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Google Cloud Platform Cloud Billing IAM を軽く説明

Last updated at Posted at 2018-10-28

Cloud Billing IAM とは

Cloud Billing IAMとは、Google Cloud Platform(GCP) の請求情報となる請求先アカウントに対する役割を制御します。
請求先アカウントにはクレジットカード情報等お支払い情報が設定されています。お支払い情報は、GCP の使用を始める際に設定する必要になります。
Cloud Billing IAMは、Cloud IAM の設定画面ではなく、お支払いの画面で設定します。(一部はCloud IAM で設定します。)
コンシューマーが無料の@gmail.comからGCPを利用する場合は、特に意識することなく自分(ユーザー)がプロジェクトオーナーであり、請求先アカウント管理者となります。
G SuiteGoogle Cloud Identity を使って複数ユーザーを管理する場合、組織のアカウントの請求先アカウントを1つにまとめる、部署毎に請求先アカウントを設定するといった使い方ができます。
また、google Cloud パートナー数社がサービス提供しているクレジットカードの登録不要で日本円で支払いが可能となる GCP支払代行サービスは、請求先アカウントをサービス業者のものに変更し、GCPの Google への支払いを代行してもらうサービスです。

疑問

プロジェクト作成時や請求先アカウント設定時において、請求先アカウントの役割(権限)と Cloud I AM のプロジェクトの役割(権限)との関係がいまいちわかりにくいので、軽く検証しまとめました。

役割(権限)について

本文の役割とは権限と同じ意味ですが、権限と言ったほうがわかりやすいので、以降は権限と記述します。

Billing I AM の請求先アカウントの権限

公式ドキュメントにある通り、請求先アカウントには以下の権限があります。

権限 説明 お支払い情報 請求先アカウント権限編集
請求先アカウント作成者 G Suite等組織の場合の請求先アカウントを作成する権限です。 - -
請求先アカウント管理者 請求先アカウントのオーナー権限で請求先アカウントの作成以外はなんでもできます。 表示
請求先アカウント ユーザー プロジェクトと請求先アカウントをリンクすることができる権限です。 非表示 不可
請求先アカウント閲覧者 利用額情報を閲覧できるだけの権限です。 表示 不可
プロジェクト支払い管理者 プロジェクトを請求先アカウントにリンクすることができます。この権限だけではプロジェクトを参照・閲覧はできません。 非表示 不可

お支払い情報の表示・非表示は、ダッシュボードの見込み課金額お支払い画面表示する権限があるか否かという意味で記載しています。
請求先アカウント権限編集は、請求先アカウントに権限を追加・削除できるかということを示しています。

請求先アカウントの設定は以下の場所から可能です。
2018-10-28_22h28_09.png

ちなみに、プロジェクト支払い管理者 権限は、Cloud IAM からの設定となります。

Cloud IAM のプロジェクトの権限

こちらも公式ドキュメントに説明があります通り、Cloud IAM のプロジェクト権限は以下の権限があります。

権限 説明
プロジェクトのオーナー プロジェクト内のすべてのリソースの権限を管理、プロジェクトの課金情報を設定します。
プロジェクトの編集者 既存のリソースの閲覧やデータの表示などの権限です。Cloud I AM の権限の変更はできません。
プロジェクトの閲覧者 既存のリソースの閲覧やデータの表示などの権限です。

Cloud IAM の設定は以下の IAM 画面から可能です。ただし、プロジェクトオーナー権限、Cloud IAM の役割がないと設定できません
2018-10-28_21h51_15.png

請求先アカウントを紐付け可能な権限

gcloudコマンドで紐付け

以下の gcloud コマンドを使用して、請求先アカウントに既存プロジェクトを紐付けて確認します。

gcloud コマンド:gcloud alpha billing accounts projects link

コマンド例:gcloud alpha billing accounts projects link {プロジェクト名} --billing-account {請求先アカウントID}

※もし、お試しされてエラーとなった場合は、上記 gcloud コマンドのリンクのNOTESをご参照ください。

コマンド実行結果

上記コマンドを実行するユーザーに設定された Billing IAM と IAM 権限の組み合わせで、プロジェクトと請求先アカウントの紐付け可否を確認しました。

権限 請求先アカウント管理者 請求先アカウントユーザー 請求先アカウント閲覧者 なし
プロジェクトオーナー 可能 可能 可能 不可
プロジェクト編集者 不可 不可 不可 不可
プロジェクト閲覧者 不可 不可 不可 不可
プロジェクト参照者 不可 不可 不可 不可
プロジェクト支払い管理者 可能 可能 可能 不可
プロジェクト編集者+プロジェクト支払い管理者 可能 可能 可能 不可
プロジェクト閲覧者+プロジェクト支払い管理者 可能 可能 可能 不可
プロジェクト参照者+プロジェクト支払い管理者 可能 可能 可能 不可

・プロジェクトオーナーはプロジェクト支払い管理者のスーパーセットなので、紐付けが可能です。編集者以下はプロジェクト支払い管理者と組み合わせれば紐付け可能となります。
・ユーザーにプロジェクト支払い管理者のみ設定の場合、コマンドの結果はエラーとなりますが、請求先アカウントの紐付けはできます。(プロジェクトを参照できないいためエラーとなる。)

終わりに

本記事から、例えばプロジェクトの作成権限は与えたいが、請求情報は見せなくない、プロジェクトは変更できないが、請求情報の閲覧は可能といった設定などわかりやすくなったのではないでしょうか。(それでもわかりにくかったらすみません。)
会社業務で GCP を使用している場合以外、請求先アカウントをあまり意識されない方が多いと思いますが、請求先アカウント権限とプロジェクト権限の関係の整理に少しでもお役に立てば幸いです。

参考リンク

請求アクセス制御の概要
役割について

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