金城あずまです。スタックチャンアドカレ15日目は、13日目「Coreシリーズ以外のM5製品でスタックチャンを作ったお話」の続編として、どれも個性たっぷりなスタックチャン達の分類法について、M5Stack製品の違いを基準にしながらお話ししたいと思います。一部13日目に記した内容と重複するかもしれませんが、ご了承ください。
スタックチャンとは(再掲)
スタックチャンは、2021年に公開されたM5Stackで動作するスーパーカワイイロボットです。ししかわさんにより「全てがオープンなロボット」として開発され、2023年12月の時点で700人以上のコミュニティを構成しています。
実は"ノーマルなスタックチャン"だけでもいっぱいいる
一般的にスタックチャンといえば、「M5Stackに顔が表示され、その後ろにおおよそ立方体の3Dプリンタ製のボディがつき、サーボで首を振るロボット」という認識で知られており、実際オリジナルのスタックチャンもその形をしています。外見のみに限定すれば、猫耳フードやプロペラなどの装飾をつけた個体や、チビドラゴンチャンやスネークチャンなどのような異形型もいるのですが、よくよく見ると元となったノーマルなスタックチャンだけでも実はいろんな種類がいます。というのも、
- 「M5Stack Core Basic」と「オリジナルの外装」、そして「専用のスタックチャン基板」を使用し、「moddableでファームウェアが書かれた」"ししかわさんが公開した原点のスタックチャン"(アールティ版スタックチャンもこれを踏襲)
の他に、
- タカオ版やグライドパス版、そしてマグネット版などの「ユーザが簡単に組み立てられるように外装や基板などが独自に改良された」派生キットを使用したスタックチャン
- Core Basicの姉妹製品であるFireや、その後継機種であるCore2やCore2 AWS、CoreS3を使用したスタックチャン
といったスタックチャンコミュニティの拡大とともに誕生した派生タイプが存在するためです。中でもスタックチャンユーザが爆発的に増大したきっかけとなったChatGPTで会話するAIスタックチャンが原則Core2系のみの対応だったり、タカオ版などのキットがコミュニティ拡大を後押ししたりと、むしろ派生タイプはスタックチャンコミュニティにとって欠かせない存在となっています。ソフト面においてもmoddableのみならずArduino IDEやPlatformIO、UIFlowなど様々な方法で書かれています。
#異形なスタックチャンならぬ異種(エキゾチック)なスタックチャン
さて、そんなスタックチャンの進化の過程について、スネークチャンの作者である孔明さんがX(旧Twitter)で以下のようにまとめられていました。
このように、オリジナルのスタックチャンから様々なタイプへの進化の過程かわかりやすく書かれています。実際、13日目の記事でも掲載したスタックチャンの2歳のお誕生日会の写真でも、多種多様な個体が集まっていました。
一方でM5Stackの製品別で見ると、異形の個体も含めたその多くにCore Basic系またはCore2系の本体が使われており、それとは別にM5StickC2やATOMS3といったM5Stackの別製品を使った個体もいます。先ほどの孔明さんが紹介されていたスタックチャンの家系図を「スタックチャンの幼体(本体のみ)→スタックチャン→いろんなカスタムスタックチャン」という"縦方向(進化の過程)の分類法"と仮定すると、スティックチャン(M5Stick)やアトムチャン(ATOM)のような"横方向(種類別)の分類法"もあってもいいなと思いました。
そこで、そのようなCoreシリーズ以外のハード製品を用いたスタックチャンを、一般的にペットなどで犬や猫以外の動物を指す「エキゾチックアニマル」になぞらえて、「エキゾチックスタックチャン」と呼んでみることにします。
エキゾチックスタックチャンの具体例
上述の通り、エキゾチックスタックチャンはスタックチャンの分類法として私が勝手に付けた呼称ですが、具体的にどのような個体が該当するのか解説します。
まず、M5StickC3系を用いたスティックチャン(所有していないので製品リンクのみ)やATOMS3を用いたアトムチャンは間違いなくこの枠に入るでしょう。比較的安価ということで個体数も増えているスティックチャンやアトムチャン、タカオさんのM5Stack-Avatar-micというファームウェアが公開されてはいますが、オリジナルのスタックチャンはそれらを使用していないため、エキゾチックスタックチャンの一員とみなすことができると思います。
また、2023年はM5CapsuleやM5Dialが新たに発売され、それを用いた作品も数多く見られました。これらをはじめとしたCore系以外の製品は、以前だとCore系以外のライブラリ(厳密はCore BasicとCore2でも分かれていた)の互換性の問題でM5Stack-Avatarが使用できなかったのですが、らびやんさんが開発した統合ライブラリM5Unifiedの公開により、ハード間の障壁を超えて共通化することが可能となったことで、より気軽にスタックチャン化させることができるようになりました。
変わり種としてはCoreInkやM5Paper、CM4Stackが挙げられるでしょうか。CoreInkやM5Paperは高頻度の画像描画を行うと画面の寿命を早めてしまうため、M5Stack-Avatarを使用することはかなり非推奨とされています。そのため、現時点では明確にスタックチャン化された作品は現れていませんが、サッケード運動を用いない図形を固定表示にすることで疑似的なスタックチャンを作ることはできるかもしれません。また、CM4Stackは中身がRaspberryPiと他のM5Stack製品と決定的に異なるため、こちらも直接M5Stack-Avatarを使用できませんが、Pygameを用いた図形表示(私のCM4スタックチャンの例)やROSを用いることでスタックチャン化を実現できそうです。
ところで、一見Core系製品と瓜二つなM5Toughはどうでしょう。寸法自体はそれこそCore系と共通なので、スタックチャンキットを組み合わせることができますが、ソフト面で他のCore系で使用できるファームウェアが対応してなかったり、画面下部のボタンがなかったりと、細部で大きな違いがあります。機能のわりに価格がやや高額ということもあり、スタックチャンとして使用されることはあまりないですが、組み立てがノーマルに準じていたりと、ノーマルとエキゾチックの両方の特徴があると言えるでしょう。
#まとめ
いかがでしょうか。本記事では主にハードウェア面に着目してスタックチャンの分類をしてみました。もちろんあくまで一例に過ぎないので、冒頭の異形スタックチャンも含め、すべての個体が尊くカワイイ存在だと思っています。次回のスタックチャン関連のイベントでどのような個性を持ったスタックチャン達が集まるのか、私としてもとても楽しみです。