一般的にサービスの良い面は語られがちですが残念な面について語られることは少ないですよね。
そこで本記事ではAzureの利用を検討している方々に向けて、App Serviceの残念な点をあえて挙げることでAzureを使用するかどうかの判断材料としていただくことを目的としています。
よろしければ前回のMicrosoft 365 Copilot編もご覧ください。
こちらはAzure Functions編です。
Azure FunctionsはApp Service上に構築されているFaaSです。
オススメ記事はこのくらいにして本題のApp Service編に入ります。
App Serviceとは?
App ServiceとはWebアプリの実行に特化したPaaSサービスです。
OSはWindowsとLinuxに対応しています。
言語は .NET / Python / Java / Node.js / PHP に対応しています。
認証 / 証明書 / Git / 監視 などのWebアプリでよく使う機能も統合されているため、ミドルウェア管理の手間も少なくWebアプリを構築・運用することが出来ます。
それでは以下残念な点を挙げていきます。
料金が高い・料金プランが少ない
-
料金が高い
同等スペックでAzure VMと比べてみるとApp Serviceは料金が高いです。
この2つはもちろん違うサービスではあるのですが、App Serviceの内部でAzure VMを使用しているらしいので参考にはなるかと思います。また、以下の比較には載せていませんがAzure VMにはコスパの良いARM CPUやバーストタイプのプランがある一方でApp Serviceには無いためなおさら割高に感じます。
サービス リージョン OS 料金プラン スペック 月額料金 Azure VM 東日本 Windows D2as v6 + E15 2vCPU 8GB 256GB 24,988円 Azure VM 東日本 Windows D4as v6 + E15 4vCPU 16GB 256GB 47,196円 Azure VM 東日本 Windows D8as v6 + E15 8vCPU 32GB 256GB 91,717円 サービス リージョン OS 料金プラン スペック 月額料金 App Service 東日本 Windows P1v3 2vCPU 8GB 250GB 36,801円 App Service 東日本 Windows P2v3 4vCPU 16GB 250GB 73,603円 App Service 東日本 Windows P3v3 8vCPU 32GB 250GB 147,206円
-
料金プランが少ない
Azure VMとApp Serviceの料金プランは以下のリンクです。
特にApp Serviceの本番用プランは以下の画像のみです。Azure VMのバリエーションの多さと比べるとApp Serviceはかなり寂しいです。
料金プランを変更できないことがある
App Serviceでは内部のアーキテクチャの問題で料金プランを変更できないことがあります。
この仕様はリソースを作成する時には気付かず、ある程度運用してユーザが増えてきた時などに変更しようとしてようやく気付くのでトラップです。
公式ドキュメントでもおまけ程度にしか解説されておらず、対処法もリソースを作り直すほかありません。
コンピューティング系のサービスで簡単にスペックを変更出来ないのは結構致命的だと思うんですよね。
Windowsでは使えるけどLinuxでは使えない機能がある(逆も然り)
概要の部分で説明したようにApp ServiceではWindowsとLinuxからOSを選択します。
そしてApp Serviceには便利な組み込み機能が色々ついていますが機能の対応・非対応はOSで異なります。
こういった対応・非対応の記載はそれぞれのページに散らばっていて一言で何気なく書いてあったりするためApp Serviceの経験が浅い場合なかなか気付きません。
OSに強く依存するような機能が対応・非対応であれば直感的にもわかりやすいのですが「それOS関係なくない?」という機能が一方のOSだけ未対応だったりします。
「安いからとりあえずLinuxにしておくか」という安易な考えで選ぶと後で痛い目を見ます。
一方で「MicrosoftだからWindowsを使っておけば間違いない」という考えでも痛い目を見ます。
HTTPリクエストが最大4分でタイムアウトする
App ServiceへのHTTPリクエストは最大4分でタイムアウトしてしまいます。
設定変更などで伸ばすことも出来ません。
大容量ファイルのダウンロード・アップロード機能やo3-proとの会話を実装する場合は普通にやるとタイムアウトが頻発すると思うので何らかの工夫が必要となります。
東日本リージョンにリソースを作れない
App Serviceに限りませんが、コロナ期間くらいからAzureサービス全般で東日本リージョンのサーバが慢性的に不足しています。
特に新規の顧客や小口の顧客はリソースの作成が制限されていて東日本リージョンを全く使えないらしいです。
そういった顧客がAzureサポートや営業に問い合わせると西日本リージョンを勧められるらしいのですが、西日本リージョンは対応していない機能やサービスが多いのでメインで使うのは結構大変です。
あなたの結論は?
Azure使う?使わない?