理店経由 で購入可能です。
また、サーバーインフラについても、弊社代理店が取り扱うブランドから調達するか、既存の商流を活用する方法があります。
まとめ
- 必要な機能を整理 し、要件を明確にする
- VHIの機能を比較 し、要件を満たせるか確認する
- サンドボックス環境 で基本機能をテストする
- ライセンス価格を確認 し、予算内で運用できるか検討する
- ローカルインストールPoC で実際の運用環境をシミュレーションする
- 本番ライセンスとインフラを調達 して運用を開始する
この流れを参考に、Virtuozzo VHIの導入を進めてみてください!