前回はトランスポートネットワークのものすごく基礎的なところを書いてみたのですが、今回はトランスポートネットワークのスライシングに関してです。
先の記事の標準化のところで説明したとおり、トランスポートに関連する標準はバラバラなこともあり、トランスポートのスライシングに関しては統一見解はまだない気がしています。
そしてL1~L3+Overlayレイヤーいろんな技術でスライシングができるので、
どのレイヤーでネットワークを切るのが正解なのか、その答えはまだ私には不明。。。
従来は固定・モバイルを独立したネットワークで切りたい人は筐体ごとわけてネットワークを切って、各ネットワーク内はVLANとかL2,L3 VPNで切ってQoSつけるとかが多いのかなーと思います。
あとはファイバー貸す事業者さん(=Wholesale Operator)とかは光レイヤーでファイバチャネルをわけて各チャネルに顧客をアサインする形してたりするのかなと思います。
これがネットワークの進化によって、どう変わるのか。
統一見解はないものの、いくつかの標準の流れや主要技術はあるので書いてみます。
●標準化の流れ
①IETF:
いろんな流れがあるのだけど、このドキュメントあたりが流れをまとめてくれてわかりやすいかなと思いました。
スライシング関連の動きは以下が書いてます。
・MPLS NWのSlicing: TEAS(Traffic Engineering Architecture and Signaling)
*L2,L3VPNに加えてSegment RoutingのFlex Algoとかもこちらで、IETFのスライシング周りだとメインになるかなと思います。
*前からあったACTN(Abstraction and Control of TE Network)をベースに作られてる。
*5Gのネットワークスライス識別子(S-NSSAI)ベースにIETF Domain ControllerがTransport Network Controllerとして動く想定。
・VPN+
・OTN Slicing
・DetNet (時刻同期ベース)
②Linux Foundation ONAP Network Slicing
IETFのスライスはTransport Network Controllerが一つに対し、
ONAPのSlicingはFronthaul, Midhaul, BackhaulでControllerを分けることまで考えられてます。
これはFronthaulとかMidhaulはかなりORANと密接に関わっているので、RANのControllerの下に入ったほうがいいんじゃないのかという考えかなと思います。
③OIFのFlex-E
光ネットワークでのスライシング技術です。
Flex-EはPCSレイヤーとMACレイヤーの間に一つFlex-Shimレイヤーが入るという結構斬新な構成で、TDMフレームを追加して複数チャネルをBonding、Subrating、Channelizationしてくれます。CIENAさんのページがわかりやすい。
端的にいうと、Interfaceに対して分割したネットワーク・帯域を最大限に使えるようにいろいろまとめてくれます。
④IOWN APN1.0はOTN Slicg?
たぶん、OTN Slcingと呼んでいいであろう。
というわけで、まとめるとトランスポート関連のスライシングに関連する技術は以下あたりかなと思います。
IPレイヤ: L2L3VPN, SR Flex-algo, VPN+, DetNet
光レイヤ:Flex-E, OTN Slicing,
*ちなみにPONのスライシングはOLTでのチャネルアグリゲーションとかだったと思います。
これをどのドメイン(xHaulまとめて or Front・Midhaulとbackhaulわけて)でコントローラー作って上からNBI叩いてUnderlay NWに落としていくかという感じです。
以上 まとまりがないですがトランスポートネットワークスライスでした。
次がRANのスライシングと比較してどうなんだろう編です。