LINEのトーク履歴を使って会話AIを作る実験 🤖💬

1. はじめに：身近なデータでAIを作ってみよう

会話AIというと、ChatGPTやSiriのような高度な技術をイメージしがちですが、実は「身近な会話データ」からでもシンプルな会話AIを作ることができます。
たとえば、自分と友人とのLINEのトーク履歴。これって、自然言語の宝庫なんです。

この記事では、LINEのトーク履歴を使って簡易的な会話AIを作る方法を紹介します。Pythonと自然言語処理（NLP）の基本を活用して、「ちょっと賢いボット」を育ててみましょう。

2. 技術の概要：TF-IDF + 最近傍探索で「それっぽく」返す

今回のアプローチは以下の通りです：

ステップ1：LINEのトーク履歴をCSVでエクスポート
ステップ2：ユーザーの発言だけを抽出して「Q&Aペア」に変換
ステップ3：TF-IDFでベクトル化し、近い発言を検索
ステップ4：その直後の返答を「AIの返答」として返す

機械学習の学習はしませんが、情報検索ベースでそれなりに自然な応答が可能です。

3. 実装してみよう：LINEトーク履歴 → 会話ボット

📦 必要ライブラリ

pip install pandas scikit-learn fugashi unidic-lite

📝 ステップ1：トーク履歴の前処理

LINEのトーク履歴はテキスト形式でダウンロードできますが、以下のような形式です：

2024/05/01(水) 10:15 - 山田太郎: おはよう！
2024/05/01(水) 10:16 - 鈴木花子: おはようございます ☀️

まずは、これをPythonで読み込んで会話ペアにします。

import re
import pandas as pd

with open('LINE_トーク.txt', 'r', encoding='utf-8') as f:
    lines = f.readlines()

pattern = r'(\d{4}/\d{2}/\d{2}.*?) - (.*?): (.*)'

data = []
for line in lines:
    m = re.match(pattern, line)
    if m:
        timestamp, speaker, message = m.groups()
        data.append({"timestamp": timestamp, "speaker": speaker, "message": message})

df = pd.DataFrame(data)

💬 ステップ2：Q&Aペアの作成

pairs = []
for i in range(len(df) - 1):
    if df.loc[i, "speaker"] != df.loc[i+1, "speaker"]:
        q = df.loc[i, "message"]
        a = df.loc[i+1, "message"]
        pairs.append((q, a))

df_pairs = pd.DataFrame(pairs, columns=["question", "answer"])

🔍 ステップ3：TF-IDF + 最近傍検索で会話っぽく

from sklearn.feature_extraction.text import TfidfVectorizer
from sklearn.neighbors import NearestNeighbors
import fugashi

# 形態素解析 + tokenizer
tagger = fugashi.Tagger()
def tokenize(text):
    return [word.surface for word in tagger(text)]

vectorizer = TfidfVectorizer(tokenizer=tokenize)
X = vectorizer.fit_transform(df_pairs["question"])

nn = NearestNeighbors(n_neighbors=1, metric='cosine')
nn.fit(X)

🤖 ステップ4：ボットとして応答させる

def reply_bot(user_input):
    vec = vectorizer.transform([user_input])
    dist, idx = nn.kneighbors(vec)
    return df_pairs.iloc[idx[0][0]]["answer"]

# 実験
while True:
    user = input("あなた：")
    if user == "exit":
        break
    print("ボット：" + reply_bot(user))

4. 実務での応用ヒントとつまずきポイント

✅ 実務応用のヒント：

社内チャットのFAQ応答ボットに活用可能（Slack, Teams等）
カスタマーサポートの前段階フィルタとしても有効
社員教育用：会話ログからよくある質問を学習

⚠️ よくあるつまずき：

fugashiのインストールで詰まる → unidic-liteを併用すれば簡単
会話ペアが正しく構築されない → スピーカー変化の条件に注意
テキストが長すぎるとTF-IDFでは文脈が欠落 → 長文分割 or LLMの導入も検討

5. 応用アイデア・発展的な活用

もしさらに本格的にしたければ：

Embeddingベースの検索（OpenAI APIやsentence-transformersなど）
LangChainと組み合わせてRAG型AI化
LineBot APIと連携してリアルタイム対話対応も可能！
会話ログのクラスタリング → FAQの自動生成

6. おわりに：LINEトークがAI教材になる時代

LINEのトーク履歴という身近なデータを使うことで、会話AIの仕組みがぐっと身近になります。本記事で紹介したTF-IDFベースの方法は簡易ながら、実務のPoCレベルには十分対応できます。

とはいえ、限界もあります：

項目	内容
✅ メリット	学習不要、高速、導入しやすい
❌ デメリット	文脈理解なし、柔軟性に乏しい

将来的にはLLMや音声入力などとの連携も視野に入れると、“手軽だけど本格派”な会話AI開発が実現できます。

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