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はじめに

 本書は、アジャイル開発を日本に普及させることを目的に執筆しました。
 「誰時」とは、夜明け前のまだ薄暗い状態を指していました。実は2000年頃から何度かアジャイルのブームが起きましたが、しかし長続きせず、ウォーターフォールに戻ってしまう自体が何度か起きていました。その主原因は、日本のソフトウェア開発のほとんどが請負契約のままであることでした。請負契約でアジャイル開発を実施するには根本的な矛盾があるのです。
 その繰り返しを避ける改革には発注側の幹部層からの意識改革が必要だと考えました。本書籍はその改革の起爆剤として2019年に出版しています。その1年後には、遂にIPAがアジャイル開発の契約が準委任契約だと規定し直し、本書の最大の目的は達せられました。

和アジャイルの誰時 目次2.png

ポイント

表紙が大切

  • スクラムよりはアジャイル

和アジャイル 表紙2.png

裏表紙も大切

  • Motivation
  • Win-Win
  • Communication
  • thanks

和アジャイル 裏表紙2.png

本書の最大の目的は、請負契約でのアジャイル開発を根絶すること。

和アジャイル開発とは

Step1 まず発注側がアジャイル組織に変革すべし。

アジャイル開発のメリットを享受するのは発注側の経営者である。
ソフトウェア開発の現実を知り、日米の格差を知って、
発注側経営者は組織価値観を変革し、制度を適合させ、
PO人材を育成し、援護すべし。

Step2 発注者は開発者から信頼された仲間になるべし。

責任押し付け、予定実績管理するだけでは良い開発はできない。
ゴールを示し、皆に理解してもらってチームを作り、
一人ひとりを知って適材適所に配し、
状況・問題点・今後の方針を積極的に聞き、対外調整を実施し、
丁寧な対話とバランスの良い優先度判断を常に心がけ、
仲間であり人格者のリーダとして信頼されるようになり、
仲間とともに持続的なWin-Winと成長を目指すべし。

Step3 受注者全員が日々、全体と優先度を考え行動すべし。

真のゴールとPOの価値観を理解し、チームの現状を把握し、
自らの状況を適切な相手に適切なタイミングで伝え、
次の作業案をもって優先度を都度POと相談し、
技術者としての高い付加価値を提供し続けるべし。

目次

1. 日本におけるアジャイル開発  1

1.1 アジャイル開発を、誰が、なぜ、求めるのか?  1
1.2 皆が認めるべき、ソフトウェア開発の現実  3
1.3 ウォーターフォール開発では、なぜダメなのか?  7
1.4 日本の慣習で、なぜアジャイル開発は失敗するのか?  9

2. 発注側 経営幹部の心得  17

2.1 アジャイル開発は、あなたの望みを実現する手段  17
2.2 組織をアジャイル開発に適合させる  20
2.3 PO人材を育成し、援護する  23
2.4 アジャイル開発の不都合を理解する  29

3. 発注側 POの心得  33

3.1 プロダクトオーナ(PO)の責任と権限を理解し納得する  33
3.2 発注側幹部がアジャイル開発の価値観に納得していない時  38
3.3 ゴールに対して、価値のある部分をまず動かして全体の目処をつける  41
3.4 動いたら、ステークホルダに見せ、アジャイル開発の価値を活かす  44
3.5 その後も「動くものを作る」を忘れずに、改善のサイクルを回す  47
3.6 期待されるのは普通のビジネス・リーダシップ  50
3.7 ウォーターフォール思考・姿勢の注意点  51
3.8 コミュニケーションは大切、・・・相談を中心にする  54

4. コミュニケーションの本質を考え直す  55

4.1 コミュニケーションには、双方の努力が必要  55
4.2 相手を知る=相手の人物モデルを自分の中に持つ  59
4.3 重要なことを先に。段階的に詳細化し相互理解する  62
4.4 モチベーションを上げるために (PO視点)  63
4.5 チームの質も上げよう (PO視点)  65
4.6 悪い情報を素早く収集する仕組みを作って、大失敗を回避する (PO視点)  66
4.7 ウォーターフォール型コミュニケーションの悪癖  69

5. 現場でのアジャイル開発スタイル(PO実践編)  71

5.1 技術者を集める  71
5.2 自らがゴールを示し、皆に理解してもらってチームを作る  76
5.3 一人ひとりを知って適材適所に配置する  78
5.4 状況・問題点・今後の方針を積極的に聞き、現場を正しく理解する  79
5.5 ステークホルダとの調整を実施する  81
5.6 丁寧な対話を続け、バランスの良い優先度判断を続ける  83
5.7 人格者のリーダとして信頼される  84
5.8 仲間とともにWin-Winと成長を目指す  85

6. 品質について考え直す  87

6.1 ウォーターフォール開発では形式的な合意形成の事例がある  87
6.2 アジャイル開発での品質確保・試験終了の考え方  92
6.3 【方針1】 重要な部分から、品質を確保する  94
6.4 【方針2】 継続的に品質を改善する(自動リグレッション・テストの整備)  98
6.5 それでも、納期が厳しく品質も求められる場合の対応(例)  102

7. 開発担当者の心得  105

7.1 真のゴール、POの価値観、チームの状況を理解し、POの判断に近づく努力をする  105
7.2 自らの状況を適切に伝えるコミュニケーション姿勢を持つ  108
7.3 次になすべき作業案をもって優先度を都度POと相談する  111
7.4 技術者として高い付加価値を提供するべし  113
7.5 相互にフィードバックし、双方が成長する  115
7.6 アジャイルの罠に注意する  116
7.7 ウォーターフォールの悪癖は矯正する  118

8. 受注側 開発責任者の心得  123

8.1 アジャイル開発を受注するときに確認する  123
8.2 POをサポートする  132
8.3 作業管理責任者として行動する  133
8.4 受注側組織の体制・価値観をVerUpする  136
8.5 品質保証(QA)部門の役割は微妙です  139

9. 和アジャイルの誰時  141

9.1 本書をざっと、まとめ直してみる  141
9.2 和アジャイルが目指すべき世界  144
9.3 本書籍もβ版  146

内容はQiitaでも公開されてる

  • Qiitaでの本文公開

補足がイイネ!

  • 補足1  アジャイルソフトウェア開発宣言  147
  • 補足2  ウォーターフォール開発の見積りとは何だったか?  148
  • 補足3  ウォーターフォール開発の品質とは何だったか?  152
  • 補足4  準委任契約と派遣契約の違いに注意  154
  • 補足5  アジャイル開発におけるリーダシップとは?  155
  • 補足6  単能工と多能工、ライン生産とセル生産  156

書誌情報

  • 書籍名:和アジャイルの誰時 日本で実践する発注型アジャイル開発
  • 著者:和アジャイル研究会
  • 出版社:デザインエッグ社
  • ISBN:978-4815011482

参考

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