はじめに
AlteryxのWeekly Challenge #292 を使って、
「世界幸福度報告」のデータ分析をしてみました!
Alteryx初心者〜中級者の方にも参考になるよう、
処理フローや工夫した点も交えて紹介していきます。
🌏 世界幸福度報告(World Happiness Report)について
世界幸福度報告は、毎年130か国以上で約10万人の人々を対象に調査を行い、各国の幸福度ランキングを発表する国際的なレポートです。
😊 Ladder Score(幸福度スコア)
「あなたにとって、最良の人生を10点、最悪の人生を0点としたとき、現在のあなたの人生は何点ですか?」
この回答が0〜10のスコアとして集計され、国ごとの平均値が「Ladder Score(幸福度スコア)」となります。
🔍 幸福度を説明する6つの要素
Ladder Scoreの後には、以下の6つの要素の観測データが続きます。
これらの要素は、国ごとの幸福度の違いを説明するために使われます。
💰 一人あたりのGDP(経済的豊かさ)
🤝 社会的支援(困ったときに頼れる人がいるか)
❤️ 健康寿命(健康に生きられる年数)
🗽 人生の自由度(自由に人生を選べる感覚)
🎁 寛容さ(Generosity:寄付やボランティアなど社会貢献の姿勢)
🕵️♂️ 腐敗の認識(政府や企業の腐敗に対する信頼感)
分析の目的
今回は、以下の3つの問いに答えていきます。
①平均幸福度スコア(Ladder Score)が最も高い年はどの年か?
→ 時系列での幸福度の変化を把握し、社会のトレンドや影響を探ります。
②GDPが1未満(低経済水準)の国の中で、幸福度スコアが最も高い国はどこか?(年別)
→ 経済的豊かさだけでは説明できない幸福の要素を明らかにし、幸福度向上のヒントを得ます。
③寛容さ(Generosity)の平均が最も高い国Top5は?(2年間平均)
→ 寛容さという社会的価値観が幸福度に与える影響や地域性を理解し、文化や社会の特徴を掘り下げます。
使用データと主な指標
<使用データ>
・2023.csv
・2024.csv
※ 上記はデータの一部抜粋です。実際のデータには他にも複数の国・指標が含まれています。
<主な指標>
・Country name(国名)
・Ladder score(幸福度スコア)
・Logged GDP per capita(1人あたりGDP)
・Generosity(寛容さ)
・その他:健康寿命、自由度、社会的支援、腐敗認識など
使用ツールと処理概要(Alteryx)
<使用ツール>
・Union:2年分データの縦結合
・Select:型変換(数値型)
・Filter:条件抽出(例:GDP < 1)
・Sort / Sample:上位抽出(Top1、Top5など)
・Summarize:年ごとの平均や国別の集計
・Multi-Row Formula :年ごとのランキングや柔軟な抽出処理に対応
分析結果
Q1. 平均幸福度スコアが最も高い年は?
年度 | 平均 Ladder Score |
---|---|
2023 | 5.53976 |
:2023年に幸福度スコアがピークを迎えたということは、その前年までの社会的・経済的要因が改善した可能性がある。
Q2. GDP1未満(低経済水準)の国で最も幸福度が高い国は?
年 | 国名 | Ladder Score | GDP |
---|---|---|---|
2023 | Nepal | 5.360 | 0.979 |
2024 | Venezuela | 5.607 | 0.000 |
:ネパールはGDPがほぼ1に近いが、幸福度が高いのは注目すべき点。経済指標は低くても、コミュニティの絆や自然環境、文化的要素が幸福に寄与しているかもしれない。
:ベネズエラのGDPが0となっているが、これはデータの特殊性かもしれない(経済危機の影響など)。その中でも高い幸福度を示すのは興味深い。物質的豊かさ以外の幸福の源泉がありそう。
Q3. 寛容さの平均が最も高い国(Top5)
ランク | 国名 | 平均 Generosity |
---|---|---|
1 | Indonesia | 0.4105 |
2 | Myanmar | 0.4005 |
3 | Gambia | 0.3280 |
4 | Thailand | 0.2870 |
5 | Kenya | 0.2865 |
:東南アジアやアフリカの国々が多くランクインしており、これらの地域ではコミュニティや家族の結びつき、相互扶助の文化が強いと考えられる。
:寛容さが幸福度に与える影響をさらに深掘りすることで、政策や教育の方向性にも活かせる示唆が得られそう。
分析の工夫・改善点
・型変換:Union前にSelectツールで数値型に変換して精度UP
・抽出処理:Multi-Row Formulaで「年ごとにTop1」抽出に対応
・処理順序:Filter → 型変換 → Sort → Sample の順で効率化
・再利用性:列名と型を統一しておくと、新年度データの追加も簡単!
・「前年と比べて大きく変動した国(幸福度 or 寛容さ)」をMulti-Row Formulaで抽出すると、さらなる気づきが得られるかもしれない。
・可視化:年別のLadder Scoreをグラフ化すればトレンドが直感的に伝わる
おわりに
・GDPが低くても幸福度が高い国は存在する。
→ 経済指標だけでは測れない「人間らしい幸福」の要素が見えてくる
・寛容さ(Generosity)は地域性と深く関係している可能性。
→ 文化・宗教・社会構造など、背景を掘り下げる価値がある
・Alteryxは複雑なデータ処理をノーコードで直感的に実現可能。
→ 繰り返し使える分析フローを構築すれば、継続的なインサイト創出が可能に!
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