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Google Apps Scriptで百人一首を検索するLINE Botを作った

Last updated at Posted at 2021-03-22

作ったもの

スマホ向けリンク

機能

以下のメッセージに反応して,百人一首の歌・番号・作者名・決まり字を返します。

  • 歌番号
  • 決まり字
  • 上の句の5文字目くらいまで(一部でも可)
  • 作者名
  • 取り札の上3文字

image.png

候補が複数ある場合には,決まり字の一覧を返します。
image.png

作った経緯

趣味で競技かるたをしており、百人一首に触れる機会が多いです。
「ちはやぶる〜の歌の作者って誰だっけ?」「歌番号40の歌って何だっけ?」
そんなときすぐ調べられたら便利だと思い,最近勉強していたGASの練習も兼ねて作ってみました。

準備

サーバーを用意する必要がなく,ブラウザ上で簡単に作れそうなので,LINE BotとGoogle Apps Script(GAS)を組み合わせて作ります。

LINE Developersに登録

登録は前にしていたので,省略します。
以下のリンクが参考になります。
参考:LINEのBot開発 超入門(前編) ゼロから応答ができるまで

「Messaging API設定」の下にある,チャンネルアクセストークン(長期)を取得しておきます。
スクリーンショット_2021-03-22_16_08_49.png

Google Apps Scriptを開く

歌のデータベース代わりにスプレッドシートを使います。

Googleドライブにログインして,Googleスプレッドシートを選択。
スクリーンショット_2021-03-22_16_14_34.png

スプレッドシートから「ツール」→「スクリプト エディタ」を選択。
スクリーンショット_2021-03-22_16_16_44.png

エディタが開くので,コードを書いていきましょう。
スクリーンショット_2021-03-22_16_17_36.png

コードを書く

言語はJavaScriptがベースになっています。

メッセージを受け取って返信する関数

メッセージを受け取り,返信メッセージを作り,送信する doPost 関数を書きます。
チャンネルアクセストークンを,ここにアクセストークンを入れますの部分にコピペします。
返信メッセージを作成する部分以外は,以下のリンク先のコードを参考にさせていただきました。

参考:Google Apps ScriptでLINE BOTつくったら30分で動かせた件

main.gs
// アクセストークン
const ACCESS_TOKEN = 'ここにアクセストークンを入れます';

function doPost(e) {
  // WebHookで受信した応答用Token
  const replyToken = JSON.parse(e.postData.contents).events[0].replyToken;
  // ユーザーのメッセージを取得
  const userMsg = JSON.parse(e.postData.contents).events[0].message.text;
  // 応答メッセージ用のAPI URL
  const url = 'https://api.line.me/v2/bot/message/reply';

  //返信メッセージを作成
  if (1 <= parseInt(userMsg) && parseInt(userMsg) <= 100) {
    var post_msg = numToMessage(parseInt(userMsg));
  } else { 
    var post_msg = wordToMessage(userMsg);
  }

  //変数post_msg を本文として返信を送る
  UrlFetchApp.fetch(url, {
    'headers': {
      'Content-Type': 'application/json; charset=UTF-8',
      'Authorization': 'Bearer ' + ACCESS_TOKEN,
    },
    'method': 'post',
    'payload': JSON.stringify({
      'replyToken': replyToken,
      'messages': [{
        'type': 'text',
        'text': post_msg ,
      }],
    }),
  });
}

歌番号から返信メッセージを作成する関数

受信メッセージが1から100までの数値の場合は,以下の処理を行います。

  1. 歌番号から該当する歌の情報を取得する
  2. 返信メッセージを返す
    そのための numToMessage 関数を用意します。

予め,以下のようなシートを作っておきます。
(シート名は「tanka_list」としました)
image.png

【追記】閲覧用リンクを貼っておきます。

numToMessage 関数のコードを書きます。

message.gs
//1から100までの歌番号から,メッセージを作成
function numToMessage(msg) {

  //tanka_listシートを取得
  const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('tanka_list');

  //歌番号からシートの行番号を取得
  const row = get_row(msg, sheet, 'A');

  //歌番号,上の句,下の句,詠み人,決まり字を取得
  const num = sheet.getRange('A'+ row).getValue();
  const kami = sheet.getRange('B'+ row).getValue();
  const shimo = sheet.getRange('C'+ row).getValue();
  const yomibito = sheet.getRange('D'+ row).getValue();
  const kimariji = sheet.getRange('E'+ row).getValue();

  //メッセージを作成
  return kami + '\n' + shimo +'\n\n歌番号:' + num + '\n詠み人:' + yomibito + '\n決まり字:' + kimariji;
}

コード内で出てくる get_row 関数は,以下の記事のものを使わせていただきました。
参考:GASで列内で特定の値に一致する行番号を取得する - shikaku's blog

get_row.gs
//keyに一致する値をもつ行番号を返す
function get_row(key, sh, col){
  const array = get_array(sh, col);
  const row = array.indexOf(key) + 1;
  return row;
}

//シートの1列を全て配列に入れる
function get_array(sh, col){
  const last_row = sh.getLastRow();
  const range = sh.getRange(col + '1:' + col + last_row)
  const values = range.getValues();
  const array = [];
  for(let i = 0; i < values.length; i++){
    array.push(values[i][0]);
  }
  return array;
}

(例) 受信メッセージが40の場合,以下のようなメッセージを返り値として返します

しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は
物や思ふと 人の問ふまで

歌番号:40
詠み人:平兼盛
決まり字:しの

決まり字や作者名から歌番号を取得する

受信メッセージが歌番号の数字以外の場合には,2つの場合が考えられます。

  • 歌が特定できる場合(決まり字や歌人名)は,まず歌番号を取得し,numToMessage 関数に送る
  • 歌が特定できない場合は,候補が複数あるのか,全くないのかの判定をする

そのための wordToMessage 関数を用意します。

予め,以下のようなシートを作っておきます。
(シート名は「word_list」としました)
image.png
仮名遣いによる表記揺れや作者の別名(wiki調べ)などに対応するため,800行くらい用意しました。
(本当は正規表現とかでもっと行数減らせるかもしれないですが,未確定のときにも反応してしまいそうなのでやめました)

wordToMessage 関数のコードを書きます。

message.gs
//決まり字や上の句,歌人名から,メッセージを作成
function wordToMessage(msg) {

  //word_listシートを取得
  const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('word_list');

  //メッセージからシートの行番号を取得
  const row = get_row(msg, sheet, 'A');

  //メッセージを作成
  if (row === 0) {
    return partToMessage(msg);
  } else { 
    const num = sheet.getRange('B'+ row).getValue();
    return numToMessage(num);
  };
}

もしここでも一致しない場合には,後述する partToMessage 関数で候補を調べます。

候補が複数あるときのメッセージを作成する

受信メッセージから歌番号が確定できない場合は,以下の2通りの場合が考えられます。

  • 歌の候補が複数ある場合には,その候補を返す
  • ない場合には,'見つかりませんでした…'を返す。

そのための partToMessage 関数を用意します。

予め,以下のようなシートを作っておきます。
(シート名は「part_list」としました)
image.png
(上の句の出だしだけでなく,「六歌仙」なども入れてあります)

partToMessage 関数のコードを書きます。
行ごとに最終列の位置が異なるため,以下のようにコードを書いています。

  1. get_row 関数で該当する行番号を見つける
  2. 『「ひ」は3枚あります』のような文字列 kouho を作る
  3. 該当行の最終列の値を取得し,定数 lastCol に代入
    参考:もりさんのプログラミング手帳
  4. for文で3列目から最終列までの値を kouho の後ろに加えていく
  5. kouho の値を返す
message.gs
//確定できない場合に,候補の札を示すメッセージを作成
function partToMessage(msg) {

  //part_listシートを取得
  const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('part_list');

  //メッセージからシートの行番号を取得
  const row = get_row(msg, sheet, 'A');

  //メッセージを作成
  if (row === 0) {
    return '見つかりませんでした…';
  } else { 
    const num = sheet.getRange('B'+ row).getValue();
    let kouho = '' + msg + '」は,' + num + '枚あります。';
    const lastCol = sheet.getRange(row, 3).getNextDataCell(SpreadsheetApp.Direction.NEXT).getColumn();

    for (i = 3; i <= lastCol; i++) {
      let fuda = sheet.getRange(row, i).getValue();
      kouho = kouho.concat('\n' + fuda);
    }

    return kouho;
  };
}

アプリを公開する

公開して,LINE Botとして使えるようにするには,デプロイして利用できる状態にしたあと,LINE DevelopersでWebhookの設定をする必要があります。

デプロイする

右上の「デプロイ」から「新しいデプロイ」を選択します。
スクリーンショット_2021-03-22_18_06_10.png

種類を「ウェブアプリ」に,アクセスできるユーザーを「全員」に設定してから「デプロイ」します。
image.png

(初回は,アクセス権の承認画面が出てきます)

出てきたウェブアプリのURLをコピーします。
image.png

Webhookの設定をする

LINE DevelopersのMessaging API設定に,Webhook設定という項目があります。
編集をクリックして,先ほどのウェブアプリのURLを貼り付けます。
また,Webhookの利用をオンにしておきます。
image.png

検証をクリックし「成功」と表示されれば正しく設定できています。

あとは実際にLINEで友達登録して返信できるかテストするだけです。

今後やりたいことなど

初めてBotを作ってみましたが,非常に楽しかったです。
制作に10時間ほどかかりましたが,時間が経つのを忘れて作ってしまいました。

画像を送ったり,これから百人一首を覚えたい人に向けてクイズを出すなど,文章を返信する以外の機能を加えたBotなども作れたら面白いなと思っています。

追記:画像送信するものも作りました。

ゴロ合わせの覚え方をイラストとともに紹介します。

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