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ElixirとPhoenixでスケールする対戦マッチングシステムを設計する

Last updated at Posted at 2016-12-22

Elixir Advent Calendar 2016 の22日目です。
mixiグループ Advent Calendar 2016 の22日目も記載しているのでよければそちらもどうぞ

マッチングとは

ゲームにおいて、プレイヤーとプレイヤーを何らかの条件で(同程度の強さなど)によって結びつけることです。プレイヤーにとって面白いと考えられる対戦を作るのが目標になります。

良い対戦相手を見つけるには待ち時間が必要になります。キューに入ってきた順ではなく、同じ条件のユーザが揃うまで待つ必要があるからです。
そのため、クライアントには非同期で結果を返す必要があります。

Phoenix Channels

match.png

クライアントへ非同期に結果を返すために、Phoenix の Channels を活用します。WebSocket を抽象化しており、アプリケーション側から容易にメッセージパッシングを行えます。
また、Phoenix では WebSocket を扱うのに十分速いため実用として利用できます。

Phoenix Channels vs Rails Action Cable

Matching Server

matching_server.png

Game Server はクライアントと WebSocket を繋いだあと、Matching Server に登録します。
Matching Server では、Matching Board に書き込むまでを行い、Game Server にはすぐにレスポンスを返してしまいます。
Game Server と Matching Server は別の Phoenix Application となってます。

Matching Worker

matching_worker.png
Workerは、Matching Board から、古いレコードを探してきて、別のマッチングポイントと結びつけます。結びつけが成功した場合、アプリケーション登録時に指定した Callback URL へ結果をPOSTします。結果が返ってきた Game Server は、さらに結果を WebSocket を通してクライアントへ通知します。

複数台の Game Server がある場合は、どのサーバに結果を POST しても問題無いように、Pub/Sub サーバを別途用意する必要があります。

Elixirを使うと、このWorkerもプロセスとして容易に実装できます。

多段 Worker

Worker は複数並べることができ、性格の異なる Worker を持てます。
今回の実装にあたっては、 Matching Board に登録したけど、なかなか相手が見つからないような場合、条件を緩和してマッチングを行うような Worker を追加しています。

スケールアウト戦略

一番難しい問題は、このシステムをどのようにスケールアウトさせるかです。
大量のユーザがマッチングを行うことを考えるとスケールアウトできる設計であることが重要です。
今回実際にマッチングを行う Worker は容易に横に並べることが可能です。
そのため、データベースである Matching Board をどのように横に並べるか、横に並べても問題ないように実装するかを考える必要があります。

DB を横に分割する

DB を横に分割する場合、競合が問題となります。今回のシステムで問題となる競合は2点あります。
* マッチングさせるべき起点ユーザを取得する
* 起点ユーザと結びつけるユーザを取得する

複数の DB に Transaction をかけることは(スケールアウトの観点から)できないため、レコード自体に State (Lock/Unlock) をもたせる必要があります。

今回説明は省きますが、マッチングの解除などユーザに対しての操作などがあるため、Transactionをかけやすいように DB はユーザのID単位でシャーディングしています

マッチングさせるべき起点ユーザを取得する

マッチング時間をなるべく減らしたいため、 Worker に触られていない時間が長いレコードを探してきます。
State が Unlock かつ、updated_at が一番古いレコードを見つけ、State を Lock に変更します。
複数の DB から一番古いレコードを見つけるのは難しいため、複数の DB からランダムに1台選び、単一DBの Transaction で上記の操作を行います。
厳密には一番触られていないレコードではないですが、複数の Worker でバランスされ実用上問題ないため許容しています。

起点ユーザと結びつけるユーザを取得する

複数の DB を触る必要があるため、単純に Transaction をかけることは出来ません。しかしながら、一番古いユーザを探す場合と比較して、競合自体は少ないと思われます。
レコードに lock_version を導入し楽観的ロックで実装します。(レコードの更新時に lock_version の値を調べ、他から更新が行われていないことを保証する)

Worker が死んだ場合

StateをLockにしたまま、Workerが死んでしまう可能性があります。その場合、このレコードは他から永遠に見つけられることがなくなります。

そのためZombieとなってしまうレコードを救う、Exorcist Workerを追加します。
Lockのまま、update_atが更新されないレコードはworkerが死んで放置されたと判断し、UnlockしていくWorkerです。

まとめ

以上の設計でマッチングシステムの実装を行いました。
Phoenix Channels や、 Elixir のプロセスを用いて容易に実装が行えます。
皆さん Phoenix 使っていきましょう!

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