ARCoreより対応端末の多いVuforiaのARマーカーを使った簡単なARアプリを開発しようと考えており、$504/年 のBasicライセンスで開発し、アプリをリリースしてから更新予定はなかったので、ライセンス更新は必要ないと思いましたが念の為Slackで質問したところ、営業担当から返信があり契約更新の問題以前にVuforiaのライセンスにはかなり危険な部分が多いことが分かったので注意喚起のために投稿します。
まず契約ですが、年商によって金額が大きく変わるようです。
■コンシューマーフェイシングスタンダード
年商10億~年商1,000億円
¥3,707,000/年
■コンシューマーフェイシングエンタープライズ
年商1,000億円以上
¥7,414,000/年
私が依頼されたクライアントは年商10億以下の会社からの案件だったので、$504/年のBasicライセンスで良いと思っていましたが、以下のような利用シーンではプロライセンスが必要と回答がありました。
###利用シーン
- 社内従業員向けの業務用途としての利用されるアプリケーションへの使用
- 企業やサービスまたは製品に対するプロモーション/マーケティングを目的としたアプリケーションへの使用
- 自社サービスまたは開発ツールとしての外部向けサービスに対しての使用
- 物理製品にプリインストールしたアプリケーションへの使用
#####え?これに適用されないアプリってなんてあります?
#####逆にBasicライセンスだとどのような使用用途があるのか教えてほしい…。
https://www.ptc.com/en/products/vuforia/vuforia-engine/pricing
###結論
-
$504/年のBasicライセンスでできることは皆無。
(透かしを消すだけ?) -
売上が10億以下の会社でも高額なライセンス契約はほぼ必須。
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リリース後アプリを更新しないとしてもそのアプリをユーザーが使い続けるのであればライセンス更新は必須。
しかしクラウドマーカーなどのネット接続が必要ないARアプリの場合、Vuforia側がライセンスの状態を把握する方法はないのでアプリストアから消してもアプリをダウンロードしたユーザーはアプリは使用し続けられる。 -
Apple Developerはリリース時に契約していれば、契約を更新しなくても、OSのアップデートで使用できなくなることがない限りアプリを使用し続けることは可能だが、Vuforiaの契約はそうではない。このあたりはVuforiaは管理できないのでかなり曖昧。
Vuforiaは開発者ライセンスは無料なのでお金を払うことなく開発でき、リリースのタイミングで$504/年 のライセンス購入すれば良いと思っていましたが、ほとんどの場合プロライセンスが必要でその金額がかなり高額だったので驚きました。
アップデートの頻度も高く、新機能がどんどん追加され、高度な3Dモデルトラッキングなどが魅了のVuforiaですが、簡単なARマーカーアプリやクラウドマーカーを使ったアプリでもほとんどの場合、高額なライセンス契約が必要そうなので、みなさんもご注意ください。
Basicライセンスで問題ないと思いVuforiaを使ったARアプリを開発して配布していたら規約違反で高額な請求される事案が発生しそうです。
このような高額ライセンスになったのはいつからなのか知りませんが、Vuforiaを使い名刺をARマーカーにしてARで自己紹介が出るようなアプリを作っている人がいましたけど、これもプロモーション用途だからBasicライセンスだと規約違反ですよね。
今はARKitやARCoreがあり、Vuforiaを使ってARアプリを作る人はあまり多くはないかもしれませんが、確かUnity 2017あたりではデフォルトでVuforiaが入っており、それで知名度が上がり色々ARアプリを作っていた人は多かったと思いますが、ライセンスの詳細を知っていた人ってどれだけいたんでしょうか。普通は$504/年 払ったら問題なく配布できると思いますよね。
#####追記:
上記のプロライセンスは委託された日本の代理店が管理していて、Basicライセンスは本国で管理されているようなので、情報が統一されていないとのことでした。